Marin Alsopとは・・(2022年9月に来日)
今年2月末、角野さんが秋に共演する指揮者がMarin Alsopと知り、約半年間、暇を見つけて各種媒体(ウェブ、YouTube、ラジオ等)で、彼女について調べてきた(ヘッダーはベトナムはハノイにあるオペラハウスの2階から撮影)。
※ 9月のポーランド国立放送交響楽団(NOSPR)と角野隼斗との日本ツアーのプログラムの曲目予習編はこちら。ドヴォルザークの新世界よりについては、インタビュー動画を聞いて、Alsopの思いを紹介(和訳)している。
Alsopの略歴
経歴等はWikipedia日本語版にも掲載がある。
さらに補足すると、2021年までボルティモア交響楽団の音楽監督を務め、2019/2020シーズンからはウィーン放送交響楽団(RSO)の首席指揮者を務めている(2022年8月13日には英国BBC Prom (BBC Promについてはこちらのnoteで簡単に紹介) でRSOと共演しており、日本からも以下のラジオ(以下はPart I、Part IIはこちら)で楽しめる)。
【追記 8/28夜】Marin AlsopのHPのAbout (プロフィール)も要約・和訳しておく。
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本当は彼女の半生を描いた「The Conductor(指揮者)」(公式サイトで概要はわかる)というドキュメンタリーを観たいのに、日本では観られないため、代わりに、これに関する情報(製作の秘話など)を探していくうちに色々見つけられた。
これらの情報から、女性が指揮者になるなんて無理だと散々言われ、ものすごい苦労と努力を重ねてきていること、幼い頃に抱いた指揮者になりたい夢を後押しした両親(プロフェッショナルミュージシャン)や師匠(バーンスタイン他)に恵まれ、今日まで、アメリカのメジャーなオーケストラの指揮者に就任したり、著名なオーケストラの指揮者を歴任、欧米を舞台に華々しく活躍して来たことを知ることができた。
Marin Alsopに関する動画集
その内容をもう少し"具体的に"要約して紹介できたらと思ったが、私に時間的余裕がないため、代わりに私が半年かけて集めてきたYouTubeの動画集(2022年9月14日現在、全30本)を限定公開したい。
基本、公式(の組織)のチャンネルにアップロードされたものを対象とし、内容はインタビュー、有識者との議論、大学での講義、リハーサル、そして彼女が指揮した交響曲等の演奏をカバーしている。
動画の紹介1. 交響曲のコンサート中に考えている10のこと
上記動画集の中から、興味深い動画(かてぃんラボのオルソップ版とでも言おうか)の内容を紹介したい。私は和訳のプロではないため、ところどころ不自然な訳もあるが、何とか伝わる日本語になったのではないか(と思っている)。
すごいなーと感心したのは、一般人にも分かりやすく、なるほどーと思うように4分間で大切なことを話してくれていること。英語のテンポはゆっくりで発音も非常に聞き取りやすい。
1 Tempo(テンポ)
曲の鼓動は完璧でなければならない。曲にちょうどいいテンポがある。舞台に立ち、指揮を始める前にそのテンポを感じるようにしている。
2 Quality of sound(音質)
曲ごとに音の世界を創り上げていく必要があるためだ。これは単にミュージシャン(オケメン)のためではなく、特に観客のためだ。
3 Finding connections(繋がりを見つける)
指揮を始めてすぐにミュージシャンと音との繋がりを見つけようとしている。これは非常に大切で、私が本当に繋がったと(感じた)時に私達は一つのユニットになれる。
4 Breathing(呼吸)
私は、呼吸、フレーズの自然な形、有機的だと感じてもらうために息する必要がある場所を常に考えている。
5 Analysis of piece(曲の分析)
私が指揮をする曲について沢山の分析を行う。ダイナミックな分析を行なってきている。つまり、最も大きな音になるポイント、最もソフトになるポイント、これらの(音の)グラデーションを把握する。私がコンサートで指揮をする時、最も大きな音に到達する瞬間、本当に静かな音を聴かせたい瞬間を形作っていく。
6 Narrative(物語)
私にとって最も重要なことは曲の物語を伝えることだ。各曲の背後にはストーリーがある。たとえプログラマティックではないベートーヴェンの交響曲でさえストーリーはある。そのストーリーを(観客に)伝えるのが私の仕事だ。だから、私は常に最初、中間、終わり、ストーリーの道徳、観客への見返り(payoff)を見つけて曲をつくっていく。
7 Architecture(アーキテクチャ)
作曲家の意図したアーキテクチャを伝えていくのがとても大事だと考えている。だから、各曲の、より大きな形を形作っていくことを考えながら、全ての細かい部分もまとめていくことを常に考えている。
8 Messenger(メッセンジャー)
作曲家のメッセンジャーであるのが私の役目で、パフォーマンス(演奏)が魅力的であることを確かめるために、私は常に各曲の極限を探し、いかに伝えていくかを考えている。
9 Audience(観客)
観客が私たちのパフォーマンス(演奏)に対していかに大事か。これをきちんと(理解して貰えるように話せるか)分からない。全てのパフォーマンスは、その空間にいる個人が違うから異なる。私が指揮をする間、私が感じるエネルギー、結集されたエネルギー、観客から注目されていることを感じ、これらを私たちがやっていることに正確に取り込んでいこうとしている。
10 Personality(パーソナリティ)
全てのオーケストラは完全に異なるパーソナリティを持つ。私はこれらのパーソナリティの上に構築しようとするのが好きだ。パフォーマンス(演奏)では、彼らの強みに働きかけていく。もし素晴らしいホルンやオーボエがいるなら、私は彼らのパーソナリティを引き出そうとしていく、彼らと上手くコラボレーションしていく。
(3’40”)ごくまれに(動画の背景にハンバーガーの絵が・・)「コンサートが終わった後、何を食べようかなぁ」を考えるが、これは滅多にない(ニコッ)。
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オルソップも(かてぃんさんみたいに)チャーミングで親近感が持てる(笑)
動画の紹介2. The Conductor (指揮者): パネル・ディスカッションの概要(の和訳) 【追記 8/30】
2021年7月9日に、米国ジョンズホプキンス大学において実施されたパネル・ディスカッションが、日本では未公開の「The Conductor (指揮者)」について議論されており、映画で伝えたいメッセージや裏話を聞くことができる。
同ディスカッションに参加したのは、Fred Bronstein (ジョンズホプキンス大学 Peabody研究所長)、Annette Porter (The Conductorのプロデューサー)、Bernadette Wegenstein (The Conductorののディレクター)、Marin Alsop (The Conductorの主人公) の4人。
本ディスカッションの概要は以下の通り(ひとまず動画の概要欄を抜粋・和訳)。動画を観る際、英語に自信がない方は、字幕を日本語に変更することも可能。Marin Alsopの英語は発音がはっきりしてて、話す速度もゆっくり目だから、非常に聞きやすい。
最後に
時間に余裕があれば、細々と追記(他のインタビューの要約の和訳)していくかもしれない。。
【追記 9/12】
高坂はるかさんのインタビュー記事(貴重な和文の文献)を貼り付けておこう。NOSPRの日本ツアー中に改めて読むと、オルソップの人間性の素晴らしさに心打たれる。
(終わり)
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