不便益で考えたこと
エウレーカ 7月28日放送回
不便益のススメ 川上浩司
実験(主に自分の研究室)活動を以下の4つに分類してみた。
①便利益: 高度な実験機器、自動化
②便利害: 実験キット(原理の不透明化)
③不便益: 自作キット(改変可能)
④不便害: 細胞の継代といったルーチンワーク
こう考えると①と④、②と③って対応してるなと感じた。
自動化すれば、益になることはもちろん多いが、なんでも自動化してしまうことの弊害を見落としてはならない。とは言っても、それが益か害かはその作業の目的に依存するため、一般的な概念とは言いづらい。
大学の研究と企業研究の違いをみるとわかりやすいだろう。
大学では手作りで研究材料を揃えたり、実験手法も従来法を続けるラボもある。
一方で企業はあらゆる実験工程を自動化し、時間をお金で買うことをする。
これは実験が目的なのか手段なのかということなのだろう。
大学研究者は実験過程に価値を見出し、その不便の中で益な発見を期待する。知の想像ではあらゆる結果が考察の材料になる。
企業研究者は実験結果をベースに試行錯誤をするため、過程よりも戦略と結果の相関さえわかればいい。目的も明解で、サイクルを早く回すことの方が重要だ。
こう色々考えていくうちに、自分が博士課程を選んだ理由が少し見えてきた気がした。
実験の不便益に魅了されたのではないか。
予想外の結果を見つけ、そこに的確な考察を加えられた時の感動は絶大。
結果試行ではなく、実験過程での予想外を見逃さない姿勢や考え方はこの上なく好きだ。
物づくりの過程が好きなのだ。
そこに生じる、試行錯誤の過程そのものが好きだ。
作りたいものにこだわりがなく、そのために社会貢献に対する動機付けが弱いことにモヤモヤしていたが、物づくりの過程を熟知し、対象への理解を深めたいというのは十分な行動原理になり得ると納得できてきた。
そういう物づくりの面白いさを追求しながら、誰かに喜んでもらえるものを生み出せたら、尚いいのだろうなあ。
これを作りたい。この課題を解決するものを作りたい。そういう動機を見つけられれば、その後のキャリアが確定するはずだ。そのために教養を学ばないとなあ。受動的ではなく、能動的に情報収集しよう。
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