秋田のバスケットの未来を (2/2)
〇オフシーズンに何が出来るか
選手の最高の一瞬を収めたい
その一心で
ある日突然、カメラを始めた
推し選手の存在は尊い
輝き放つ一瞬の為に、ブースターの様々を変えてしまう力がある
ひとえに実感するのは、
選手側の視点を想像するようになったことだ
この選手はどんな想いがあって
今、このプレーを選択したのだろうか
この選手を取り巻くチームはどうだろう
HCは一体どんな意図を持っているのだろうか
今まで見えなかった向こう側の景色に
意識が行くようになり、視界が広がっていった
この変化から、
ますますバスケットが楽しくなった
同時にカメラを撮ることに
よりいっそう面白さを覚えるようになった
満足のいく一枚が撮れた日には
ひたすらに見返して、
次はこんな構図で撮りたい
このプレーをかっこよく撮るためには
一体どんなことができるだろう
どんなアプローチが出来るだろうかと
想像するだけでも楽しかった
バスケットはコンマ一秒で勝負が決まる
そのため、プロ選手たちは
目の前を風のごとく走り去っていく
そんな選手たちを収めようと
ファインダーで追って、捉えようとすることは
なかなか至難の技である
選手の動きを予測出来るように
それぞれが持つプレーのリズムやスタイル
チームでの決まり事、
今や現代バスケットに多様化する
様々なスキルを知ろうと
自分が出来ることをすべてやってみた
その結果、
改めてバスケットの奥深さを
知ることとなり、
見るものすべてに面白さを感じるようになった
バスケットをここまで好きにさせてくれた選手は
チームには、もういない
だからといって、その選手と
ハピネッツから離れるつもりはない
行く先を追って、ハピネッツを
変わらずに応援するだけだ
しかしながら、他のチームにいってしまった
選手を撮れる機会は
激減してしまう
そのため、一握りの試合で
思い描いた瞬間を捉えるために
よりいっそうカメラのスキルが必要となる
目で追えることは出来ても、
ファインダーとなるとまた別のものだ
まだまだ初心者の域ゆえに、
来シーズンまでに少しでも上達させたかった
ただ、オフシーズンに入ると、
バスケットを撮る機会が
あまりにもない
貴重な機会として、
科技高の大会やSリーグに参入した三人制バスケットのチームを撮りに行った
それでも、もっとバスケットを撮ってみたかった
自分がどこまで出来るかは分からないけれど、
出来るだけのことをやってみたい
そうして撮影の機会を探し求めていた所
一人のスキルコーチのワークアウトを
撮らせていただくことになった
〇渡邉 竜也スキルコーチのワークアウトを通して
前編の科技高(能代科学技術高校、略)で行われた
ノボルたちのイベント考案の一人で
能代工業OBであり、
現在、秋田市を拠点に
全国各地でバスケットを教えている
渡邉竜也スキルコーチである
もともと、渡邉コーチのことは
同じくイベント考案の、もう一人
猪狩渉選手とのインスタライブで存在を知った
ともに同級生であり、また選手とスキルコーチと
それぞれのフィールドでバスケットに関わり、
挑戦し続けている二人のバスケット談義は
普段なかなか知る機会がない
選手やコーチ側のリアルな気持ちや考え方、
バスケットへの感覚や現状を知ることが出来て
とても興味深く見ていた
さらに、現代バスケットには欠かせない
スキルを学ぶ為に、
選んで見ていたのは
渡邉コーチのYouTubeだった
様々なスキルコーチの動画の中で
誰よりも、群を抜いて分かりやすかった
渡邉コーチの何をするべきか相手に明確に示せる
言葉選びと、手本となる姿が
とても印象的であり、
教える相手に対して
真剣かつ、同じ目線を持って
接しているのが伝わってきた
秋田にも
このような選手ファーストなスキルコーチが
いるのだと嬉しくもあった
こうして、動画では見ていたものの
バスケットを教える
スキルコーチを撮るということは
もちろんワークアウトをする
子どもたちを撮らせていただくのは、
初めての試みだった
自分自身のひとつの挑戦と
いち視聴者としての大きな興味を携えて、
未知の世界へと
足を踏み入れさせていただくことになった
初めてワークアウトを見させていただいた時に
まず驚いたのは、媒体を通して見る以上に発する
渡邉コーチの熱量の高さだった
穏やかな口調ながらも
子どもたちに向ける声が
体育館内によく響き渡り、
バスケットへの情熱を内包しながら
子どもたちに伝えようとする姿は
その場の意識をぐっと引き込み、
限られた時間を濃密なものとしていた
そして、その熱量に応えるように
バスケットが上手くなりたいと真剣に取り組み
時には笑顔を見せて、楽しさを滲ませる
子どもたちのひたむきな姿から
目が離せなかった
表情やワークアウトの様子はもちろん
この場に立ち込めている温度感も含めて
なんとか収めようと、
シャッターを切るのが楽しくて仕方がなかった
また、連日の猛暑続きのさなか
日本代表の快挙が
一斉にメディアで取り上げられ、
歴史的ともいえる
オリンピックの熱気に包まれていた頃
バスケットにおける
シュートの重要性を伝えようと
ワークアウトが開催された
もともとシューターとして活躍した
渡邉コーチだからこそ、
見せられる姿がそこにあった
シュートに対する想いが
伝わってきて、聴き入ってしまい
たびたびシャッターを切ることを
忘れてしまっていた
自分自身の身に置き換えて
子どもたちを見ていると
もし渡邉コーチのような存在から
バスケットを教えてもらっていたら、
スキルを磨くことが出来たのは
もちろんのこと
バスケットの見方や感じ方が
まったく変わっていたかもしれない
そう考えると
教えてもらっている
子どもたちは、本当に幸せだと思う
いい指導者に出会うことは、
じつは難しいことでもあるからだ
それは、ミニバスや部活動という
自ら指導者を選ぶことが出来ない場合において
起こりえることである
当時、私自身が感じていたように
〇秋田のバスケットの未来を思う
どこよりも子どもの数が少ない
秋田でバスケットをすることは、
窮屈に感じることもあるかもしれない
またバスケットが大好きなのに
居場所がない
バスケットを楽しめないと悩んでいる
子どもたちやその保護者の方がいるとすれば、
一度、渡邉コーチのワークアウトに
足を運んでみてほしい
バスケットをする場所は
なにも今いる場所だけではないのだから
新たな場所に
自分の身を置くことは
知らなかった自分の可能性を
見つけ出すことが出来るかもしれない
渡邉コーチと
ワークアウトに参加した子どもたちから
ずっと先に広がっていく可能性と
ワクワクした感覚を
どうか、実際に感じ取ってみてほしい
〇エピローグ
風の冷たさに季節の移ろいを感じて
いよいよ、オフシーズンが
終わろうとしている
今、振り返ると
バスケットが
すべての原動力になっていることに気づく
突き詰めると
秋田のバスケットに携わることに
心を動かされている
秋田には何もない
そんな悲しい言葉よりも
秋田にはバスケットがあると信じていたい
いったい、これからどんなシーズンが
始まるだろうか
今、とってもワクワクしている
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