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映画評論3「CATS」

新型コロナ騒動のおかげで、先週は日経平均が半年ぶりの安値になりましたね。
週末の先物の動きを見ても、まだ下がりそうな予感がします。
日本経済には大打撃ですね。

でも、考えようによっては、株のセールをやっているようなものでもあります。
買おうと思っていた株が軒並み2,3割引きで買えるような状況なので。
ということで、早速いくつか購入しました。

なるべく早く、コロナ騒動が落ち着き、経済が回復するように祈念しつつ、今回のnoteを書いていきたいと思います。

少し前にはなりますが、映画評論2で書いた「AI崩壊」を観た翌日に、2日連続ではありますが、連休だったので映画を観てきました。
いろいろと話題になっている、映画「CATS」です。

作品情報

CATS:2020/01/24 公開
視聴日:2020/02/24

監督:トム・フーパー
製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ
出演:フランチェスカ・ヘイワード、ジェームズ・コーデン、ジェニファー・ハドソン、テイラー・スウィフト、ジュディ・デンチ、イアン・マッケラン

「レ・ミゼラブル」「英国王のスピーチ」で知られるトム・フーパーが監督を務め、スティーブン・スピルバーグが製作総指揮を務めるという豪華な布陣です。

主役に英国ロイヤルバレエ団プリンシパルのフランチェスカ・ヘイワード、「ドリームガールズ」でビヨンセよりも歌がうまい役を演じきったことで圧倒的な存在感を示したジェニファー・ハドソン、ミュージシャンとして世界的に有名なテイラー・スウィフトと、キャストも非常に豪華です。

僕の生まれた年である(まったく関係はありませんが…)1981年にロンドンで初演されて以来、観客動員数は世界累計8100万人に達し、日本公演も通算1万回を記録するなど、世界中で愛され続けるミュージカル「CATS」を映画化したものです。

ストーリー

ロンドンの路地裏、白猫のヴィクトリア(フランチェスカ・ヘイワード)はジェリクルキャッツと呼ばれる、人間に飼いならされることを拒んだ猫たちに出会います。

生まれ変わり、新しい人生を生きることを許される、たった一匹の猫を選ぶ夜に、個性豊かな猫たちが歌い踊ります。

以上

恐るべきことに、ストーリーは以上です。
本当です。

いわゆるミュージカル映画なので、ある程度、歌と踊りを楽しむものだとは思いますが、映画ではかなりアグレッシブな試みです。

感想

いきなりですが、僕は映画に対して酷評する人があまり好きではありません。

オレはこんなこともわかってるぜ。と言っているように聞こえるか、本物の専門家のような人が詳細な分析をして突っ込みを入れているかの、どっちかの場合がほとんどだからです。

うがった観方をするくらいなら観なければいいし、2時間程度の映像にまとめるのに、突っ込みどころがないようにまとめていくのは現実的ではないでしょう。

もっと単純に純粋に楽しめばいいじゃないか。といつも思っています。

しかし、

この映画、

正直けっこうしんどかったです。

映画がつまらないと思ったことは、ほとんどないんですが、面白くはなかったです。

ただ、ここで酷評してもしょうがないし、いつもいやだなと思っている人たちと同じことはしたくないので、なぜこのように感じる作品になってしまったのかを考えてみたいと思います。

見た目が気持ち悪い。という元も子もない意見がネット上では多く見られますが、これはまあ仕方ないんじゃないかなと思います。
確かに違和感はけっこうあるのですが…

最初からハードルが高かった

まず、ミュージカル「CATS」というものの存在があまりに大きかったということが言えるのではと思います。

僕はあまりミュージカルというものを観たことがありません。
ミュージカル「CATS」も観たことがないです。

しかし、ミュージカルにまったく興味のない僕でも、当然「CATS」は知っています。
そして、映画でやるなら観てみようかな、と思うくらい、世界的に有名な作品であることは間違いないです。

作品の内容についてではありませんが、世界的な作品であることによる期待感から、ハードルが上がってしまっていたことも、観た後の残念な気持ちと無関係ではありません。

各論的には素晴らしい!?

歌や踊りを楽しむミュージカル映画。であるのであれば、歌や踊りの出来は重要な要素です。

まずは踊り、ダンスについてです。

僕はダンスについて造詣が深いわけではまったくありませんが、おそらくダンスや、キャストの動きは素晴らしかったのだと思います。

手先、足先にまで意識を張り巡らせていることが素人眼にもよくわかりました。
一つ一つの動きも非常になめらかでしたし、猫を思わせる動きについても素晴らしいものでした。

歌にしてもそうです。

世界の歌姫、テイラー・スウィフト。
「ドリームガールズ」でビヨンセを超える存在感を示した、ジェニファー・ハドソン。

この二人の歌が素晴らしくないわけはないでしょう。

歌も踊りも終始レベルの高いものだったのだと思います。
その瞬間瞬間を切り取れば、どれも世界トップレベルのものだったのでしょう。

しかし、それがただ漫然と2時間続くと、せっかくのいい歌も、退屈に聞こえてしまいます。

ライブでもそうですが、まったりと落ち着いたバラードを歌う時間や、それぞれの楽器だけのソロパートなどもありますよね。
全体の構成で緩急をつけるからこそ、ノリのいいヒット曲での盛り上がりは最高潮になるわけです。

ずっと、まあまあみんなが知っているミドルテンポの曲だけを繰り返していれば、よほどのファンは別として、退屈なライブだなと思ってしまうでしょう。

総論。全体像。

やはり全体の構成が重要なわけです。
ここで少しまったりして、ここで盛り上げる!
ライブを作るときにも、メンバーやスタッフはこのようなことを考えています。

結局は、それぞれとても高いスキルを持ったキャストが集まって、それぞれがいい働きをしているんだけど、全体としての流れや、山場の作り方がイマイチだったせいで、このような退屈な映画になってしまったのかなと思うわけです。

そうすると、全体を取り仕切る役割である、監督がいけなかった。
ということになろうかと思います。

しかし、この監督、そんなに無能な監督なのでしょうか?
今までの作品では批判もありますが、基本的には高い評価を受けている印象です。

監督自身も「CATS」というものの偉大さや、それぞれのキャストの素晴らしさに眼がいき、全体像を見失ってしまったのかもしれませんね。

のめり込んでいけばいくほど、全体像が見えなくなることは、映画に限らずよくあることです。

自分が作っているものが最高だと感じることはありますが、そういうときこそ一呼吸おいて、少し遠めから眺めてみるような姿勢が大切なのだと、改めて思わせてくれた作品でした。

この映画が好きな!?方へのオススメ

「グレイテスト・ショーマン」

監督:マイケル・グレイシー
出演者:ヒュー・ジャックマン、ザック・エフロン、ミシェル・ウィリアムズ、レベッカ・ファーガソン、ゼンデイヤ

今までミュージカル映画を観たことがない人が、もしこの映画を観た場合、今後ミュージカル映画を観ることはなくなってしまうかもしれません…

僕もあまりミュージカル映画が得意ではありませんが、それでもこの作品は素晴らしいです。

ストーリー、ダンス、音楽すべてが最高です。

ミュージカル映画の、突然歌いだしたり踊りだすところが気になるという意見はよく聞きますが、この映画はショーを作ることを仕事にしている主人公を描いているので、歌ったり踊ったりすることに対する必然性もあり、その点も気になりにくいと思います。

ミュージカル映画が嫌いと言ってしまう前に、ぜひ観てください。

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秋田 護
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