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微熱に揺らぐ〜コロナ禍の不安と体温計

コロナ騒ぎが本格化する前、父親が数秒で体温を測ることができる体温計を買っていた。BBloveというメーカーの非接触型の体温計。聞いたことない会社だなと思って調べてみたところ、どうやら香港のメーカーらしい。

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おでこに照準を定めてボタンを押すだけですぐに体温がわかる優れものだ。液晶を見てみると、表示されたのは、37.2℃。

平熱が大体36.3〜4℃なので、これに比べると微熱だ。いや、普通に熱があると言っても良い。でもそんなに熱っぽさは感じていないのだけれど。

おかしいと思いもう一回測る。

やはり37.2℃。

そういえばちょっと耳が赤く火照ってきている感じはあった。いやでもほぼ家族以外の人には会わない毎日を送っているのだが。えっもしかして少し出かけた時にかかった?それとも走りに外に出た時に移されてしまった?

いろんな思いが頭を駆け巡る。

もう一回測った。

37.0℃

若干下がったものの、まだ微熱だ。子供だったことは37.0℃も十分平熱の範疇だったのが、大人になってからは十二分に体調不良が実感できる数字になった。それに加えこのご時世、微熱も全く笑えない。

もしコロナだったらどうしよう。親とは濃厚接触しているし、90歳になるおばあちゃんとも近くで話している。直近2週間だったらそれなりの人とも関わっている。何かあったら全員に連絡を取らなくては。

とりあえず、念のために普通の体温計で測ってみた。数秒ではなく、数分かかるやつで。


すると「36.4℃」の表示が。

・・・平熱だ!

「ふう・・・驚かしやがって」

心には自然とナッパの一コマが浮かんできた。

数秒でわかるはずが、結局5分ぐらい体温測定に時間を使ってしまった。

体温計は大雑把に測ることができるタイプはあまり信用ができない。しっかり脇に挟んでそれなりの時間をかけて測るものでなくては正確ではない。分かってはいたけれど、心はどうしても動揺してしまう。

もしこれから県を跨いだ移動だったり、どこかのイベント会場に入る時に体温測定を求められるようになって、時間短縮の都合でこうした体温計が使われるとはじき出されてしまうのだろうか。恐ろしい。普通の体温計も持ち歩かなくてはいけない世の中になったりして…。


頭が騒ぎ立てる中、ふと気づく。TVやネット記事に触れる中で、知らぬ間に自分のマインドセットがネガティブな方に傾いていたことに。社会が未曾有の揺らぎにある中、自分の心もまた揺らぎの中にあることを思い知らされた。

この揺らぎ自体をすぐにどうにかすることは出来ないけれど、揺らぎの中にあるのだということは忘れないでいよう。

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