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人生初「インド」 従来のイメージと異なる現実を知った旅

旅を語るのにインドは行かざるを得ない?


誰もが抱く「インド」のイメージ。例えば「街中がカオス」「旅行者をだまそうとする」「痴漢など女性に対する性被害」「野良牛や野良犬」「列車が大量の人であふれている」「インドカレーとチャイ」「カーストがあった国」などかなと。また一方で、「IT大国」のイメージかもしれません。

インド・ニューデリーの街

インドへの旅はある意味「何度も行く人」「絶対に行かない人」に大きく二分されます。自分もつい先日まで後者。どちらかというと、子どものころから欧米へのあこがれ強く、インドはおろか近場のアジアより先に、アメリカ本土やヨーロッパへ足を運んでいました。今もそうです。
 
でも、「インドへいつか行かなければ」と、心のどこかでずっと引っかかっていました。エジプトやギリシャは行ったし、中国大陸を含めて東~東南アジア、オセアニアやハワイなどもう何度も訪れました。

旅を生業とする身としては、仏教の発祥国であり、世界一の人口がいるインドに行かずして旅を語って良いものかという思いが年々大きくなり、ついに2023年秋、インド行きを決断しました。
 

準備万端、でも現地で「ストライキ」に2度も遭遇

 
まず、インド旅行中に実践していたことは以下。結論から言うと、意外と旅費はかかりました。レジャー旅行ではなく、現地取材もあるほぼ出張だったので、念のため。
 
・利用航空会社はJAL(インド国内線はビスタラ)
・ホテルは4つ星クラス(1泊2万円弱)
・南インドのバンガロールと北インドの首都デリー
・現地移動は基本「Uber」
・タージマハルは日帰り、鉄道の座席は一番高いクラス
・ニューデリー駅周辺には近寄らない

バンガロールがあるカルナータカ州のストを伝えるインドの新聞

現地で遭ったトラブルは、バンガロールで2度も遭遇した「ストライキ」です。Bandh(バンドゥ)と呼ばれるスト中は街がシャットダウン状態となり、交通機関はほぼ止まり、店舗は臨時休業、会社はリモート、学校は臨時休校。

そのため、予約済みだった空港ホテルは当日キャンセルし、現地取材は急きょ延期に。昼の便なのに朝5時半に空港へ着いてずっと待つ羽目となりました。

4、5年に一度しかないストに2度も当たるのは不運ではあったものの、大きなトラブルはこのストだけで、無事帰国できたので「旅の経験値を上げた」程度に、今は思っています。 

インドに関する旅行ガイドブックに載っていないこと

 
インドの旅行ガイドブックやよく紹介されるインドに関する本などに載っているインドと、今回自分が体験したインドは、まったく違う世界でした。
 
特に、「自分が行く先々どの場所のトイレはどこもほぼきれい。トイレットペーパーもちゃんとあった」と言うと、わかりやすいかと。もちろん、インドにあるほぼ9割の公衆トイレは、トイレットペーパーがあるなどあり得ず、日本人からすると想像を絶するほど汚いのが現実。でも、インドにも先進国並みの場所も少なからず存在するのだなと。

ニューデリー郊外のショッピングモール

現地移動は、鉄道もバスも地下鉄も、現地在住の日本人は使わず、運転手付きのピカピカの高級車が基本。今回のインド、現地で知り合った方々皆さん、そんな生活でした。インドで一般的な富裕層が住むという「ゲートコミュニティ」という場所も、耳にしたことはあっても実際に行くと「なるほどな」と。結局、自分もインドでの移動手段は車(Uber)になりました。アプリを使えば便利で、日本よりもかなり安かったので。
 
バスは乗らなかったものの、地下鉄はバンガロール2回とデリー1回、あと、デリー郊外からアグラまで鉄道で日帰りしました。その途中で垣間見た光景は、日本で紹介されているインドほぼそのもの。それはそれだし、違う世界もある。結局「インドは多様性の国」と言われるがゆえんなのだろうなと。
 

インド旅には人それぞれ「適齢期」があるらしい


 もう少し若いころにインドを訪れていたら、旅のスタイルも違うかっただろうな、という思いも少なからず、いまだあります。
 
例えば、旅行ガイドブックによくある「●駅から徒歩●分」という情報。これがインドでは役に立ちませんでした。手荷物検査がある駅の構内はともかく、外はどこもカオスです。駅から一歩出るとリキシャがしつこく声をかけてきて、歩道には路上生活者がいて、特に外国人女性は好奇心の目で見られます。そんな中をたった数分でも歩くのは、現実的でなく、車を使ってピンポイント移動が無難。インドで初めて「旅行ガイドブックのアクセス情報がまったく役に立たない」と思わされました。

インドはどこでも人が多い

初めてのインドは、本来のインド体験ではなかったかもしれません。でもそれもあくまでインドの一面であり、大半の日本人が抱くであろうインドのイメージだけがすべてでもないわけです。「インドは多様性の国」と言われるほど、貧富の差があり、住む世界もはっきり違う。「インドはお金を出せば快適な旅ができる」と知ったことこそ、自分にとっては最大の収穫でした。今まで誰も教えてくれなかったことなので。
 
「インドには行ける者と行けない者がいるけれど、君はそろそろインドに行けるんじゃないかな」

三島由紀夫があの死の3日前、横尾忠則に電話で伝えたという有名な言葉。これを知ったのは、実はインド渡航直前。結局、旅のタイミングなど、人それぞれ。今回の初インドは、自分にとっては早くもなく遅くもなかったのだろうと、腑に落ちたのでした。

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