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ほんの一部スイカ【毎週ショートショートnote】

「さ、これで舞踏会へ行っておいで。ちゃんと12時までには城を出るんだよ。でないと魔法が消えちまうからね」

「ありがとう、おばあさん。じゃあ行ってきま……何これ、冷たっっっ!」

馬車に乗り込んだシンデレラが、座ったとたんに悲鳴を上げた。

「あー……ちょいと魔法が足りなかったかねえ」

魔女は杖でぽりぽりと頭を掻いた。

「いやね、店に行ったらカボチャが売り切れてたもんで。仕方ないからスイカを使ったんだけど、やっぱり馬車にするには水っけが多すぎたかねえ」

「あり得ない。魔法、ショボすぎ」

魔女はやれやれとため息をついた。

「贅沢だねえ、絹のドレスもガラスの靴も、みーんな無料タダで貸してやってるのにさ。馬車がほんの一部スイカだったからって、文句お言いでないよ」

「だって規格外の馬車で行ったら、優待効かないから駐車料金かかっちゃうでしょ!」
「大丈夫だよ。ちゃんと割引されるから」
「割引?」

魔女はにやりと笑った。

「ス・イ・カ・割・り」

(404字)


【あとがき】
毎度おなじみ、シンデレラネタでございます。すんません。
それにしても苦しい……
なんかどんどんお題がへんちくりんになっていく……

*この記事は、以下の企画に参加しております。


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秋田柴子
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