伝統芸能は生きていくために必要なもの

大熊町復興支援員コミュニティ支援担当の仕事に就く2014年より以前から、「原発事故被災地の伝統芸能はどうなってしまうのだろう」という想いをずっと持っていた。

原発事故の影響で町民は全国各地ばらばらに避難したため、その土地で行われていた伝統芸能は活動することが難しい状態となっていた。

「歌を歌うこと」が生活の一部であった私は、できることならその土地の伝統芸能を知りたい、継ぎたい、消したくないという想いがよそ者のくせに強かったと思う。

大熊町復興支援員コミュニティ支援担当として活動し始めてすぐ、2014年7月20日に衝撃的な体験をした。このことは一生忘れることはないと思う。

当時会津にあった大熊町の仮設住宅にて夏祭りがあり、そこで盆踊りが行われた。

太鼓・笛・歌・踊り。

小さいころ双葉町でも見たことのあるはずのその光景は、いままで見たことのあるそれとはまったく別のものに見えた。

櫓の上で見た彼らの演奏に、「これが音楽だ」と心の底から思った。

生活の中に根付き、人々の体に染み込んでいる音楽。それを聞くだけで人が集まり、心が躍り、懐かしさを覚え、体が動き出す。

伝統芸能や伝統文化というのは、生活するうえでは無くても困らないように見えてしまう。しかし、生きていく上で絶対に欠かしてはいけないもののひとつだ。

人がただいるだけでは「まち」にはならない。「当たり前」にあったそれらを「当たり前」にしていく作業をこれからも続けていく。

私は、今日も、笛を吹く。

福島に移住してから、篠笛をはじめました。だいぶ吹けるようになったよ!



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