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清水愛海選手、初優勝おめでとう!

そう、今節の下関オールレディースはめちゃめちゃアツいシリーズだった!

「転覆系女子」などと言われて、センスを称賛されながらも優勝まで8回の優出が必要だったやまとチャンプの清水愛海。その大胆なターン、進路取り、差しは女性選手離れしており、女子の中でレースをするとスピードの違いから判断ミスとなり、妨害を取られたり、自身が転覆したり、調子が良くなってくると攻めすぎてフライングしてしまったり、優勝まで長い道のりだった。

清水愛海をデビュー期からずっと追っている者として、一段階階段を登ったんじゃないかな?と感じたのは2023年11月の常滑戦だったかな。前節使っていた人のペラ調整がすごく勉強になるものだったのか、なにか調整のコツを掴んだようなイメージに見えた。そして、その年の夏の事故禍での長期休み、ここはかなり調整の勉強をしたのではないだろうか。そのあたりから、ダメなモーターでもそれなりの成績をとったり、最終日に近づくにつれていい感じにしていたりすることが多かったように感じる(直接聞けるわけではないから、ファン目線として)。

こういった流れがあって、2024年はより冷静にレースをしているように見えていた。事故や危ないレースにならないような進路取りをしつつ、ギリギリを攻めていけるような鋭さ……。着実に勝率を上げて、来年1月からはいよいよA1級レーサーになることが確定し、いよいよ優勝!

今節は「アシが他の人よりも分がいい」とコメントしていた通り、順当に準優勝戦までコマを進めた。とはいえ、予選最終日の6コースからのレースが上手くいかなかったことで、2コースから。優勝戦のメンバーは、

  1. 谷川里江
    常滑の女傑。50代終盤ながら、伸びのある調整でとにかく捲る。この下関では、良いモーター、良い調整ができたようでどっからでも捲っていくレースで7年ぶりの優勝に王手

  2. 清水愛海
    地元下関で初優勝を目指す!”ドボンクィーン”と言われるほどアグレッシブなターンが多く、センスを称賛されながらも安定した成績が取れず苦しんでいたが…

  3. 松本晶恵
    群馬のプロレスラバー。腕はあるが私から見ると高め安定だけどムラがある感じの選手で買いにくいのだけど、今節は安定した良い走りが多かった。テクニシャン!

  4. 米丸乃絵
    お父さんは競輪選手。父譲りの勝負度胸があるのか、ちょいちょいなんか強くなりそ~なムードがある選手。今節は伸びがいいモーターでしっかり捲って行くレースで信頼できた。初優勝を目指す。

  5. 守屋美穂
    女子のトップ選手の1人。SGの準優勝戦で残念ながらフライングをしてしまい今年はF禍で一般戦と女子戦まわり。調整力もテクニックも経験もこのメンバーでは格上。あまりアシが良く無さそうだったが最終日に向けて仕上げてくるのは流石。正直、準優勝戦すらあやういのではと思っていた。

  6. 鎌倉涼
    ここ最近は地味だけれど、安定した成績を残すテクニシャン。この優勝戦でも6コースだけどちょっとした伏兵といったイメージで。

今節は米丸もめちゃめちゃいいレースをしていたし、仕上げてきた守屋にも優勝して欲しい気持ちだった、もちろん6コースから優勝を狙う鎌倉も熱い展開。そしてなにより谷川さんだ。捲り屋の選手って、どうしてもピンかパーか……といった感じになりやすいのだけれど、今節はバチバチに行っていたし、なんせ自分が年令を重ねるにつれて、若い人と同じ舞台で肩を並べて戦うことの凄さをヒシヒシと感じている今日このごろだからこそ、年配気味の選手が気炎を上げていると問答無用で応援したくなってしまう。(よだんだけれど、珍しくYoutube番組に出ていた時めっちゃかわいかった)

今節ほどみんなが勝てれば一番いいのに・・・!と思えた優勝戦はなかった。

ボートレースは内側のコースにいる選手がどうしても有利になる。スタートして最初のターンを終えた時に前の方にいる人が勝ちに一番近くなる競技。とはいえ、不安定な水の上でのレースだから、外のコースから勢いよく捲ってきた時に、1番内側のコースでスタートしたとしても、自分の体が”捲くらせないように反応”して大きく膨らんでターンしてしまうこともある。

そうなると、ほかのコースが隙を付いてくるわけで…一番内側のコースからスタートする艇が負けるのは、

  • 外から捲くられる

  • ターンマークと自分の間の内側を通過されて抜かされる(差される)

というパターン。ターンマークと自分との間の距離を空けすぎないように、かつ、外側の艇が自分を捲っていかないように牽制しながら回れれば、だいたい逃げて勝てる(決まり手:逃げ)競技である。

この優勝戦で、谷川さんも一番内側のコースからトップスタートを決め、松本と米丸は攻めてきたが、かなりしっかりと逃げの体制を作れた……はずだった…。

『出足と回り足が良いので、優勝するなら”差し”だと思っていました。』

優勝した2号艇の清水愛海、初優勝がかかったレースで決め打ちの「差し」。実況も言っていたように「直で捲ることもあるのでは」と思われる中で「絶対に差す」と決めていた清水の度胸。

谷川さんの逃げはかなり完璧な逃げだったように見える。少なくともよくあるような”外を意識しすぎて張りすぎて内差しされちゃう”ようなターンではなかった。ぎりぎり攻めを受け止めた逃げ、にみえた。

足は清水が仕上がっていたけれど、谷川さんだって互角。差しに決め打ちした清水の勝負度胸と、今日の下関の風が最初のターンマークから外に向かっての3Mの追い風傾向だったこと(風でターン後に少し流れやすい状況と言えよう)……松本も米丸もそして、守屋の艇もぐぐぐっと伸びてきたことで、逃げる側が少し意識したこと……度胸と運と展開が僅差の勝負に白黒つけたカタチとなったように思えた。う~~~ん、アツい!

1周2マークで谷川さんと清水の競り合いにケリが付いたあとは、守屋・米丸・鎌倉の三者による3着争いがデッドヒート。ここでも”運”と”流れ”を意識せざるを得ない。最終1マークで積極果敢に先に回った米丸が曳き波に一瞬ハマり、それによって大きくスピードダウン。米丸とターンマークの間を行こうと思っていた守屋は事故を避けるために舵を切る。ここで奇しくも3着を狙えた守屋の勝負はついてしまった。思い起こせば、今節はだいたいこんな感じのレースが多かったように思える。(もっとも、バチバチの男子と競り合っている選手にとって、ペースが異なる女子戦で調子を崩したり、うまくレースが運べなかったりするのはよくあること)

そんな流れの中でも自分ができる最善のことをして結果を出す、を徹底して実践するプロ。これは学びになるポイントだ。

もう何年もレースを見ているけれど、1、2を争うアツい名勝負、名シリーズの下関オールレディースジュエルセブンカップだった!

清水愛海選手、地元での初優勝おめでとう!
勝利者インタビューでのコメントも謙虚で大変好感が持てるものでした。これから、記念戦線でバリバリ活躍して、SG獲ってくれよな!


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