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造血幹細胞移植メモ①
1.HLAとは
HLA:白血球に存在する複数種類の抗原型のこと
HLA分子
:クラスⅠ(HLA-A,B,Cなど)、クラスⅡ(HLA-DR,DQ,DPなど)の2つに大別される
2.移植におけるHLAと適合数による影響
現在、移植の際に着目されているHLAアレル
:HLA-A,B,C,DRB1
それぞれのアレル基が2つの遺伝子を持っており、移植の際に着目するものが8座存在することになる。
それぞれが適合しているかどうかで、移植成績に影響が出ることが、研究で明らかになっている。
①移植後死亡率
HLA-A,B,C不適合の場合は移植後死亡率が有意に高い。
骨髄バンク基準では、HLA-A,B,DRB1の適合のみに着目している。HLA-Cタイピングは最近導入されたものである。
しかし、近年の研究では、HLA-DRB1,DQB1の両方が不適合である際に、有意に死亡率が上がった。
そのため、HLA-DQB1の測定も重要であるとされている。
②生着率
HLA適合と生着には有意な相関が見られなかった。
③GVHD
HLA-A,B,C及びHLA-DPB1不一致である場合、重症(Ⅲ〜Ⅳ度)GVHDを発症するリスク比がフルマッチよりも有意に高い。
慢性GVHDでは、HLA-C不適合のみがフルマッチに比べて有意に高い結果となった。
④GVL効果
HLA-C及びHLA-DPB1が不一致である場合、白血病の再発率が有意に低下した。
また、HLA-DPB1が不一致である場合は、死亡率の低下が有意には見られなかった。
すなわち、HLA-C及びHLA-DPB1の不適合はGVL効果を生じやすい。
特に、HLA-DPB1の不適合は、死亡率を上げることなくGVL効果を生み出すことができる。
3.ドナー選択の指針
バンクドナーについて、現在は、
①HLA-A,B,C,DRB1アレル適合(8/8match)
②HLA-A,B,C,DRB1いずれかの1アレル不適合(7/8match)
③HLA-A,B,C,DRB1いずれかの2アレル不適合(6/8match)
の順でドナー選択を行う。
しかし、③の2座不一致は重症急性GVHDや死亡率の増加が明らかであり、他の代替移植細胞ソース(臍帯血、HLAハプロタイプ)が得られるかどうかや疾患の状態、患者の全身状態などを考慮した上での総合的な判断となる。