翔べ君よ大空の彼方へ 4-⑳ キングジョージ
「さあゲートが開いた!今、伝統の1戦がスタートしました!世界の頂点に輝くのはどの馬か?やはり速い!ハナを切るのはやはりこの馬だ!大外からヴァイオレットエヴァーガーデンが一気に先頭を伺う!インからロゼッタストーンもダッシュを効かせ2番手につけるが、おお〜っと
!ヴァイオレットエヴァーガーデン、ロザーリオン手綱をがっちり引いたぞ⁉︎これは番手につける作戦か?ロゼッタストーンがハナを奪った!鞍上ラーヴル押して押してロゼッタストーン先頭に立ちました!世界の精鋭10騎を引き連れて、ラーヴル自信に満ちた逃げを打ちました!
世界中の競馬ファンの視線が、このアスコット競馬場に注がれています!」
レースは予想外の展開となった。
まず間違いなくハナを奪うと思われたヴァイオレットエヴァーガーデンがスタートこそ飛び出したものの、鞍上ががっちりと手綱を絞り、1番人気のロゼッタストーンが押して押して敢然と先頭に立った
。
前走プリンスオブウェールズSでハナを切り、4馬身差を付け圧勝した逃げ先行脚質の愛馬を、主戦ラーヴルは自信を持って導いた。
昨年、熱発で回避した無念を晴らすかの如く脚を伸ばし、2コーナーまでに4馬身のリードを取った。
単独2番手に3番人気のヴァイオレットエヴァーガーデン、1馬身後方に3頭が並走、インからフェンシングボーイ、横にリオデラプラッタとハッピーモーニングの香港勢、その真後ろにインを追走する5番人気のゲメインシャフト、真横にピタリと付けるは4番人気の愛最強牝馬ディヴァインリリー、2馬身後方に3週間前の仏G1サンクルー大賞の勝ち馬サンダーボルトがインを追走、その外に6番人気のバッケンレコード、1馬身離れてオーストラリアンオークス馬ビューティーパンサー、そして最後方、2番人気のガルデリネルジェス、先頭から最後方まで約12馬身、縦長の隊列、レースは平均的なペースで進んでいた。
鞍上の彼らの耳に届くのは、今はまだ、愛馬が刻む疾走音と、ターフを駆ける彼らが創り出す、風を切り裂くその音だけである。
ラーヴルは冷静沈着に、淡々とペースを刻んでいた。
地元の期待を一身に背負いながらも、焦りは微塵も見られなかった。
愛馬は自信に満ちた脚取りで悠々とターフを駆けていた。
ヴァイオレットエヴァーガーデンを操るロザーリオンもまた、冷静にレースを進めていた。
古馬になり、瞬発力に磨きのかかった今ならば、2番手からきっちり前を捉え
、抜け出せる力は十分にある。
〝天国の彼に勝利を届けなければ!〟
ロザーリオンはしかと、先頭を走るその馬の背を見つめた。
日本馬ゲメインシャフトとバッケンレコードの末脚は世界トップクラスであると承知していた。
凱旋門賞は、ゴール寸前で捉えたものの、ジャパンカップでは追い込み届かず、逃げ切りを許した。さすれば、日本馬2頭と愛オークス馬、4頭の叩き合いに持ち込み、彼本来の闘争心を目覚めさせよう!
B、バシュロンは相棒に、合図の右ステッキを一発入れた。前を走るビューティーパンサーをパスし、サンダーボルトとバッケンレコードの隙間に愛馬を導いた
。
場内にどよめきが起こった。
バッケンレコードの主戦、河田ユウは
、ディヴァインリリーの真後ろに彼を導き、ベストポジションでレースを進めていた。
「ユウが1番強いと思う馬をマークすればいい。知っていると思うが、この馬は馬群に入れても良し!内からでも外から突き抜ける力があるから!」
鷹は念入りに、このコースの仕掛け所をアドバイスしていた。
「では、先輩をマークします!」
彼はとびきり満面の笑顔を見せた。
鞍上鷹は距離ロスを避け、インをピタリと追走していた。
長身をしなやかに折りたたみ、まさに人馬一体、美しいフォームに乱れは全く見られなかった。
彼はしなやかに、かつ力強く緑の芝を蹴散らしている。英国の芝に戸惑う様子は見られない。それも当然である。ここ英国でG1レースを勝っているのだから。
距離不安により5番人気に人気を下げているものの、何といっても国内外G1レース6勝馬。それに•••。
「俺とお前、どっちかで勝てるようにベストを尽くそう!あいつの為にもな!」
そう言った以上、簡単に引き下がる事はできない。
〝力を貸してくれよな、翔馬!〟
鷹は勝負の刻を見逃す事のないよう、全感覚を研ぎ澄まし、その時を待った。
観衆の大歓声が彼らを迎え入れる。
愛馬の疾走音と、空気を切り裂く音が掻き消され、ただ1頭の勝者を目指す為の
勝負のホームストレッチ•••全馬が闘争心を剥き出しにして、今、勝負の刻が始まった。
PS•••いつもお目に留めていただき、心より感謝申し上げます🥲🥹次回配信は2月24日土曜日午前8時です。世紀の一戦
、いよいよ決着!勝者は一体⁉︎
🐴👀🥹🐴👀🥹🐴👀🥹🐴👀🥹🐴👀🥹
馬旅byベルモントファーム🐴🐴
知人の紹介により見学の許可が出て、足を踏み入れたベルモントファーム🐴🐴
厩舎見学、作業風景、陽気でありながらも仕事に集中するインド人ジョッキーの真剣なる眼差しと、目の前で繰り広げられていた、今年デビューするサラブレッドの疾走をこの目で見て、深く感じ入る事がありました。
滅多に見学許可が出ないという事で、
この機会を与えてくださった、オーナー様、P様、本当にありがとうございました。
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AKIRARIKA