翔べ君よ大空の彼方へ 5-❶ 邂逅
緑に囲まれた高台からは、陽光を浴び
キラキラと輝く琵琶湖を望む事ができる
。美しい景色を見下ろす事のできる墓地に、数多くの競馬関係者が集まり、その一人一人が1本ずつ、彼の大好きな君影草の花を手に、彼に思いを馳せていた。
遠くはイギリス、フランス、アメリカからのトップ騎手、調教師が、国内からは北の大地の牧場関係者や馬主、調教師
、騎手仲間•••世界中のホースマンが一堂に会していた。
彼の笑顔を模したレリーフが墓石の中央にはめ込まれ、その下には〝RIZING SUN!朝日未来よ永遠に!〟と彫られていた。
1本ずつその供花が飾られ、彼のお墓はますます賑やかになったようだ。鼻をくすぐる良い匂いが辺りを満たす。
この場所に集まったすべての者がこの一年を振り返り、いかに彼がファンに愛されていたかを改めて認識すると共に、天国で眠る彼が、どうか私達の仲間を守ってくれるように•••と、心から願ったのだった。
夕刻、1人の少年が2人の大人に連れられて、墓地へ向かう階段を上っていた。
夕日が琵琶湖を赤く染め上げていた。
恩人との約束を破るわけにはいかない。少年は息を切らしながらも、2人の大人を振り切って、階段を駆け上がった。
「1番だあ〜!」
少年の元気な声が、広大な墓地に響き渡る。2人の大人は目を見合わせて笑った。
「未来君、早いなあ〜!」
少年の手にも、1本の君影草の花が握られていた。
3人はお墓の前で立ち尽くした。
彼のお墓が、数え切れないほどの君影草で埋め尽くされていたのだ。
「これは•••凄いね•••」
歩夢が呆れながら言った。
「何か凄く良い匂いがするわ」
久美は花に近づき、その香しい匂いに頬を緩ませた。
少年は持っていた花を供え、目を閉じて手を合わせた。
〝これからもたくさん乗馬頑張ります!応援してください!そして、翔馬さんがも早く戻ってこれるように導いてください•••〟
少年の祈りを聞き届けたのか、柔らかな風がそっと君影草を揺らした。
3人が祈りを終え、彼のお墓を後にしようとしたその時、砂利を踏みしめ歩いてくる1人の姿を認めた。迷わずにこちらに向かって歩いてくる1人の男性は白衣姿であり、手には杖のようなものを持っていた。
やがて男性は、3人の前で立ち止まり一礼をした。慌てて3人も一礼をする。
すると、男性が驚きを隠せない様子で一声を発した。
「歩夢と久美さんか?」
男性が菅笠を外し、顔を露わにした。
「先生•••ですか⁉︎」
歩夢と久美は思わぬ邂逅に驚きながらも、何か目に見えない力が働いているのを実感せざるを得なかった。
PS•••いつもお目に留めて頂き、心より感謝申し上げます🥹🥹次回配信は3月16日土曜日午前8時です。天国で眠る永遠のライバルが翔馬にエールを送ります📣📣頑張れ大空翔馬🐴💨
それではまたお会いしましょう🙏🙏
PS②•••皆様、花粉症は大丈夫ですか?🤧🤧持っている方はどうぞお大事に🙏🙏
AKIRARIKA厩舎新規入厩馬🤭
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