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翔べ君よ大空の彼方へ     8-19 天国

 未来はいつもライバルを追い掛けていた。ただ1人のライバルを。

 競い、励まし合い、笑い、時には激論を交わし、同じ時間を共有し成長した。
 馬体を併せあった。ステッキを振るいあった。その背を追い掛けた。
 たとえ、別々の道を歩もうとも、いつまでも戦い続ける事ができると思っていた。

 けれど•••手を伸ばせども、決して届かない場所に来てしまった。
 それでも、未来は遠い場所からライバルを見続けた。

 1頭の天馬が悲観に暮れる未来を見つめていた。

 天馬は未来に近付き、背に乗るように促した。天馬は、その背に未来を乗せ駆けて行った。
 どこまでも広がる大空へ。

 やがて天馬が立ち止まった。
未来の瞳に映ったのは、数え切れない程の天馬が大空を駆けている姿であった。

 嬉々として、跳ねるように、飛ぶように。
 所々に浮かぶ雲の上では、水を飲み、草を食み、寝転がり。ただの一頭も馬具も付けず、まるで野生の如く、気の向くままに天を駆けていた。

 未来には、彼等の、彼女等の声がはっきりと聞こえた。

 「あそこで外に出してくれれば、俺はもっと走れたんだ!そうしたらあのG1を勝てたのに!」

 「あの子可愛かったから、ずっと横で眺めながら走ってたんだけど、嫌われたのかなあ。あっという間に行っちゃったんだよ!後でいっぱい飾り物つけてて可愛かったなあ〜」

 「砂の上走るのは本当に嫌だった!ここは砂がないからいいや!」

 「ああ••• 一度でいいからあの人の子供産みたかったなあ〜」

 未来はギョッとして耳を疑った。
〝まさか•••これって?〟

 天国って、こういう場所なんだな•••納得するしかなかった。もう二度と戻れないのだから。
 しかし•••現役時代にこんな能力があったら大変だったろうな。未来は、腹を抱えて笑い出した。いや、待てよ⁉︎あいつ
、もしかして⁉︎

 ライバルが海外で走るレースを見ていた。
〝強い馬だなあ•••それにしても懐かしい•••決着、付けれなかったよなあ•••〟

 そう思っていたその時、馬具を付けた1頭の天馬が未来に近付いて来た。

〝乗れ!〟と促していた。
未来が首を捻りながらその背に乗ると、天馬は時空を超えるようなスピードで駆け出し、そして、着いたのだ。その場所に。ライバルがいるその場所に。

 夢の、場所に。

〝戦えるのか⁉︎〟天馬は頷いた。
未来の全身に気力が、闘志が漲った。

 その存在に気付いてくれるのかは分からない。けれど、あいつらならもしかしたら•••。

 人馬は最後方を進んだ。
 ゆったりと、ゆっくりと。

 天馬も喜びを表していた。
駆けている事の喜びを全身から溢れさせ、ターフを嬉々として駆けていた。
 素晴らしいバネ、その馬体に秘められている能力をひしひしと感じる。間違いなく名馬であった。

〝この馬どこで走っていたんだろう?〟
未来の呟きに天馬が答えた。
〝イギリスだよ!〟と。
〝本当はこのレースに出る予定だったんだ!〟とも。

 驚く未来に、天馬が突然全身に力を込め、まるで、宙を飛ぶように疾走を始めた。
 素晴らしいスピードであった。
 未来もまた、彼と一体となるかの如く
、意識を集中した。
 次々と他馬をパスし、あっという間に先頭へ立った。

〝さすがはフランス2歳G1レース2勝馬
!さすがの脚力!•••早く来い!〟

 人馬は先頭で、ライバルを待った。
そして•••彼等は気付いたのだ。その存在に。

 嬉しかった。
もう二度と叶わないと思っていた夢•••
全力で戦いあった。人馬と共に。

 その馬は、想像以上に強かった。
天馬は負けてもなお、喜びを全身から表していた。夢を叶えた事の喜びを。

 悔しかった。
彼に勝利を届ける事ができなかったから
。けれど、自然と笑みが溢れた。

〝くそっ!ダービー•••取られたな!〟
ライバルは笑っていた。未来は空を見上げた。別れの時間であった。

〝いつか、また会えるかな•••〟
未来は天馬に乗って宙を駆けて行った。

 空から見るエプソム競馬場は、キラキラと輝く、本当に美しい競馬場だった。


 2人の瞳から頬へと流れ伝う、その熱き愛情•••。
 夢ではない•••彼が、愛馬が駆けているのだ。今、生き生きと、ライバルと共にターフを。

 先頭を駆ける愛馬が今•••。

 「おじさん、おじさん•••見える?」
 「ああ•••駆けている•••あの子が•••」

 2人は涙を拭いた。
 彼の姿を目に、心に刻み込む為に。
 焼き付ける為に。


 未来は、そのレースの返し馬を見つめていた。ライバルが操る世界最強馬のラストレースを。

 その超絶的な強さを身を持って知り、
また、そのすべてのレースを目に焼き付けていたのだ。
〝こいつが相手じゃ、いくらなんでも太刀打ちできないだろう〟

 未来が空の上からそのレースを眺めていると、一頭の天馬が彼に近づいて来た

 未来は、息を呑んだ。

 その天馬もまた、紛れもなく世界最強馬であった。
 未来は立ち上がり、彼の美しいたてがみを撫でながら呟いた。

 「連れて行ってくれ!お前と一緒に戦いたいんだ!」

 天馬は大きく、宙を蹴った。


いざ、あの場所へ🐴💨🔥

 PS•••いつもお目に留めて頂き、心より感謝申し上げます🥹🙏

 次回配信は•••

 必見!!!!

 二人の声が重なり•••。

 史上最強馬二頭がゴールを駆け抜けます💨🔥💨

 その熱く滾る闘いの結末はいかに⁉︎

 それではまたお会いしましょう🥹🙏

          AKIRARIKA


最強ダート王者決定戦🐴💨
チャンピオンズカップ👑👑
レモンポップ断然人気🍋🍋🤔🤔
さあラストラン🐴💨🔥😤
父レモンドロップキッド産駒の種牡馬って
国内にいたかなあ🤔🤔
 頑張れ💨💨📣📣
3連単1着固定😅🙏
高配当連れてきてねー🍋ポップ君🤣🤣
ルージュミステリオ号
ナダル🤔🤔💨💨
曽祖母ロンドンブリッジ
母系は超良血だよなあ😊😊
曽祖母ロンドンブリッジ😍😍
私、いつデビューできるのかなあ🥹🙏🙏

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→AKIRARIKA←
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