翔べ君よ大空の彼方へ 5-㉑ 火炎琉星
それは明らかに異質の馬であった。
騎手になって9年、いや、昨年は騎乗していないから8年か•••あまりにも美しすぎるその馬が、まるで宙を飛ぶかのように翔馬の前を駆けてゆく。
透き通るような青毛の馬体、白銀のたてがみと尾が風になびき鮮やかに。
額に映えるスターマークと炎のような白い流星、そして4本の長い白斑。
いかにも柔らかそうな背中、ヒョウのように伸縮する胴体と、うねりを上げるその長い前後肢。
まだ小柄ではあるが、胴長体型の美しいシルエット•••まるで奇蹟を目の当たりにしたかのように、翔馬はその青毛の馬に熱い視線を注ぎ続けていた。
「お前がこの世に送り出した馬だからな」
翼は、水が入ったバケツと何やら重そうな大きなリュックを草の上に置いた。
「さて•••そろそろご対面と行くか!」
翼はそう言って指笛を吹いた。彼の耳がその音を捉えたのだろう、全速力でこちらへと向かってくるようだ。
〝おいおい!ちょっとやばいって‼︎〟
翔馬の焦りを嘲笑うかのように、彼は一切の減速をすることなく、2人の2メートル程手前で大きくジャンプし、高さ150センチの柵の遥か上を飛び越えてしまった。
翼は笑った。翔馬はあまりの出来事にあっけに取られていたが。
「おいおい、ご主人様が驚いているじゃないか!」
今が正に成長期の彼は、翼のリュックに入っていた人参5本、りんご3個、バナナ3房をあっという間に平らげ、バケツの中のミネラル水を胃に流し込み、ようやく一息ついた様子である。
翔馬はその美しい鼻面を、白銀のたてがみを優しく撫でていた。
彼もまた、翔馬が何者であるのかを悟っているかの様子•••じっと翔馬の瞳を見つめている。
「乗ってみるか?」
「は⁉︎」
「乗りたいんだろう?」
〝おいおいおい、何言ってるんだよ!まだ育成牧場にも行っていない段階で乗れる訳がないだろう。馴致も終わっていないのに!〟
翔馬の心の内を読み透かしたかのように、翼はニヤリと笑いながら、その背に次々と馬具を乗せ始めた。
頭絡、馬銜、鞍、鎧•••あっという間にすべての準備を整えた。
青毛のその馬はいささかも驚く事なく
、翔馬をじっと見つめていた。
〝嘘だろ⁉︎1歳のこの時期に⁉︎〟翼は頷いた。
「お前がご主人様だからな!軽く走って来いよ!」
翔馬は半信半疑ながらも、翼の両の手に左膝を乗せて、勢い良く馬上の人になった。
翔馬は宙を駆けていた。
彼がこの世に生を受けてから1年と少し
。
しかし、その体内から迸る強烈なエネルギーに驚きを禁じ得なかった。
風を切り裂く、そのスピードに。
苦もなくあの高い柵を飛び越えた、その身体能力に。
まるで、自身の力を確かめるかのように、そして自分が何の為に生まれてきたのかを理解しているかのように、大地を疾駆する。
もし、この場に並走馬がいたならば、この小柄な体に秘められた、燃えたぎるような闘争心が爆発するのだろう。
このまま成長をしたならば、一体どれほどの馬に•••。
彼は、従順に翔馬の指示に従っていた。
やがてスピード落とし、トロットで軽く牧草地を周回し、翼の前で足踏みをして停止した。
〝もう終わり⁉︎〟
彼の瞳がそう訴えているかのように、翔馬に鼻面を寄せ、甘える仕草を見せていた。息の乱れも全く見せずに。
これが不世出の名馬、ファイアスターと大空翔馬のファーストコンタクトであった。
放牧地横に新たに新設された2階建てのログハウスから、多くの人々が驚きの目で、この主従を見守っていた。
PS•••いつもお目に留めて頂き、心より感謝申し上げます。次回配信は5月25日土曜日午前8時です🕗
遂に!遂に!
割れんばかりの大歓声が翔馬を包み込みます📣📣💥💥🥲🥹
それでは25日にお会いしましょう🙏
AKIRARIKA
オークス回顧
😢😢チェルヴィニアを完全に舐めていました😢まさかの桜花賞二桁着順からの巻き返し🤥😳😳
素質があるのはわかっていましたが、まさか😅さすがにルメさん👍桜花賞13着に負けた馬が、オークス2番人気って⁉︎😰😰
やばい😨ダービーは当てなきゃね😤😤
北のうまやさん、本当にありがとうございました😊来月から士別に移転とのことで、色々と大変だと思いますが、お馬さんと共に力を合わせ頑張ってください📣📣また秋に伺わせて頂きます😊
AKIRARIKA
この作品を通して、養老牧場への牧草寄付等の引退馬支援を行います。その為のサポートをしていただければ幸いです。この世界に生まれたる、すべてのサラブレッドの命を愛する皆様のサポートをお待ちしております🥹🙇