翔べ君よ大空の彼方へ 9-❸ 夢の続き
「これは強い!フォーヌ圧倒だ!2馬身から3馬身、突き放した!父フォンテンブローさえ果たせなかった三冠の初戦をその息子が圧倒だ!フォーヌ圧勝!フォーヌ圧勝!見事圧倒的1番人気に応え、仏二千ギニーを制覇〜〜!視界良好!見据える先は•••」
「先頭はフォローミーアップ!堂々駆け上がる!リードは2馬身!2番手にマリンバ懸命に追う!3番手とは5馬身の差!残り200、さあ前2頭の争いに絞られたぞ!
先頭はフォローミーアップ!
日本からの刺客がゴールへとひた走る!
父はわが国が世界に誇るフォンテンブロー、母レトロワグラースとの母子制覇に向けて、一歩一歩力強く駆け上がる!
さあマリンバ差を詰める!じわじわと来ているぞ!残り100、フォローミーアップ先頭!半馬身!しかしフォローミーアップ伸びた!偉大なる父と母の血が目を覚ました!
離した!突き放した!
フォローミーアップ先頭!フォーミーアップ、リードを保ったままゴールイ〜〜ン
‼︎日本からやって来た3歳馬フォローミーアップ、ジャックルマロワ賞を、母レトロワグラースとの母子制覇を達成しましたあ〜〜〜‼︎」
2年間の供用で250頭の種付けを行った白馬が帰国の日を迎えた。
隣の馬房では、強者同士ウマが合ったのだろう、ファイアスターもまた寂しさを隠せない様子である。
翼はファイアスターを慰めるかのように、そのたてがみを撫でた。
「フェニックスはお前と一緒で、日本だけではなく、世界中にその血を広めなきゃならないんだ。今、お前の血を求めて世界中からたくさんの繁殖牝馬がウチの牧場に来てるだろう?今度はフェニックスが故郷に帰って、その役目を果たさなきゃならないんだからな!」
フェニックスルージュが馬運車へ一歩足をかけたその時、ファイアスターは甲高く嘶きを発した。
2頭は瞳を合わせ、互いに空を見上げた
。さざ波のような雲が浮かんでいた。
思いは、通じたのであろう•••フェニックスはじっと彼を見つめ、やがて馬運車へと乗り込んだ。
〝いつかまた会えるさ•••〟
2頭の惜別の嘶きが、8月の大空へと溶けて行った。
「ダート三冠最終戦ジャパンダートクラシック、圧倒的1番人気のスナノオウジャ、単勝は1.2倍!父、砂の王者のユーアーマイン、初年度産駒からダート三冠馬輩出となるか!今日も一際輝くその雄大な馬体を更に大きく見せて、悠々パドックを周回しています!」
「コルトパイソンの状態はいかがでしょうか?」
「そうですね。前走天皇賞2着の後、状態は急激な上昇カーブを描いています。有馬は回避させていただきますので、ここに全力投球です!ダービー勝ちのこのコース•••父コルトガヴァメントとの父仔2代制覇に向けてしっかりと仕上げていきたいと思います!」
この年、世界中を賑わせた名馬達の子供が、続々と輝きを放つ第一歩を刻んだ
。
「これは強い!影をも踏ませぬその走り
!見事に共同通信杯を逃げ切ったゴールデンスワロー、見据えるは第一冠!父スターダイナマイトが惜敗した皐月の舞台
!父の代わりに俺が勝つ!ゴールデンスワロー、2歳王者の力をまだまだと見せつけましたあ〜〜!」
「パパ、あのおうまさんキラキラと光ってるねえ」
「お!どれだいエミリー?」
「えと、7番のお馬さん」
「お〜、ライオンキングだね!」
「うん!強そうな名前だね!」
「そりゃそうさ!ライオンキングのお父さんはね、米国の二冠馬で、英国や日本の大レースにも勝った名馬なんだ!」
「じゃあ、ライオンキングが勝つね!」
「ああ!じゃあ一緒に馬券を•••」
アマーティー•••雄大なるその重厚な
馬体が力強く大地を疾走する。
柔らかく、力強く、飛ぶように。
類稀なるその天性の才能•••その走りは偉大なる父を彷彿とさせるかのようである。
〝まるで•••カルデリネルジェスの生き写しではないか•••〟
B•バシュロンは馬上にてほくそ笑んだ
。バシュロンは下馬し、愛馬を見守っていたロッシと笑みを交わした。
夢の続きが始まった。
PS•••いつもお目に留めて頂き、心より感謝申し上げます🥹🙏
次回配信は12月28日土曜日正午となります🕛。
青い空、白い雲、容赦なく照りつける太陽と滴り落ちる汗•••あの偉大なる父達の血を受け継いだ競走馬達が力強くターフを駆けて行く暑い夏。
夢への一歩が始まります🐴💨🔥😤
それではまたお会いしましょう🙏🙏
AKIRARIKA
👑3歳牝馬64年ぶりの有馬記念制覇👑