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翔べ君よ大空の彼方へ     6-❸ 前を向いて


 10月。
 仏、凱旋門賞。
ここを引退戦と定めた2頭の叩き合いは、ゴール寸前までもつれ込んだ。

 地元の英雄ガルデリネルジェス、そして英国の英雄ロゼッタストーン•••人馬共にプライドを懸けた壮絶な叩き合いは、首差差し切ったガルデリネルジェスが引退戦を飾り、来春の種牡馬入りへもう一つの勲章を積み上げた。

 鞍上のB•バシュロンと馬主、調教師••• 3人の男達が肩を組み、咽び泣く姿が印象的であった。

 そして•••前年アスコットで悔し涙を流した日本の若手騎手が、歓喜の雄叫びを上げていた。

 英チャンピオンS。
並み居る世界の強豪を相手に、持ち前の鬼脚を炸裂させたバッケンレコードが海外G1初制覇、G1レース4勝目を挙げた。

 あの日を思い出したのであろうか•••河田ユウは、英国の晴れ渡る空を涙で滲むその瞳で見つめていた。


 天皇賞秋•••雲1つなく晴れ渡った東京競馬場のスタンドには、立錐の余地もない程の観客が押し寄せていた。

 ゲメインシャフト、スターダイナマイト
の2強対決•••それだけではない。ゲメインシャフトの馬上には笑みを浮かべる彼がいたのだ。
 彼の一挙一動に、大観衆の視線が注がれていた。
 ファンファーレと大観衆が作り出すハーモニーに全人馬奮い立ち、レースはスタートした。

 逃げるアモルファスがレースのペースを握り、1000メートル通過60秒のややスローに持ち込み、第3コーナー過ぎで一気にペースを上げ最終コーナーへ。

 インの3番手から抜け出しを図るゲメインシャフト、残り350でエンジンを点火
、坂を登り切ったところでアモルファスを捉え逃げ込みを図る。
 しかし•••残り100。
やはり、やはりやって来たスターダイナマイト。

 それは正に激烈な一騎打ちであった。
馬体を寄せ、互いを削り取るかのように叩き合った2頭は、後続を5馬身引き離しゴールを駆け抜けていった。

 写真判定•••興奮、静寂、そして歓喜と無念の、共に流す涙。

 勝者は僅かの差でスターダイナマイトに微笑んだ。
 勝利を飾る事はできなかったものの、その熱い走りを人々は忘れはしない。

〝次こそ‼︎〟
 人馬は共に前を向いて、東京競馬場を後にした。

 彼が当日の夜、成田空港から向かった先は豪州であった。


 11月。 
 やはり彼は強かった。
英G1レースで2着、3着•••その鬱憤を晴らすかの如く、フレミントン競馬場のターフを蹴散らし、3馬身のリードを保ち、昨年に引き続きメルボルンカップ連覇を達成した。
 観客は、スタンディングオベーションで人馬を迎えた。

 謝意と感謝を、そしてファンと共に流す涙•••豪州の空は、どこまでも青一色に染まっていた。


 米国、ブリーダーズカップクラシック•••世界の強豪を堂々迎え撃ったヴァイオレットエヴァーガーデンが見事、このレースを勝利で飾り、G1レース8勝目を挙げ、引退戦を飾った。

 レース後の表彰式で、主戦ロザーリオンは涙ながらに訴えた。

「彼の物語はミライが創り出した。そして今、物語は新たなる始まりを迎える。彼の血が次世代に脈々と受け継がれていく限り、ミライ•••君の名を忘れるものはいないだろう。
 ミライ•アサヒよ永遠なれ!」

 スタンドは熱狂に包まれ、ミライコールが自然発生的に湧き上がった。

 こうして、朝日未来は再び伝説となった。


 ジャパンカップ•••前走天皇賞秋を圧巻の豪脚で制したスターダイナマイトは、万全の状態で全馬未到のグランプリ4連覇を目指す為にパス、そして同3着のアモルファスもまた、中山コース4戦3勝のコース適性を考慮し、年末のグランプリへ向かう事が発表された。
 よって、このレースは外国馬4頭の参戦はあったものの、実質は2強対決の構図ととなっていた。

 1番人気を背負うのは、現役屈指の強豪
、前走英国G1を快勝した、G1レース4勝馬バッケンレコード、そして新鋭ここに見参、本年度の日本ダービー馬、あの無敗3冠馬の血を引くダークブリザードが2番人気に支持され、レースは正に一騎打ち、内にバッケンレコード、外にダークブリザード、坂を上りきった2頭は残り150から他馬が伸びあぐねる中を馬体を併せ、息もつかせぬ叩き合いを演じた。

 残り50メートル•••4分の3馬身リードを保ち、勝利を手繰り寄せたかに見えたバッケンレコードであったが、ゴール寸前僅かに内に斜行、真一文字にかけ上がったダークブリザードが首差で激戦を制し、ダービーに続くG1レース2勝目を挙げた。


 12月。
 ゲメインシャフトが香港で躍動した。
前走天皇賞秋2着惜敗ではあったが、叩き2戦目で本領を発揮、アイルランド最強牝馬ディヴァインリリーとの叩き合いを首差制し、G1レース7勝目を挙げ、世界中の競馬ファンに人馬の鮮やかなる復活を印象付けた。

 オーナーサイドは、来春の大阪杯がラストランになる事を名言、人馬の新たな挑戦がまたここに始まった。


豪州フレミントン競馬場内に聳え立つ、
名馬マカイビーディーヴァの像🐴😳

 PS•••いつもお目に留めて頂き、心より感謝申し上げます。次回配信は、6月15日土曜日午前8時です🕗

 年末のグランプリ有馬記念🎖️🏆
もし、ファン投票1位と2位の馬が自分が管理する馬だったら⁉︎過去の競馬の歴史で一度も起こり得なかったことが起こります😳😳しかも、その2頭はなんと⁉︎😱

 それではまたお会いしましょう🙏🙏

        AKIRARIKA

先日伺った、北のうまやさん🐴💨のNさんが制作した幸せの蹄鉄😊🥹
こっちも素敵です🐴😍🐴
ん?なんかいる⁉︎🤣🤣
似合ってますエフ君🧢🤭🤣

 この作品を通して、養老牧場への牧草寄付等の引退馬支援を行います。その為のサポートをしていただければ幸いです。この世界に生まれたる、すべてのサラブレッドの命を愛する皆様のサポートをお待ちしております🥹🙇