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翔べ君よ大空の彼方へ     6-❽ 威風堂々

 抜けるような青空の下、眩しい陽光に照らされた逍遥馬道を人馬が呼吸を合わせ、ゆっくりと噛み締めるかのように歩を進めていた。

 春の柔らかな風を肌で感じ、桜の花びらで敷き詰められた馬道を楽しむかのようだ。
 彼は、時折立ち止まっては小鳥の囀りに耳を澄ませ、さわさわと音を立てる緑の息吹に長い首を伸ばし、全身で喜びを表していた。

 鞍上の翔馬もまた、喜びに満ち溢れていた。
 このような競走馬には、二度と出会いないであろう•••確信であった。

 彼との出会いもまた、導きであったのだ。翔馬は馬上にて師の言葉を思い返していた。

「競馬には、準備、確認、実行が不可欠だ。生産者、育成牧場、オーナー、調教師、厩舎スタッフ•••その1頭に携わる者全てがチームの一員だ。お前がその代表として手綱を任されるのだから、全てを怠る事なく研鑽を重ねろ。1メートルでも1センチでも前へ!その先に見えるであろう、栄光の景色を追い求めろ•••」

 突如目の前に現れた湖の前で立ち尽くす人馬。
 翔馬は下馬し、光の反射でキラキラと輝いた湖面を見つめた。彼もまた、その翡翠色の瞳を輝かせている。
 いよいよ始まる人馬の戦い•••翔馬は彼の横に並び、美しい白銀のたてがみを撫でながらエールを贈った。

「今日からお前を待っているのは新しい場所だ。お前は賢く、そして誰よりも強い馬だ。自信を持って、胸を張って行け
!一緒に栄光の景色を見に行こう!」

 主人の言葉を理解したのであろう、彼は、両耳をピンと立て力強く嘶いた。

「そろそろだな。帰ろうかファイアスター!」

 人馬は湖に背を向け、逍遥馬道を駆け戻ってゆく。その背中には、一筋の黄金の光が輝きを放っていた。


 すべてのスタッフが馬運車の前で待機し、彼の出発を見守っていた。

「やるべき事はやった。お前は強い馬だ
!存分に暴れて来い!」
 彼の成長に携わった満足感と、大いなる期待とで夢を抱かずにはいられないスタッフ達の笑顔が、彼の前途を祝うかのように弾け飛ぶ。

 彼は、見送りのスタッフを睥睨するかのようにぐるりと一行を見回し、一声を発した。

 力強い嘶きであった。
翔馬は彼の瞳を見ながら頷いた。

 彼は威風堂々馬運車に乗り込み、新たなる一歩を踏み出した。


 4月1日正午、ファイアスターを乗せた馬運車は、栗東トレーニングセンターへと向かった。

 所属は朝日厩舎、デビューは8月の新潟
、芝1600メートルと設定された。

いざ戦場に火を灯せ🔥🔥ファイアスター😤😤

 PS•••いつもお目に留めて頂き、心より感謝申し上げます🥲🙏

 次回配信は7月3日水曜日午前8時です🕗!満開の桜が咲き誇る仁川のターフに精鋭集結🐴🔥💨G1レース4勝のバッケンレコード、そして現役最多G1レース7勝を誇るゲメインシャフト両馬が引退戦に臨みます😤💪結末は如何に⁉︎

 それではまたお会いしましょう🥹🙏

         AKIRARIKA



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