
念願のシネマカメラを購入!フルサイズの「FX3」ではなく、APS-Cの「FX30」を選んだ利点は?
SONYの動画撮影向けカメラ「FX30」を買いました。正式名称は「Sony Cinema LINE FX30 Super 35 Camera(2022年10月14日発売・APS-C機)」。SONYのCinema Lineの中では最軽量の562gです。
米映像配信制作大手「Netflix」の認定済みカメラリストにある「Sony Cinema LINE FX3(2021年3月12日発売・フルサイズ機)」とほぼ同等のスペック(センサーサイズが違う)で、約半分の価格と非常にコスパが優れています。しかも、今がセールのタイミングなのか、非常に安くなっていたのでお買い得でした。ちなみに、後継機はあと1〜2年は出ないだろうと予想しています。
静止画向けカメラとの違い

私はSONYのカメラをメインに使っています。愛用しているのは高画素機のα7RⅤで、静止画撮影に特化しています。
しかし、α7RⅤは6100万画素もあります。これは、動画撮影だとオーバースペックです。同じフルサイズやAPS-Cサイズであっても、多くのセンサーを詰め込んでしまうと(高画素であればあるほど)、一つ一つの光を受ける素子が小さくなるので、暗所でノイズが出やすくなります。
動画撮影であれば、いわゆる4K動画は約830万画素あれば十分なので、動画向けカメラは光を多く受け止められるよう、1000〜2000万画素くらいに留められています。
それを踏まえて、動画に関してはFX30がα7RⅤより優れている点はおおまかに4つでした。購入に至った理由です。
(1)高感度・耐ノイズに優れている(暗所撮影に強い)。
(2)4K 120Pが撮れる。
(3)冷却ファン搭載なので、炎天下などでなければ熱により撮影が停止がほぼない(長時間撮影できる。α7RⅤはすぐ熱くなる印象)。
(4)動画撮影中にピント位置が前後に移動すると発生しがちな画角変動を抑える「ブリージング補正」機能を搭載(FX3にはない)
静止画向けカメラとの最大の違いは、暗所でノイズのないクリアな映像が撮れることです。FX30は、最もノイズが出にくいとされる基準ISO感度が2つあって(ISO800とISO2500)、ISO800とISO2500のノイズレベルはほぼ同等なので、撮影環境の明るさに合わせて使い分けることができます。
もちろん、上記以外でも優れた点は細かく挙げられます。
なぜフルサイズ機の「FX3」を買わなかった?実際の映像はどんな違いがある?
私はスチールがメインなので、お仕事の割合を考えると数ヶ月内にペイできそうなAPS-C機「FX30」がベストの選択でした。
フルサイズ機である「FX3」との性能差があまりなかったのと、ソニーストア価格で「FX3」が約60万円に対し、「FX30」はほぼ半額で買えるコスパの良さがあったからです。
あとは、近年はフルサイズのスチール向けレンズを使って撮影する人が増えましたが、映像業界で使われるシネレンズは「スーパー35mm(APS-C)」が主流だから、APS-C機でいいかなと思いました。手持ちのSONY G masterのフルサイズレンズも使えますし。
※FX30なら小型で安いAPS-Cレンズが使えるという意見も当てはまるとは思いますが、シネレンズはわりかし大きくて重いです。
外観と重さはほぼ一緒ですが、動画撮影性能を比較した際、「FX3」が「FX30」より優れている点はおおまかに3つです(FX3はメカシャッターも備えているなど、そういったスチール向けの違いは端折ります)。
(1)高感度・耐ノイズ(基準ISO感度は800と12800)
(2)フルサイズなので背景がよりボケる
(3)4K 120p撮影時にクロップが少ない(FX30は38%クロップ、FX3は10%クロップ)
フルサイズとAPS-Cはセンサーサイズが違います。センサーサイズとは光を受ける面積のことで、フルサイズのほうが大きいです。しかし、画質(ダイナミックレンジ)の差は、日中のように明るい場所は大きな差はなく、フルサイズのほうが暗所でノイズが出にくいのと、背景がボケやすいのが利点です。それゆえ、上記のような優れた点が発生します。
ただし、(1)と(2)に関しては、FX30使用時に対策をすればいいだけです。
(1)の対策
大前提として、FX30でも屋内や都心で撮影するなら十分なISO感度の高さです。FX3と差が出るのは、キャンプ場や周りに灯りが少ない公園などの環境下でしょうか。ただ、そういった時の撮影は明るいレンズやLEDライトを使えばいいのです。
(2)の対策
SONY G masterやシネレンズのような明るい大口径レンズを使えば背景は十分にボケます。私はすでにフルサイズの良い(高い…)レンズ資産があったので、過剰な出費は避けられました。一昔前はあまりに高額だったシネレンズも、中華系メーカーから激安で良質なものがたくさん登場しています。
(3)に関しては、FX30ではなく、FX3を選ぶ大きな要因なので、どうしようもありません。
FX30の利点

4K映像の画質の良さ
実はFX30がFX3よりも画質の面で優れている点があります。FX30の撮像素子 は2600万画素と、フルサイズで1200万画素のFX3よりも多いです。FX30は画素数の多さを利用した、6Kからのオーバーサンプリングで4K映像を作っているため、4K動画の画質が上回っているのです。
2つの基準ISO感度の間隔が短いからこそ、明るさ調整が楽
また、FX30は基準となる2つのISO感度の間隔がFX3よりも狭いため(ISO800の次はISO2500)、室内や街灯の多い場所ではNDフィルターを付けなくても済むと感じています。FX3だと、基準ISO感度が800の次は12800ですから、ちょっと跳ね上がりすぎな気もします。
その他
あとは、連続撮影時間の長さ(FX30:約175分、FX3:約135分)、背面モニターの画質の良さ(FX30:約236万ドット、FX3:約144万ドット)、先に話したFX3だけの「ブリージング補正」機能もそうですよね。
購入したらメモリーカード問題にぶち当たる
まだ買ったばかりなので、これからどんどん作例やレビューを紹介できたらと思います。差し当たっては、購入してからの注意点をお伝えしたいです。FX30はSDカードとCFexpressTypeAの2つのメモリーカードが使えます。ただやはり、高画質やハイフレームレートで撮影する際は、SDカードよりも高いCFexpressTypeAが必要になります。この記事を書いているタイミングで、Amazonプライム感謝祭セール期間中だったのでラッキーです。