「ゆめみのデザインインターン」ができるまで
ゆめみでは、新卒デザイナー採用を本格的に開始する中で、2021年の夏からデザインインターンを開催しています。今年も開催予定のサマーインターン(既に募集終了しています)ですが、そのプログラムは実は2020年から始まっています。今回の記事では、ここに至るまでどのような紆余曲折があったのか少し振り返ってみたいと思います。
Version 0.5:インターンがデザインするゆめみのデザインインターン
ゆめみのデザインインターンの起源(そんな古くない)は、まだまともに新卒デザイナーを採用していなかった2020年に非公式に2名の学生からほぼ同時期に「ゆめみでインターンしたい」とご連絡をいただいたことからはじまっています。もちろんデザインインターンを受け入れる土壌は整っていませんでした。しかし、彼、彼女らの熱意に応えないわけにはいきませんでした。そこで、ちょうどデザイナーとして更なる成長を希望していたゆめみ社内の2名の若手メンバーを加え、自分自身がペルソナであるデザイナーを志望する学生のニーズを深掘りし、2週間インターンで体験したいことの型(アーキタイプ)を作ってもらうことにしました。
2週間の時間をかけ、少しのメンタリングを織り交ぜながら、自分達のニーズの言語化を進めてもらいました。当時のゆめみのデザインインターンのコンセプトは、次のようなものでした。
「短期間過ぎると運営側から用意されたものすぎる」「長期間だと構造化されていない」「チームワークだけだと自分自身の貢献が見えづらい」といったデザイナーを目指す学生の求めるものをリアルに言語化したプログラムとなっていました。
ゆめみのデザインインターンのアーキタイプをプロトタイピングしてもらったわけですが、なかなかそれをそのまま学生を集めてテストというわけにもいかず、プログラムの最後に当時運営していたゆめみ塾のPeatixを活用して、外部向けの勉強会として検討してもらった内容を公開することで、簡易的な受容性評価をしてもらいました。学生の参加者も多く、インターンプログラムとしての興味関心も高かったことを受け、後に活用することを約束して、非公式のゆめみのデザインインターンは幕を閉じました。
当時参加してくれていたメンバーの体験談
Version 1.0:ゆめみのデザインインターンの実装
時は流れ、2021年3月ごろ(多分)、れいっちことゆめみの代表取締役からの各職能グループ(ギルド)に対して新卒採用のための施策としてインターン開催が求められました。幸いなことにゆめみのデザインギルドにおいては、以前デザインしていただいたインターンプログラムのアーキタイプがありました。
しかし実際には、公式にインターンプログラムを開催したことはなかったため、体当たりで通常業務の合間を縫いながらチャレンジすることになりました。デザインギルド内部で、新卒デザイナー向けにデザインインターンを開催することに興味があるメンバー数名でチームを組織し、推進しました。
今まで求人票の管理や選考プロセスは、代表を中心とする総務・人事メンバーに完全に閉じられていたというよりは、関わる必要もなかったので知らないことが多く、一つ一つ必要な情報をかき集めました。応募してくださる学生に伝えるべき情報、選考に協力してくださる内部でメンバーとの連携、インターンプログラム自体のブラッシュアップとやることなすこと常に後手後手になりながらの準備でした・・・。
いろんな反省はありましたが、初回にも関わらず約30名近い学生からの応募があり、最終的には11名のとても成長意欲の高い学生の皆さんにご参加いただくことができました(そして、そこからゆめみの本選考に進んでくださる学生さんもたくさんいらっしゃいました👏)。
当事者によってデザインされたプログラムだけあり、インターン期間中のインターン生とのやりとりや最終的なアンケートからは非常にポジティブな評価をいただきました(「楽しかったですか?」と聞いているので、少し恣意的な聞き方になっているのはご愛嬌)。一方で、「運営メンバーが忙しそうにしすぎていること」や「参加者同士の交流の場」など複数の観点でフィードバックもいただき、2回目開催に向けて反省をしながら、新しく協力してくれる仲間集めも内部で行いました。
当時インターン生として参加してくれていたメンバーの体験談
当時運営として参加してくれていたメンバーの体験談
Version 1.5:ゆめみのデザインインターンのアップデート
さて、さらに時は進み約半年後、スプリングインターンの季節がやってきます。ゆめみのデザインインターンは年間2回、夏と春に開催しています。反省点が多くあった1回目を振り返り、いくつかの観点で変更を行いました。
2022年のスプリングインターンはサマーインターンの型と反省を生かし、採用マーケティング、選考プロセス、プログラム自体をアップデート
初期メンバーに加えて、他数名の興味あるメンバーを2週間のプログラムの一部分だけを実施する「コントリビューター」として参加してもらう
平面構成ワークショップやUIチップス勉強会などが、ゆめみ社内メンバーの興味と学生のニーズが合致する勉強会づくりの体験の場づくり
加えて、インターンに関する情報の展開方法にも変化を加えています。コーポレートサイトでのニュース公開や各種媒体での求人票公開はもちろんですが、前回は画像で展開していたインターン関連の情報を全てNotionに集約し公開したのです。
専任の人事部門がいない状況で、デザインインターンを運営する中で、学生と運営側の情報連携を効率化し、管理も複数人でコラボレーションしながら行うためには、非常に効果的なアプローチだったと思います(一方で、プログラムの設計途中のものを外部にダダ漏れさせていたため、参加してくださったインターン生の皆さんには少し不安な体験をさせていたかもしれません🙀)。
2回目の開催であることに加え、前回参加くださった学生の口コミなどもあり、応募者数はサマーインターンの2倍以上になりました。一人ひとりの学生のレベルも高く、非常に厳しい選考でした。
ゆめみの通常の選考フローは、書類選考、一次面接ともに実施したら担当者が大体1営業日以内に評価とフィードバックを書いて提出することが標準となっています。そして、すぐに候補者に結果が連絡される形となっています。一方で、デザインインターンにおいては受入する人数も限られている中で、上記の業務プロセスのままだと人数の絞り込みがうまくいかないため、人力で協力してくださったメンバーとコミュニケーションをとり、調整を行いました(大変だった・・・🥶)。これは、後述する第3回目への反省として生かされています。
また、ゆめみのデザインインターンには、メインのプログラムの他に「小話」という枠で、デザインからアートから、NFTまでなんでもござれの教養を学ぶ時間があります。そして、それらはデザインギルドのメンバーがコントリビューターとして企画、準備、実施をしてくださっているので、初回と比較してより幅が広いテーマを学ぶことができる時間となっていました。
一通りアップデートを終え、私自身もそろそろ運営を引き継いでもいいかもしれないと感じていました。
当時インターン生として参加してくれていたメンバーの体験談
Version 2.0:成長環境としてのゆめみのデザインインターン
時間軸は現在になります。ゆめみでは新卒デザイナーの採用を積極的に進めている中である問題に直面していました。
元々ゆめみでは、デザイナーの新卒採用を大きな規模で行うことをはしてきていませんでした。その中で、代表も試行錯誤を繰り返しながら評価基準を定義し進めている最中であり、ギルド側と代表のイメージが擦り合っていない状況もあったと思います(今では言語化され正式リリースではありませんが、公開されている状況です)。
ただ、本質的にというかデザイナーという職種の業界特性としてデザイナーを新たに志す学生が成長できる環境がないのではないか?もしかしたらゆめみのデザイナー新卒採用における体験そのものを、一人ひとりの候補者が成長するためのプロセスとして捉えることはできないだろうか?という問いが生まれていました。そこで、立てた問いに答えるかたちで、数ヶ月前に新卒採用プロセス全体の見直し、再設計を行ったのです。
これまで、一つ一つが単体で動いていた施策を連動させ、成長のステップとして捉え直す中で、ゆめみの新卒デザイナー採用プロセスにおけるデザインインターンは、参加することで参加者自身の視野を広げ、次の成長機会・方針を見出すことができる体験へと再定義されました。
今までは、インターンに参加してすぐに最終面接に参加できるというステップにしていました。インターンに参加することで新しい情報や仲間と出会い刺激を受けることで、学生が高い熱量を持った状態で、選考を進めるというメリットもありました。一方で、今後の成長の方針をうまく言語化できないまま、最終面接に臨んでしまうという非常にもったいない状況もありました。今回のサマーインターンは、短期的には前述した状況をなくすという目的もある一方で、より中長期的にゆめみの採用プロセスに何らかの形で関わってもらうことで、多様な成長をしてもらおうという全体的な戦略・方針を反映しています。
スプリングインターンを経て、運営を引き継ごうと思っていた私ですが、この新しい構想をしっかりと推進するため、現在も運営チームに残り、サマーインターン開催に向けて準備を手伝っています。
ざっくりですが、運営チームの体制もより仕組み化を進めています。
インターン運営の体制を複数のレイヤーに分割
ノベルティ・グラフィック
コミッターが担当
主にグラフィックデザインが得意なメンバーによって主導される
クラス単位
インターンプログラム内の1クラスだけを担当
コントリビューターとしての参加も可能
インターン運営を体験してみたい社内メンバーに積極的に紹介
クラスの構成は、得意なメンバーが支援
メンター担当
コントリビューターのみでも参加可能
インターンプログラム開催中に学生のメンタリングを行う
プログラム全体
コミッターが担当
メインは、かつたろさんが担当
インターン経由で内定が決まっているアルバイトメンバーなども一緒に担当することで、体験者目線を強化
採用・マーケティング・運営
コミッターが担当
元々本村が担当していたが、野々山さんに今回引き継ぎながら次回以降より標準化できるように各種手続きを整備中
採用チームとの連携、求人票の公開、ニュースリリース、採用フロー整備などを担当
Twitterアカウントの運用
前回に引き続き、Notionにてインターン関連の情報を公開するとともに、今回は、新たに開設したゆめみのデザインインターンのTwitterアカウントを活用し、さまざまな情報をリアルタイムに展開しています。インターンの選考に入る前から、インターンに関する情報を詳しく知りながら、納得感を持って応募して下った学生の方が多かった印象です。
デザインの対象を広く捉えること
新卒採用体験の再設計も含め、さまざまなことが同時並行で進んでいるためここでは書ききれませんが、ここまでデザインインターンというものを企画、運用してきて感じることは、これもある種のデザインの対象となるプロダクト・サービスとして捉えることで、フィードバックループを繰り返しながら、よりクオリティ高く、よりスマートに、より求められるコトとしてアップデートし続けることができるということです。
第3回目となるサマーインターンでは、役割のレイヤー分けをしたことで、より仕組みづくりにコミットするメンバーと細部の作り込みにコミットするメンバーとでうまく協力しながら、運営することを可能にしています。
また、デザインインターンに関わることで自分自身も成長できるというメリットを押し出すことで、ゆめみ社内も学生からしても魅力的な場になっている可能性があります。
さらに、ゆめみ全体の採用ドリブン経営との接続性も意識して戦略として体系化することで、自分達の目指すべきゴールをある程度自由度高く設計・実装しながらも、ステークホルダー(この場合採用チームやデザインギルド全体)とのコミュニケーションもうまくいっているのかなという実感があります。
今回の記事の中で、通常「デザイン」と呼ばれない領域にも、デザインは生きるということを少し具体性を持って書き記すことができたかなと感じます。日々の業務の中の良い習慣として、さらにいろんな場面で活用し、体系化していきたいと思います。
基本的に今後も記事は無料で公開していきます。今後もデザインに関する様々な書籍やその他の参考文献を購入したいと考えておりますので、もしもご支援いただける方がいらっしゃいましたら有り難く思います🙋♂️