SONY ZV-E1レビュー - 写真と動画両方を撮る方向け
2023年4月にSONYの新しいカメラZV-E1を購入しました。
ZV-E1購入の目的・背景
私は元々、写真は撮っていました。RAW現像もばりばりやっていて、副業として対価をいただいて写真を撮ることもあります。普段使用しているカメラは、SONY α7Cです。
私は登山とか旅行とか、以前にはバイクででかけたりもしていたので、カメラは極力コンパクトなものを選ぶようにしています。
そんな私が映像制作に興味をもちはじめました。
これまでもvlogはDJI Pocket 2で撮って、カット編集をしてBGMやタイトルをつけたりして楽しんできたのですが、写真のRAW現像と違って映像は編集の自由度が低いことに悩んでいました。
そんなときに発売されたのが、SONY ZV-E1です。
ZV-E1では、コンパクトなボディで持ち運びがしやすく、それでいてα7SiiiやFX3と同じように10bitのlog撮影ができ、手ぶれ補正も超強力なのが魅力的でした。
ZV-E1のよかった点
ZV-E1は、以下の点ですばらしかったです。
ジンバルいらずの超強力な手ぶれ補正
log撮影での、映像編集の自由度の高さ
写真撮影と動画撮影で設定を分けられること
超強力なオートフォーカス
標準マイクの音質
まず手ぶれ補正ですが、1.4倍クロップされてしまうのが難点ではありますが、ダイナミックアクティブ手ぶれ補正はすばらしいです。歩いて撮っている分には、手ぶれは全く気にならないです。
次にlog撮影についてですが、さすが10bitだけあって、色編集の自由度が高いです。撮って出しの映像だと、シャドウを持ち上げると色が抜けてしまったりしますが、logだときれいに色が乗ってくれるのが最高です。
ただ、log撮影はまだまだ難しいですね。まとまった情報が少ないので、いろいろな情報をかき集めて、がんばって撮れるような状況です。最初は室内でそこそこ明るいのにノイズでジャギジャギな映像になってしまって苦い思いをしました。
写真撮影と動画撮影で設定を分けられるのも、すごく助かっています。
写真は絞り優先モードで露出補正0、動画はマニュアルでシャッタースピード1/125で露出補正+2.0、のような感じで分けられるので、写真モードと動画モードを切り替えるだけでほかの設定を都度直さなくて済みます。
オートフォーカスは、現時点ではAIチップベースの瞳AFが載ってるのが、α7RVとZV-E1だけなので高画素機を除いて最高のオートフォーカスをもっていると言えます。
薄暗いところではAFが効きにくかったりしますが、それでも最高ですね。
標準マイクの音質ですが、最高!とまではいかないものの、野鳥の声などもきれいに入っていたりして、いままで撮れなかった音声がきれいに撮れてうれしいです。
屋内だと反響音がちょっと気になることはあります。
写真機としてですが、1210万画素という点がネガティブに思われがちな気がしますが、全く問題になっていません。
1210万画素の特徴としては、以下になります。
A3サイズに印刷できる (A4よりひとつ大きいサイズ)
4K相当
なので、ポスターに一枚絵として写真を印刷したり、8Kモニターや劇場サイズのプロジェクターに映したりしなければ問題ないサイズになります。
クロップ耐性が低いのが懸念としてありますが、いまは超解像 (スーパー解像度) の機能がLightroom / Photoshop / Luminarなどの写真編集ソフトに搭載されているので、解像度を大きくしようとした場合でもきれいにできる状況になっています。
ちなみに仕事でもクライアントの方に1210万画素であることを伝えた上でご理解いただき、このカメラを使っています。
ZV-E1の装備
レンズですが、本気度が高い映像制作をする際は、SONY FE 24-70mm F2.8 GM IIかSONY FE 50mm F1.2 GMを使用しています。
NDフィルターとしては、NiSiの可変NDフィルター True Color Varioを使用しています。
旅行のvlogを撮る際は、カメラを重くしたくないので、レンズとしてはFE 24mm F2.8 Gという軽量コンパクトな単焦点レンズをつけています。
それとストラップとしては、PeakDesignの首掛けストラップ、それをUlanziのF38システムのストラップマウントにつけています。これでカメラとストラップをクイックリリースでき、動画撮影の際にストラップをアンカーごとかんたんに取り外せるようにしています (アンカーがペチペチしない)。
ZV-E1でほしかった機能1 内蔵NDフィルター
ZV-E1はほとんどの面ですばらしい機能をもっていますが、もうちょっとなんとかしてほしかったところもあります。
まず、内蔵NDフィルターがほしかったです。
現状、可変NDフィルターとして販売されているものにはND0 (明るさへの影響がない) を表現できるものがないので、NDフィルターをつけっぱなしにするのがむずかしいです。
とくに写真ではNDフィルターをつけたくないので (全部の写真にノイズ処理とか編集に時間がかかるのでしたくない…)、可変NDフィルターを使用したとしても着脱が必要になってしまいます。
映像制作を本気で取り組むときならNDフィルターをつけることは問題ないのですが、vlog撮影 + 写真撮影もするというような状況だとNDフィルターの着脱が発生してしまい大変です。
オンオフが切り替えられる内蔵NDフィルターがあると、vlog撮影 + 写真撮影をするケースで重宝します。
また、レンズフィルターのメーカー様方には、ND0のある可変NDフィルターを熱望しておりますので、よろしくお願いします。
ZV-E1でほしかった機能2 log撮影向けのオートモード
ZV-E1は撮って出しできれいな動画が撮れるカメラではありますが、カメラの性能を最大限活かすにはlog撮影が必要です。
しかしlog撮影はまだまだ知見の共有が十分にできているとは言いにくい機能ですので、カメラ側のサポートがもっとあっていいのかなと思います。
現状、オートで撮ると、ホワイトバランス、彩度、コントラストなどが撮るたびに異なってしまい、動画編集時に素材の色味を合わせるのが大変むずかしくなります。なので現状のオート撮影モードはlog撮影が十分に考慮されていないオートになってしまっているのです。
それと、10bitの色情報を保ったままRec. 709の色を載せて撮れるとうれしいですね。色編集の自由度を保ったまま、色を戻す作業が省けると動画編集のハードルが大きく下がります。
とくにvlogは映像作品としては撮っていないので現実の色を表現したいです。なのでカラーグレーディングによる世界観表現の色はいらないのです。そのような状況では色編集といっても明るさやシャドウ・ハイライトをいじるくらいなので、動画編集をする際には最初から現実の色が乗っていてくれるとうれしいです。
ZV-E1でほしかった機能3 写真での超解像ズーム
写真モードでズームレバーを誤ってさわってしまうと、「この機能はこの状態では実行できません」とエラーが表示されてしまいます。
黙って動かないならまだいいのですが、エラー画面が表示されてしまうのが邪魔で仕方ないです。
パワーズームのあるレンズはラインナップ自体が少ないので、多くの人がパワーズームのレンズをもっている前提になっているこのエラー設計はよくないかと思います。
エラー画面をなくしてただ何もしない機能とするか、写真でも超解像ズームができるようにしてもらいたいです。
全体として、ZV-E1はすばらしいカメラ
ZV-E1は、以下のような方にとってすばらしいカメラです。
写真と動画のどちらも高品質で撮りたい方 (仕事でも使いたい方)
これから映像制作をはじめる方
個人レベルで映画を除く多くの映像 (PV、MV、インタビュー、ドキュメンタリーなど) を撮れる状況になってきたのは、ここ数年のことだと思います。
そして、そのハードルを大きく下げてくれるのがこのZV-E1だと思います。
持ち運びやすい軽量コンパクトなカメラでvlogも超絶きれいにできるのに、仕事でも映像制作ができる、現状で唯一無二なカメラだと思います。
(SONY α7SiiiやFX3なども十分小さいけど、こちらはさらに小さい)
SONYとしても、そのへんの「仕事で使える映像が撮れる」というのをもっとアピールしてもよいのではないかと強く思います。
これから、このカメラの魅力がもっと多くの方に伝わっていくことを願っております。
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