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セントラル愛知弦楽アンサンブル公演を終えて

昨日、私の勤めるホールでセントラル愛知交響楽団弦楽アンサンブル公演を開催しました。この公演は市の芸術文化創造協議会に企画を上程し、予算をもらった上で開催できたもので、去年に続き2回目になる。去年は館の30周年を記念してということで企画したが、そもそもプロのオーケストラの公演を行うのは、年に数回は本物の芸術というか、高品質の芸術の鑑賞機会を設けて、地域の方々に実体験をしていただきたいと考えたからだ。
当初は既に市に縁のあった関西の弦楽アンサンブルを招聘する予定であったが、過去にそのオーケストラ公演を手掛けている団体から横槍が入り実施できなかった。そのため、他のオーケストラを考えた際私の考えの中にセントラル愛知響が浮上してきた。この地が地理的に見て、関西の範疇にありながらも大阪と名古屋の中間にあり、名古屋からの文化を入れても良いのではないかという点、また、セントラル愛知響は知る限り斉藤一郎さんの代から急激に成長しているオケであり、指揮者を固定しての成長戦略は好感が持てると思ったからである。

昨年の公演も打ち合わせ段階から、いろいろとこちらの要望をお聞きいただき結果的に当初考えていオケより金額的にも余裕ができ、その分で地元ソリストとの共演を実現することができた。昨年はピアノの武田優美さん、今年はフルートの中川彩さんと共演いただいたが、ただただプロのオケに来てもらって演奏いただくより、地域の文化意識を高める効果は相当高くなると感じる。特に今年はご実家がホールのすぐ近くの方とあって、盛り上がりが高かった。どんな人でも自分の街に素晴らしい才能が存在することは、誇らしい思いを持つものである。

愛知室内オーケストラが浅井文化ホールに5年連続で長浜定期を続けていたにもかかわらず終了し、関西フィルもコロナ禍とはいえ2年連続で演奏会が中断。事情はどうあれ、一つのオーケストラと絆ができつつあるのを企画サイドはどう考えているのだろうか。自分の街にプロのオーケストラがある街は全国でも限られているわけで、そうでない市町村は他から招聘する以外に方法はない。室内楽を行うのとはわけが違って相当な経費が掛かる。オケ側もどこまで集客してくれるのかとか当初は慎重に構えるだろうし、それなりに効果的な公演をするまでには、何度か実績を重ねて関係を深めていく必要があると思う。そういう意味でこの地は施策の選択を間違っているのではないかと思う。来期は指定管理が変わり、セントラル愛知を呼ぶことはまずかなわないであろう。何度も名古屋に出向いていい関係性を構築しつつあっただけに残念だ。
個人的に立ち上げたコンサート企画のグループで、予算が付く機会があれば何とかこのオーケストラを再度招いて、継続的な関係を作る足がかりにしたいものだ。

私はたまたま自分の街にプロのオーケストラがある環境で育ち、その世界に魅了され音楽のすばらしさを享受できた。今となっては何と幸せなことだったかとありがたく思う。本物の音楽に触れる機会を創出して、多くの市民にあのすばらしい体験を味わってほしい。その願いを胸に、今後の企画を温めていきたいと思う。

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