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第4回 ドヴォルジャーク 「白山の後継者たち」

チェコ音楽のレコード紹介。ご無沙汰しておりました。今回はドヴォルジャークの比較的珍しい声楽曲のレコードです。1982年録音「テ・デウム」「詩編第149番」と讃歌「白山(ビーラー・ホラ)の後継者たち」が収録されています。ノイマン指揮チェコフィルほか。
なんといっても「ビーラー・ホラの後継者たち」が珍しい。ドヴォルジャークの生涯を知る人はこの作品が彼の若い頃の出世作で、この作品の成功を機に大作曲家への道を歩むこと、また愛国的な内容で国民楽派としての道へ進む大きな礎になったこと、などは知識として知っているものの実際どういう曲なのかは演奏もされないしレコードもないしで興味深々であった。私はこのレコードが出る前に、コシュラー指揮プラハ響の輸入盤を見つけて聴いていたが、歌詞の内容などは解らず悶々としていたのだが、こうして人気のノイマンのおかげで日本盤が発売され、対訳もあるおかげで全容が理解でき万歳三唱なのであった。
曲は大きく二部に分かれ、前半はチェコの風景と歴史を振り返るようなとても美しい音楽が展開される。後半は祖国愛に満ち、立ち上がり栄光を取り戻そうという力強いメッセージが投げかけられる劇的な音楽。ビーラー・ホラ(白山)とはかつて宗教戦争の古戦場でボヘミア軍が大敗を喫した場所であり、その故事に思いを寄せて詩人ハーレックが詠んだ歌詞に混声合唱と管弦楽のためのカンタータとして仕上げたのがこの作品。1873年3月(ドヴォルジャーク 32歳)の初演で、この成功より彼はプラハ中に名が知れ渡るようになる。11月にはチェルマーク家からついにアンナとの結婚を許されたりしている。
このレコードはすでにCDが世に出回っている頃の発売で、私も当時はCDを買った。まさかアナログ・レコードが入手できるとは思ってもみなかった。デジタル録音の素晴らしい音質。他の2曲もとてもいい曲で一度は聴いていただきたいと思います。(2024年2月26日・Musica Panenka facebook 投稿)


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