見出し画像

第5回 スーク ピアノ四重奏曲・弦楽四重奏曲

チェコ音楽のレコード紹介Vol.5はスーク(スク)のピアノ四重奏曲Op.1と弦楽四重奏曲Op.11。スーク弦楽四重奏団とピアノはパヴェル・シュテパーンの演奏。チェコ・スプラフォン盤で1981発売(録音は1979年)。
作曲家ヨセフ・スーク(チェコ読みではスクなのだと思うが、ここは一般的な読みで記述します)は1874年生まれなので今年は生誕150年の記念年に当たる。スメタナが生誕200年で目立つのだが、これを機にスークに目が向くことを期待したい。
ちなみに作曲家ヨセフ・スークはドヴォルジャークの娘オティリエと結婚したので義理の息子になる。日本でもスーク・トリオなどで有名なヴァイオリニストのヨセフ・スークは、作曲家ヨセフの孫にあたるのでドヴォルジャークの曾孫になる。名前が一緒なのでややこしい。
ここで演奏しているスーク弦楽四重奏団はヴァイオリニストのスークが立ち上げたわけでなく、作曲家の名を冠している。スメタナ弦楽四重奏団のような感じだ。録音された1979年はその発足当時と記憶している。当時民法テレビでプラハの春音楽祭の特集があって、このカルテットの演奏をヴァイオリニストのスークが見守っている映像が流れた。その時に流れた曲が良くて、ずっとレコードを探していたが一昨年出会うことができた。
ピアノ四重奏曲は17歳の時、弦楽四重奏は22歳の時の若い時の作だが、均整のとれた良い作品だ。何せ11歳の時からプラハ音楽院でドヴォルジャークに学んでいたらしいから秀才であったのだろう。あの美しい弦楽セレナーデも18歳での作曲である。ただスークの目指すところは時代的にももっと新しい音楽で、アスラエル交響曲などを聴くと20世紀の近代志向が強く感じられる。
なおこのレコードでは作品11の弦楽四重奏曲を第2番と記しているが、多くはこれを第1番と呼んでいる。調べると14歳でニ短調の弦楽四重奏曲を書いていて、これを数に入れて第2番としているように思われる。今はどちらが一般的か私も知らないのだが、一貫性のある表記をしてほしいものだ。《エンモ・コンサーツ:加藤哲》(2024年3月5日・Musica Panenka facebook 投稿)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?