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コース料理・会席料理の写真をうまく撮る方法(構図編)

どうも。ホテル旅館のコンサルティングやクリエイティブ制作をしています、片桐といいます。今日は僕が普段、料理写真の撮影をする際に気をつけていることや、コース料理や会席料理ならではの要素について書いていきたいと思います。

コース料理や会席料理写真の特徴

構図>シズル感

「料理写真といえば、シズル感」これは本当にそうだと思います。美味しそうに見えるかどうか、大事です。シズル感を出すのであれば、寄りで撮って、おいしそうな瞬間を切り取る工夫をするわけですが、料理すべてを並べた写真となると、いかにきれいな構図で撮るか>シズル感となるわけです。

なぜ構図>シズル感なのか

私が撮影した会席料理の写真です

シズル感、ないと思います(ないというと語弊かも。シズル感を出すことをあまり意識していないという方がベター)。シズル感、必要ないんです。なぜなら、こういった写真の目的は「全体イメージを伝えること、どんな料理内容か一目瞭然にすること」なのですから。こういったコース料理や会席料理はいったいなにが食べられるのか、どんな料理が出てくるのかを1枚で伝えることが目的で、おいしそう!と思ってもらうことは2の次なんです。目的に合わせた料理写真を撮ることが大切ですね。

コース料理の撮影が難しい理由

料理単品の写真は撮れるけど、コース料理や会席料理の写真は撮れない、苦手。といった方も多いんじゃないでしょうか。その理由は主に2つだと思っています。

  1. そもそも撮影する機会が少ない

  2. 撮影方法が調べても出てこない

まず、こうした写真をリクエストされることが少ないと思います。飲食店であればシズル感のある料理写真でいいわけですしね。ホテル旅館となると、どんな料理が出るのか、このプランの料理イメージは?と代理店に必ず聞かれます。その際にこういったすべての料理がわかる写真が必要になるのです。

練習しようにも気軽にできるものじゃないですし、なかなか経験も積めないことから、撮影方法も広くは知られていないのでは?と思っています。

ネットで検索しても、こういった写真をどうやって撮ったらいいのか、わかりやすく解説されている情報は、ほぼ出てきませんでした。私自身も、試行錯誤を繰り返して今に至っています。

ということで、私がこれまでの試行錯誤の中でこうするといいよ、の部分を書いていきたいと思います。今日はとりあえず構図編で。

自分が撮りたい!と思う写真を徹底的にマネする

私が今の撮影スタイルに落ち着いているのも、とある写真家さんの影響です。富上永一郎さん、というホテル旅館の写真撮影のプロフェッショナルの方がいます(ネットで調べても富上さんの情報全然出てこない…なぜ)。私は富上さんの写真が好きで好きで、研究に研究を重ねた結果、料理の写真を見ただけで富上さんが撮ったかどうかわかるくらいです(笑)。あ、これ富上さんの写真だ、って見たらわかります。

写真で撮った人が思い浮かぶってすごいことだよなあ、と思います。蜷川実花さんが撮った写真って蜷川さんだな、って思うわけじゃないですか。それの料理写真版が富上さんなんですよね。尊敬していて、ずっと追いかけ続けている写真家さんです。今でもまだまだ富上さんには遠く及ばず。日々精進あるのみですね。

富上さんのようなきれいな写真を撮りたい!と思って、構図とかライティングとか、研究しました。その試行錯誤が今の写真になってます。撮影する高さとか、料理間の余白とか、並べる料理のルールとか、本当にいろいろと研究して、撮るを繰り返して、今の私のスタイルになっています。なので、「この人の写真みたいな写真が撮りたい」と思ったら、その人をひたすらマネする。これが上達のいちばん手っ取り早い方法だと思います。

構図のポイント

料理写真の撮影において、構図でおさえるルールがわからないと、料理をどうやって並べたらいいのかわからなくなります。私も初めてこういったコース料理の写真を撮影した際は料理を並べるだけで1時間くらいかかりました…。

おさえるポイントはある程度決まっているので、ポイントをおさえて料理を配置していくとサクサク構図づくりがすすみます。

①高いものは奥へ配置

まずは背の高いものは基本的に奥へ配置するといいと思います。鍋とか焜炉とかですね。手前に置いてしまうと写真のスペースを大きく占有してしまうので、奥に置いた方がいいです。あとはそんなに見せなくてもいいものは奥へ配置するといいですね(香の物とかデザートは後ろ)。もちろん例外もありますよ。背が高い料理がメイン料理だったりすると、手前に配置します。このあたりは他のおさえるポイントと掛け合わせていきます。

②メインの料理は中央もしくは前

メインの料理はできるだけ中央へ配置しましょう。このあたりはまたライティング編でも詳しく書きたいと思います。とりあえず見せたい料理は中央もしくは前の方へ配置すると良いです。

③小鉢とか小さい器のものでスペースを埋める

小さい器の料理は空いたスペースを埋めるのに使います。写真のスペースを埋めていくという感覚が非常に大切です。変に余白を作らないように上手に空いているスペースを埋めます。料理をぎゅうぎゅう詰めにしちゃうとごちゃっとしてしまうので、ある程度器の間隔はあけます。このスペースのコントロールが富上さん本当に上手なんですよ。

④料理によっては置く向きが決まっているものもある

料理の盛り方や器によっては置く場所や向きがある程度限られてしまうものもあるので、そういった向きや場所が限定されるものも先に場所を決めていくといいですね。例:↓の写真だと伊勢海老のお造りは右手前以外置く場所がないです。そうすると光源の場所も決まる→鍋と焜炉が右上に確定、といった感じですね。

鍋や陶板はごとくに乗せる=背が高いので右奥へ配置
お造りは一番見せたい料理だけれど伊勢海老の向きの問題で右端へ配置
お肉・鮑は見せたい料理なので中央近くへ
↑ここまで決めたらあとは空いているスペースを埋めましょう
料理はカメラに対して斜め45度くらいに傾けます(こんなに傾けるの?ってくらい傾けます)
伊勢海老の関係でライティングは左奥に光源をもってきてます(このあたりはライティング編で)

構図編は以上です!
あとはライティング編、機材編、現像編の3つを書きたいと思っています。

ライティング編はこちらからどうぞ。


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