【読書記録】『仕事でも、仕事じゃなくても』よしながふみ, 山本文子著を読みました!

こんにちは、じゅくしんです。

よしながふみさんという漫画家さんをご存知でしょうか。
『大奥』『きのう何食べた?』『西洋骨董洋菓子店』などなど、実写化された作品が多数ある方です。

今回、よしながふみさん初のインタビュー本ということで、かなり楽しみにしていました。そして、読んでいると、うーんとにかく面白い!

私、とにかくこの方が大好きでして、インタビューでの考え方を見ているととにかく聡明な方なのだなぁと感心していました。全ての作品に対して、それぞれ語られていて、

「あ、この作品はこういう思いで描いていたのか!」

と改めて発見があったりして、楽しめました。

特に面白かったのが、西洋骨董洋菓子店の部分でのインタビュー。

よしながふみ作品に結構多いんですけど、何かトラブルがあったときに、普通のエンタメ作品だと問題解決してカタルシスを得られるんですけど、実際は簡単に問題が解決することはないので、全ての問題は解決できないってことを受け入れるのも人生だよねっていうのが、西洋骨董洋菓子店だとか、昨日何食べた?とかの作品の中で書かれているように感じます。そこが漫画だけどリアルな感じで好きなのかも。

トラウマも解消されるわけではないけれど、幸せになる物語を描こうと思った」という話を考えたときの気持ちそのままの結末を迎えました。朝が来て、いつもと変わらず働くために一歩踏み出す橘の足が描かれて終わるというのが象徴的だなと思いましたし、「やっぱり思い出せねえし忘れられねえし怖いんだよ!」という橘のセリフも、明るい表情と合わせてすごく前向きな言葉のように感じました。 描きたかったところです。普段、特に何もいいことがなくたって、出勤はしなくてはいけないですしね(笑)。橘はトラウマが解消されることをある意味、諦めたわけなんですが、諦めるというのは受け入れることであって、絶望することではないと思っています。

『仕事でも、仕事じゃなくても』

あと、私はゲイ当事者として、きのう何食べた?の作風がとても好きなのですが、なぜ好きかというと、

「ものすごく日常的な生活を淡々と描いていて、年月が経過するところ」

という部分があるからです。

「はい。それと、男性同士の話ということで B Lとして描きたかったというのは本当なんですが、社会派の B Lみたいなものを描くつもりもなくて、やっぱり日常が描きたかったんですよね。一日の中でゲイの人が自分がゲイだということについて考えるのは、たぶん十分の一の時間もないはずだと思ったんです。ヘテロの人が恋愛について考える分量がそうであるように、二十四時間そのことばかりを考えているわけではないと。なので、家族もいて、仕事もあって、帰ってきたら家には同性の恋人がいる、くらいの感じで描きたいと考えていました。ラブシーンにはまったく期待せずに、今日のご飯をどうしようかなと悩んでいるときの参考にしてもらえたらうれしいなと」

『仕事でも、仕事じゃなくても』

どうしてもBLって、ラブストーリーになってしまいますし、恋愛感情の動きを描くものですので、読んでいて疲れてしまう部分があるのですが、きのう何食べた?は、美味しそうな料理がでてくるところを見ながら、なんとなーく気軽に読めるので、いいんですよね。しかも、登場人物がリアルタイムに年齢を重ねていくという…。これ、BL作品としてはものすごく画期的な作品だと思いますし、ゲイ当事者としても、こんな風に暮らせたらいいなーと思えるので、癒されるんですよね。

おもわず漫画を読み返したくなってきました。ぜひ読んでみて下さい。

よしながふみ作品では一番好きなのがこれ。


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