平凡父親エンジニア/研究者の生存戦略

本記事はcvpaper.challenge advent calendar 2022の21日目の記事で、平凡な能力をもつ父親エンジニア (現博士後期課程学生、専門分野は物理x機械学習) が競争の厳しいIT業界でどう生き残るか考えたことをまとめた記事である。

まず言っておくが、私自身が成功者であるとは全く思っておらず、自分の秘技を伝授しようといった大仰なことは思っていない。しかし、育児で勉強時間がとれないことに悩む同志を SNS 上でいることを知り、自分の悪戦苦闘の結果が少しでも参考になればと思い書いてみた。

まず始めに、ここで書きたかったことを箇条書きでまとめてみる。下記4行で書きたいことは全てなので、興味を持ってくれた方は下に読み進めてもらえると嬉しい。

  • 独身時に想像したものと全く異なり、親業は忙しい

  • しかしやりたいことは山積み。大半のことは諦めて、大切そうなことにだけ注力する。割り切りが大事。

  • 強者の土俵で戦わない。弱者の戦略で勝てる分野で戦いにいく

  • 敬意をもって接すれば大抵の人は色々教えてくれて、効率の良いレベル上げができる

  • 自動化家電と家事代行サービスは必須。金で時間を買う


簡単な自己紹介

私は、平成元年に「広島焼き」という概念が政治的正しさとして許容されない県で生まれたアラサー世代である。
大阪に出てきて物理学を学び、大学院卒業後に京都の電子部品メーカーに就職した。4年弱働いた後に、AIベンチャーに就職して4年働き、何故か退職D進してしまい、現在博士号取得に向けて頑張っている。
現在 1 児の父。


想像していたより親は忙しい

突然だが、今私は諸事情あってほぼワンオペ育児をしている。「ほぼ」といのは、家事・育児の9割程度を私が担っているという意味だ。どんなものかを見てもらうために、"理想的なとき"のスケジュールを書いてみる。

可処分時間とは家事育児以外に使える時間、つまり仕事 (研究) や趣味娯楽、勉強に使える時間で、1日に7~8時間程度である。「理想的なとき」と書いたのは、平日のうち2~3日このような日があればいいな、程度の「理想」だからである。実際には食材の買い出しが2,3日に一度発生したり、子供を習い事に連れて行ったり、家族を病院に連れて行ったり、疲れて朝起きなかったりなどのイベントが発生するので、週の半分はこのスケジュール通りにいかない。そして子育ては子供の人生に直結するため子供の世話が最優先である。そのため、平日の子育て時間の残りカスが仕事趣味勉強のための可処分時間となり、その合計は週に30~40時間の間でうろついていると思われる。

幸運なことに私は在宅勤務 (就学) なので仕事場への移動時間がゼロだ。通勤・通学している人はここからさらに通勤時間が削られるので、もっとしんどいだろう。

ちなみに休日に可処分時間はほぼない。朝6時に起きれば、子供が起き出す8時前後までは可処分時間になるが、それだけである。遊んでほしいとねだる子供を放っておくのは可哀想だし、私としてもそれをしたくない。(どうしてもタスクが終わらないときは時間を貰ったりするが)

以上説明してきた通り、子供がいないときは想像もつかなかったが、思った以上に親は忙しい。家庭によるだろうが、私の場合は週に40時間前後が仕事・趣味・勉強に割り振れる時間である。子供が自立してくる小学校中学年〜高学年は手が空くらしいが、子供が産まれて10年くらいはこの状態である。
努力と工夫が足りない?数年前は私もそう思っていた。現実は厳しかったのである。

子育ては「キャリアを邪魔するもの」なのか?

子育てをするとキャリアを制限しがちだ。それは子育てに膨大な時間がかかるため、どうあがいてもそれは普遍の真実である。個人の価値観にもよるのだろうが、キャリアをある程度制限しつつも、私は子供が居てくれて良かったと思っている。物事をみる視点が多様になったし、時間の使い方も上手くなった。そして確実に対人能力は強化された(とくに耐理不尽許容度と感情コントロール)ので、キャリアにとってマイナスではない。企業がそれを評価してくれるかは別問題だが…
確かに子育ては忙しいが、最も忙しい期間はどうせ10年ちょっとだというのもある。おそらく我々の世代は70歳まで働かされるので、50年の仕事人生のうち10年である。子供が大きくなれば親とは遊んでくれないどころか、邪魔になる存在になる。そして20歳になる前に巣立ち、近めの友人へと変わる。この10年は本当に貴重なのである。
10年は短くはないが、50年のキャリアを考えると致命的ではない。個人的にはキャリアを少し犠牲にしてでも短い子育て期間を楽しんでいきたいと思っている。

やることを絞る

まず現状認識ができた。さて、この状態で自分のやりたいことリストに書かれたタスクをそつなくこなせるだろうか?絶対に無理である。時間は有限だし、自分は天才ではない。しかし、この業界で生き残っていくためには、平凡な能力かつ有限の時間で、自分より能力が高くて自分より多くの時間が使える強者に食らいついていかないといけない。

この駄文を読んでくれている人は特に興味はないと思うが、説明のために私のやりたいことリストを並べてみる。

  • 仕事などのメインタスク

    • 研究、論文を書く

  • 仕事・研究に直結する系

    • Kaggle 

    • 確率微分方程式、測度論など数学の勉強

    • 相対論、相対論的量子力学など物理学の勉強(私の現所属は物理系の研究室である)

    • 論文読破など機械学習の勉強

    • 技術系の書籍を読む

    • 技術ブログを書く

  • 私生活系

    • 1日30分の筋トレ・運動

    • マインドフルネス

    • 十分な睡眠

  • 趣味など

    • PCゲーム (Civilization, HoI, 三国志)

当たり前だが、自分がやりたいと思っていることをつらつらと書き出していくと、あまりにも多い。そして当然ながら週40時間強の可処分時間ではこなすことはできない。

ここでは自分の好き嫌いではなく、この業界で将来にわたって生き残り高給な仕事を得ていくためにどうするか、という観点で生存戦略を考えてみる。

強者と正面から戦わない

強者と正面から戦うと絶対に負ける。それに加えてリソース不足状態だと勝てる理由がない。いわゆるGAFAMには入社できないかもしれないし、そこの有能な人々と正面から戦って勝てるとも思ってない。私は平凡であり、天才に勝てるだけの実力をつけるリソースも揃えられない。
よって、必然的に採る戦略はいわゆる弱者の戦略になる。強者と正面から戦わずに、自分が勝てる分野で戦うことを選択する。弱者の戦略とは、正面火力では強者に勝てないので、機動兵器と航空機の連携で敵司令部を破壊して大混乱に陥れたり、広い国土を活かして教化した人民の海に敵を沈めたりするアレである。私の場合は技術の組み合わせの珍しさで戦うことを選択した。各分野で少し強みがあれば、その組み合わせがそのまま特色あるポイントになるためどこかの優良企業は拾ってくれて、それなりの待遇を得られるだろう。

私の場合は、機械学習x製造業(x物理学)になる。物理学がカッコ書きなのは、意外と機械学習に物理屋出身が多いため、この組み合わせは珍しさをベースとした強みに成りにくいからだ。
幸運なことに私は新卒で入った会社で「少数の試作品の試験で月産数百万の製造する商品の不良リスクを低減するためにどういった製造方法を選択すべきか」といった製造業のノウハウを学ぶ機会を得られた。ここまで工場にがっつり関わった機械学習技術者はおそらく多くはなく、珍しい部類だと思う。日本は製造業が多いため、この珍しい組み合わせのおかげで、機械学習やソフトウェア分野の強者と正面から戦わなくても、需要がある分野ならば職を見つけることができると考えており、実際に面接でそれを評価されたことは多かった。

機械学習x製造業の強みをアピールするために書籍も書いた。手前味噌だが、いかにデータが少ない中で実運用時のリスクを下げていくのか、という観点で書いており、特に製造業に従事する方は得ることが少しはあるのではないかと考えている。今見ても、それなりに独自性があって良い本が書けたと思うので興味がある人は見てくれると嬉しい。


私のバイブル: SOFT SKILLS

取捨選択をするまえに、私のバイブルになっている "SOFT SKILLS" という本を紹介したい。この本はソフトウェア開発スキルのような「ハード」なスキルではなく、対人能力や自己ブランディングの方法など「ソフト」なスキルを身につける有意性について色々なことが書いてある。

この本の教えの中で私が素晴らしいと思っていると持っている事項をいくつかピックアップしてみる。

  1. 人より半歩でも理解が進んでいることは、人の役に立つ

  2. 技術ブログの執筆は就職に非常に役に立つ。

  3. 健康大事

1番目はほんの少しでも自分が人より理解していることがあれば、それを教えることで人の役に立てるという意味だ。私のTwitterをフォローしている人は知っていると思うが、私は論文を読んで得た情報をTwitterに垂れ流している。これは決して「自分の論文読破数が業界トップクラスで俺つえー自慢したい」と思っているわけではない自分より理解力があって論文読破数も多い人が掃いて捨てるほどいることは百も承知である
しかし、そんな熟練者には役に立たなくても諸事情で論文や最新情報に触れる時間を取れない方達にとっては、ほんの少しだけ役に立つかもしれないと思っている。私自身 Weekly Machine learning やWeekly Kaggle Newsをはじめとするニュースレターや論文解説を垂れ流してくれる方達に非常に助けられた。過去の自分がそうしてもらったように、ほんの少しでも役に立てばいいという思いが、論文解説を垂れ流している理由の半分である(もう半分は後述するように就活である)。

2番目は、自分のもっている技術・知識を日頃から垂れ流しておくと、面接官に自分を知ってもらいやすくなる、というものである。私も面接官をしたことがあるが、1時間弱で面接に来てくれた方の能力を把握するのは大変難しい。学歴や職歴などの事前情報をもとに技術・知識の幅を推し測りながら、手探りで聞いていくが、面接官の推し測り方が甘ければ、その人の素質を把握する時間がかかり、つっこんだ質問をする時間がなくなって両者にとって大損である。
技術ブログやSNSによる発信は、その事前情報を相手に与える術になる。面接官が自分のブログの読者ならば自分が何が得意なのかを前もって知ってもらえ、前置きが少なくなるので重要な事項の質疑応答に時間が使える。読者でない場合も、ブログがあれば事前に面接官はチラ読みする(少なくとも私はそうする)ので、手探り質疑の時間を少なくすることができる。実際、私が面接を受けた時に面接官がTwitterのフォロワーだったことがあり、技術面接がスムーズに進んだことが何回かある。
個人的にはブログによる自己アピールは弱者の戦略の1つと解釈している。Kaggle Masterであったり、素晴らしい研究業績や職歴・学歴をもっている人には、ブログによる自己アピールは不要である。もちろんそのような素晴らしい方が書いた技術ブログは私にとって非常に有難いものであるが、彼らは技術ブログに頼らずとも、その輝かしい業績を履歴書に書けばすぐに強みがわかってもらえる。残念ながら私は論文賞をもらったこともないし、Kaggle で業績を残したこともなく、博士号も持っていない。履歴書に書けることはない。そんな私にとっては技術ブログで自己アピールをしていくことが不可欠なのである。

3番目は読んで字の如く、健康が大事である。育児との戦いは短期決戦ではなく長期戦なので、継続的に取り組める環境を構築する必要がある。短期的に無理して成果を上げても、その後に体調を崩して取り組み効率が下がったり、寝込んで取り組めないのであれば、トータルで見れば損になる。そのため、継続的な運動、十分な休息、健康な食事で体力増強や健康維持をして長期戦に備えなければならない。ソフトスキルズではソフトウェア指南書としては珍しく、健康の大切さを説き、筋トレの方法が書いてある。

実際にタスクを絞る

ソフトスキルズに書いてある素晴らしい指導をもとに、やることを絞ってみた例が次のリストである。自分独自の工夫としては、①タスクを小さくして成果を出せること ②各タスクで連携ができること の2点を工夫として入れた。

  • 仕事などのメインタスク

    • 研究、論文を書く

  • 仕事・研究に直結する系

    • 論文読破など機械学習の勉強

    • 技術ブログを書く

    • 技術書やタスク、授業を月に1~2個だけこなす

  • 私生活系

    • 1日30分の筋トレ・運動

    • 十分な睡眠

これでも多いと思うが、だいたいこんな感じである。私個人の考えをまとめると「運動と睡眠で体力を維持・拡充しつつ、メインタスク(研究)に直結しやすい論文読破を行う。論文読破をすると技術ブログが書けるので就活に繋げやすい」といった感じである。趣味の時間?何それ美味しいの?各タスクで短期的に何か成果を上げつつ、タスク間の連携がとりやすいものを選んでいる。(「タスクを絞った結果がこの駄文を垂れ流すことなのか」と思う方もいるだろう。非常に的を得た指摘で私が傷つく。心の中にしまっておいて欲しい)

睡眠に関して、人によっては取りすぎだと思う人がいるかもしれない。子供と共に9時に寝て4時台に起きるという方をSNSで見かけたが、私は物心ついた時から寝付きが悪くて就寝までに平気で2時間かかることも多いので残念ながら真似できない。

個人の好みかもしれないが、各タスクで短期的に成果を上げるというのは「時間が限られている状況下で泥沼にハマるのを防ぐ」という点で重要ではないかと思っている。タスクを細かくするというのは、これもソフトスキルズの教えの1つだ。タスクを細かくした分、目標が明確になって取り組みやすいし、何かが達成できるので精神衛生上良い。

あと、個人的にはPFN秋葉さんの「まず一つ勝つ。それ以外は負けてもよい」という言葉が非常に好きだ。同時並行でさまざまなものに取り組むのはリソースが分散して効率が悪いと思っている。これをもう少しスケールダウンすると「タスクを小さくして短期的に集中取り組みして小さな成果を上げる」になると思っており、「月か技術書や授業を1~2個だけこなす」というところに反映させた。


時間帯を選んでタスクを割り振る

やることが決まったので、あとは時間配分を考えてみる。とりあえず、よくある【重要度vs緊急度】の表でまとめてみる。

ありがちなのは、「緊急ではない重要なタスク」は、緊急度が高いタスクに押されて時間がとれない、ということだ。よって、誰にも邪魔されず、固定の時間を確保することで、自分のルーティーンの一部にすることで取り組む
具体的には、早朝の時間がいいかと思っている。チャットもメールも飛んで来ないし(仮に来ていたとしても無視する大義名分がある時間帯だ)、子供も起きてこない。そのため、これらの「緊急でない重要なタスク」を早朝に配置してみる。
あとは、移動時間の活用もしていきたい。私は今大阪府内在住で東京大学に月1,2回ほど新幹線通学している。新幹線内でPC作業をすると酔うし、チャットが目に入って煩わしい。そこでPC、スマホを閉じて技術書や授業関連の書籍を読むことにする。大阪東京間往復で5時間確保できるし、それなりに捗る。
それらをまとめると以下のような感じになる。

緊急ではないが重要な項目の実施時間確保

次に、恒常タスクとして発生する研究や仕事の作業を割り振る。これは大きく分けて、【実験】と【解析】の作業に分かれる。
まず実験の方だが、機械学習系の場合はコンピュータが自動処理してくれるが計算時間がそれなりにかかるので、夜時間を活用したい。具体的には就業間際に計算を流して朝に終わっていると、非常に効率が良い。しかし、計算のエラー終了を朝発見すると、とても悲しい気分になる。そのため実計算を短くしてエラーがでないかを確かめるテスト計算(動的テスト)を流しておくと失敗が少なくなって良い。
メールとチャットは学生という特性上あまり飛んでこない。エンジニアをしているときは、よく来ていたが1日数回くらいしか見ていなかった(あとは重要じゃない会議中に返したりしていた)。それでも何とかなる場合が多い。チャットやメールはそもそも緊急性がないものが大半だし、チャットがよく飛んでくる主体とはよく会話もするので口頭で擦り合わせることもできる。さすがに緊急事態が発生しそうなときは常時待機しているし、突発的な緊急連絡をチャットで行うのは筋が悪いと思っている(本当の緊急時は電話か何かしてほしい。チャットやメールは即時性がある前提で運用するものじゃないと思う)。よって、メールやチャットは実験コードを書くのに少し飽きたときに、隙間時間でみるようにしている。

次に解析の方だが、さきほどの実験ことを考えると朝に行うのが良さそうだ。朝の解析の結果をもとに次の実験を夜に流せると理想的だ。
ところで、私は25分作業+5分休憩のポモドーロテクニックを使っている。これもソフトスキルズの教えの1つで、意識的に休憩を挟むことにより集中力を持続させるテクニックだ。


これを使うと、1時間で10分程度机を離れる時間がある。考える作業では一度机を離れて歩くというのはけっこう効果的で、別の作業をしながらボーッと考えていると突然良い考えが浮かぶこともある。
そして、何と都合のよいこと(?)に午前中にはボーっと考えながら作業ができる掃除洗濯といった家事作業があるではないか!そこで25分解析+5分家事兼思考という黄金継投ができる。上記の時間配分を反映したのが下図である。

理想的な時間配分

理想的には、上記のような感じである。まぁ、週の半分くらいは突発的なタスクが入ったり、家事・育児イベントで上手くいかないので、あくまで目安である。

あと、趣味の時間がなさすぎて発狂しそうなときがたまにあるので、数ヶ月に一度、丸2日間ゲームか何かをすることにしている。いちおう来月末には論文が出そうなので、2月頭には HoIかCivilization を丸二日間やりたい。

自分はアホと公言して教えを請い、効率よく技術を吸収する

30年ちょっとの人生で気づいたこととしては、自分がアホであることを公言することで、人の教えを受けられ結果的に自分のレベルアップに繋がるということだ。人は自分を大きく見せたいのが性だが、そもそも私は賢くないのでアホと公言することにそこまで抵抗はない。
そもそも、あらゆる分野全てで周囲の人全員より秀でているという状況は、どんな人でも多くはないだろう。知識が足りない分野に関しては、周りの人全てが自分の良き教師となりうる。自分の専門分野でなけば、調査は莫大な工数がかかる。それ自体も自分の良い勉強になることは否定しないが、「今は時間がない状況下でどうやりくりするか」を考えているので、効率の良い道を探したい。
その場合、「餅は餅屋」ということで、自分がプライドを捨てて頭を下げ、専門家に聞いた方が早く正確な答えが返ってくることが多い。人が下手に出て(敬意をもって)教えを請うてくるならば、おおよその人は悪い気がしないので割と親切に素直に教えてくれる。(分からないこと全てを聞くのは、人の負担になるので、最低限の調査をすることは必要だとは思う。)

質問をしたらアホとバレるので嫌な人がいるかもしれない。しかし、幸運なことに大抵の人は他人の失敗に興味はない。試しに、1ヶ月以上前の他人の失敗を思い浮かべてると、そんなに覚えていないし、大して気に留めていないことがわかると思う(これもソフトスキルズの受け売りである)。個人的には、いっときの恥を気にしてこ自分の成長機会を奪うのは、非常にもったいないと思う。

私はcvpaper.challenge という研究グループに所属しているが、だいたいの人は自分より賢いし、私が教えを乞えば素直に教えてくれるナイスガイが集っている。わからないことは分からないと言って、素直に教えを請うことで色々な技術を得ることができ、自分の技術の裾野を効率よく広げることができると考えている。

金で時間を買う

時間はいくらあっても足りないし、家事をしている時間は子供と遊べないので非常にもったいない。家事で忙しいことを理由に子供の誘いを断ると、とても悲しい顔をされるので正直辛い。
家事と仕事の両立で苦労しているのはおそらく共働き家庭であり、ちょっと収入に余裕があるという前提で、「金で時間を買う」ことを提案したい。
具体的には、「自動化家電の購入」と「家事代行サービスの活用」である

自動化家電の購入

準備さえすれば、後の処理を自動でしてくれる家電は、まさに現代の神器である。個人的には「乾燥機付き洗濯機」「食洗機」「自動調理鍋」の3種の神器をおすすめしたい。
これらは正直値段が高いので少し躊躇する。しかし、これで節約できる時間を子供や自分のために使えるとなるとそれだけの価値があると思う。(家事負担をめぐる夫婦喧嘩も少し減るので家庭内平和にも貢献できる)

たとえば乾燥機付き洗濯機は、1日2回洗濯を干す時間 (10分x2) を節約する。耐使用年数が7年だとすると、852時間の節約になる。乾燥機なしの洗濯機との差額を20万だとしても、1時間を200円で買うと考えるとお得ではないだろうか。

個人的なおすすめは「自動調理鍋」である。具体的な製品名を挙げるとシャープのホットクックである(友人親類にシャープ社員はいないし、私はシャープの回し者ではない)

製品名どおり、材料を入れれば「放っておく」ことが出来るのが特徴である。直接的な時短にはならないが、大量に作れて火の番をしなくて良いというのが非常に大きい。子供を保育園にお迎えに行く前にスイッチを入れておけば、帰ってからすぐに暖かいご飯が食べられる優れ物だ。通勤しているならば、通勤前にスイッチを入れてて帰ってきた時に暖かいご飯が食べることも可能である。

あと、自動化家電ではないが「グリル+焦げ付かないアルミホイル」「ワンプレート皿」の利用もおすすめである。
グリル付きコンロが家にあるならば、それに焦げつかないアルミホイルを敷いて旬の魚でも置いておけば、それだけで一品になるしフライパンを使わないので掃除も楽になる。
ワンプレート皿を使うと、食器の数がかなり減るので洗い物が楽になる。ただし、食洗機が大きくないと手洗いする羽目になるが…

家事代行の活用

家事代行サービスも非常におすすめである。地域によってはシルバー人材センターというものがあり、格安(時給1500円~)でシルバーさんを家事代行に雇うことができる。シルバー人材として来ていただける方はベテラン主婦の方が多く、家事レベルは非常に高い。そして地域情報(美味しい店、イベントごと)も教えてもらえるので二重に美味しい。
私の家庭でも週に一度2時間ほど来ていただいて、掃除をしてもらったり、乾燥機付き洗濯機を経た洗濯物を畳んでもらったりする。

もう少し質を求めたければ、民間の家事代行サービスを利用するという手もある。関西方面だと、ベアーズというサービスがある。シルバー人材センターに比べると値が張るが、その分家事のプロを派遣してくれるので質は高い。

まとめ

この記事では平凡な父親エンジニアである筆者の生存戦略を紹介した。状況や取り組みは下記にまとめている通りである。この記事を読んだ人が少しでも参考になったならば嬉しい。

  • 独身時に想像したものと全く異なり、親業は忙しい

  • しかしやりたいことは山積み。大半のことは諦めて、大切そうなことにだけ注力する。割り切りが大事。

  • 強者の土俵で戦わない。弱者の戦略で勝てる分野で戦いにいく

  • 敬意をもって接すれば大抵の人は色々教えてくれて、効率の良いレベル上げができる

  • 自動化家電と家事代行サービスは必須。金で時間を買う




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