はじめに
このマガジンを親愛なるMに捧ぐ。
私はあなたと出会い、対話を重ねたことによって、あるいはあなたからの独断的な許しを得たことによって、これから過去の記憶を呼び覚まそうとしています。これは私がやりたくてもできなかったことであり、できるようになったことはあなたのおかげであると感じています。ありがとう。
ただし今となってはこれから呼び覚まされる記憶がどれほど確かなものかはわかりません。そもそも記憶というものは個人の脳内では簡単に改変されてしまうものだと認識しています。つまり、これから書き記すことは今の私の脳が描き出す一種の幻想や美化された産物であることを先に断っておきます。なので、事実とは限りません。
あなたと出会ったことで、私はあなたにあの人の話をして、きっとまた誰かに出会って、その人にあなたの話をするでしょう。それは恋人か友人か、あるいは子供かはたまた神か。次に私が心を開く者は誰かわからないけれど、インターネットには常に開かれているかもしれません。
個人的な記憶を公開しておくことは、世間とのつながりの少ない私にとって、小さな叫びです。