ドメインの移管で色々あったというお話
はじめに
「アキラの音楽空間」というサイトを運営しているAkira-Mと申します。長らく弊サイトをご利用いただいている皆さんの中にはサイトのドメインがakira-m.comからakira-m.netになっていたことに気づいた方もいらっしゃるかと思います。
簡単に言ってしまうとウェブサイトの移転及びドメインの移管で色々トラブルが発生していました。そのためこの記事では経緯とか諸々を書いていきたいと思います。
この記事の内容が役に立つかと言えば普通は役に立たないと思います。何故なら通常はドメインの移管で今回のようなトラブルが発生することはないからです。
参考にさせていただいた記事
起こったこととしては基本的に上記の方と同様です。おかげさまで無事に事態の収束を見ることができました。本当にありがとうございます。
一体何が起こったのか?
物凄くざっくり言うと、長らくお世話になっていたプロバイダAからプロバイダBにサイトとドメインを移そうとしたらプロバイダAとほとんど連絡が取れなくなったということです。
ドメインの移管についてのおさらい
一般的にドメインの管理は業者に依頼するわけですが、A社からB社への移管がA社を無視してあんまり簡単にできてしまうと問題なので(それでサイト乗っ取り事件が発生したことがあります)、ユーザがA社からB社へドメインを移したいという場合はまずA社に依頼してAuthorization Codeというパスワードのようなものを発行してもらい、それをB社に伝えて移管作業を依頼することになります。
ということはですが、何らかの理由でA社がAuthorization Codeを提供してくれない場合はドメインの移管ができないということになります。
A社ってどこ?
上の参考文献のところでバレバレなので普通に書きますがシーサイドネットです。実名を出したところで名誉毀損にはあたらないと思います。
既に同様のトラブルがネット上で多数報告されている
総務省が「連絡が取れない届出電気通信事業者」として公開している
等の理由により既に毀損する名誉が無いためです。また、今回の記事を公開することによる公益性の方が遥かに勝っていると思います。
元からトラブルを起こすところだった?
シーサイドネットのサブドメインサービスは20年以上に契約、独自ドメインサービスは2009年に契約しましたが少なくともその頃は非常にサポートが丁寧でした。問い合わせには数分以内に返信というのはなんとこの時点では事実です。なんならサーバへのPHPライブラリのインストールとか色々対応していただきました。
いつから様子がおかしくなった?
2021年にサイトが表示されなくなり、そのことについて問い合わせたら「2020年中旬以降料金が振り込まれていない」という返答がありました。そもそもそれまでクレジットカードで支払っていたので振込もなにも無いのですが、クレカでの支払いはできなくなったとのことでした。
仕方なく必要な料金を銀行振込したわけですが、支払い方法の1つが使えなくなるというのは通常は顧客に伝えるべき重要な情報だと思います。何ならクレカが使えなくなった理由も「トラブルを起こしまくってクレカ会社に怒られたのでは」と勘ぐってしまいます(ここは完全に予想です)。
解約を決意
そんなこんなで色々あり、各所でシーサイドネットの口コミを見てそろそろ引っ越さねばと思ったのが2023年です。最初から口コミを見ていれば絶対に契約しないだろうなという低評価ぶりなわけですが、恐るべし茹でガエル効果。世間での評判がアレになってから数年間使っていました。
そこでスパッと解約できていればこの記事を書いていません。解約の依頼を出してからしばらく音沙汰が無かったり、返信があったかと思えば「まずは未払分を払ってください」という内容だったり、「既に払ってますから確認してください」と返信したらついぞその件については何も返ってきませんでした。その代わり改めて督促メールが来ました。
というわけで、サイトのデータについてはB社に移したわけですがドメインについてはそもそもシーサイドネットに解約を認める意思が無いためAuthorization Codeを取得できるわけがなく移管できませんでした。akira-m.com改めakira-m.netの誕生です。
捨てたつもりでドメインの帰りを待つ
シーサイドネット側がどう認識しているかはともかく、こちらとしては2023年春の時点でだいぶ強めに解約の意思を表明しており未払も無いという認識なので、当然ドメインも早く移管したいわけです。
ですがドメインをB社で管理できるための条件として
そのドメインを誰も管理していない
Authorization Codeを入手する
のいずれかを満たす必要があります。
そこで自分が考えたのが、ドメインがシーサイドネットの手を離れて失効するのを待つということです。
少なくとも見ての通り自分は契約を更新する意思がないわけですから、シーサイドネットにとってもakira-m.comのドメインを管理し続ける理由がないわけです。なので1年後くらいにはきっと失効するだろうしそのときB社に移行しようと考えました。
甘かったとしか言いようがありません。後日ドメインのWHOIS情報を確認したらなんと有効期限が更新されているのです。なんで明らかに契約を更新しない人間のドメインの有効期限を更新しているのでしょう?いや、ドメインを保有し続ければ契約を延長するに違いないと思ったのでしょうか。そのマメさがあるなら返信して欲しいメールが色々あったのですが。
待つのをやめる
上記の通り、ドメインの失効を待つという選択が現実的でないということが分かったためより積極的な方法でドメインを取り返しに行くことになります。
Tucowsの力を借りる
(追記)以下ドメインが~.comの場合の説明です。他のドメインの場合はレジストラが変わります。
ここからは「参考にさせていただいた記事」の情報をもとに進めました。Tucowsはカナダの企業で、シーサイドネットがリセラーであるのに対してTucowsはレジストラに相当します。
レジストラとリセラーについては以下のリンクがわかりやすいと思います。
※今回の件があってそのあたりのことを学ぶことができました。普通はドメインを移管したとしてもレジストラの存在を意識することはほとんど無いと思います。
TucowsのサイトにCompliance Formというページがあり、例えば「ドメインを移管したいがリセラーと連絡が取れなくなったのでなんとかしてほしい」などの場合に問い合わせることができます。まさに今回のパターンです。
留意点として、カナダの企業なので英語で問い合わせる必要があります。ただ用件を伝えるのに決して難しい英語を使う必要はありません。
これは完全に余談なのですが、英文を書くのが苦手な人は先に日本語から考えている傾向がある気がします。中学レベルで全然大丈夫なのでまず自分が書ける部分だけ書く→分からない箇所だけweblioとかで調べる→出来上がったらgoogle翻訳とかで日本語に翻訳して意味が通じるかを確認、これで十分です。日本語を先に考えると英文に訳せない日本語を平気で使ってしまうのでどつぼにはまります。
そしてフォーム経由で問い合わせたのが大体2024年の夏くらいですが、なかなか返信が来ませんでした。詰んだかな?
進展
上述の問い合わせに対して12月頃にTucowsから返信がありました。数ヶ月待ちもあり得るということが分かったので、同じ状況の方がいらっしゃいましたらどうか根気強く待っていただければと思います。概要としては「問題を迅速に解決するための方法があるので
身分証明書(ただしIDとかは隠すこと)
あなたのためにドメインの設定がされたことが分かる情報
ドメインのための支払いの状況が分かるもの
を送ってほしい」というものでした。
身分証明書は自分はパスポートを使いました。ところどころ英語だし書いてある内容も明確なので一切説明が要らないところが良かったと思います。政府発行であれば良いのでマイナンバーカードや運転免許証でもOKだと思います。ただし場合によっては項目の説明が必要かもしれません。
Tucowsからのメールにも指示がありますが、いかにもIDっぽい番号はきちんと塗りつぶすなどの加工をしてから送りましょう。一切マスキング無しで送ると個人情報の取り扱いまわりでTucowsに迷惑がかかる可能性があります。
支払いの状況については銀行振込時の明細書を画像で送りました。ほとんどの部分が日本語でしたが特に説明は求められませんでした。ただ、「年のところのRって何?」ってなると思ったので和暦についての最低限の説明は入れました。
明細書が無い場合はどうしましょうという話ですが(事業でやっているかどうか無関係に数年間は保存すべきだと思います)シーサイドネットからの請求メールとそれに対する返信あたりでも良いのではという気がします。というか高確率で返信時に支払いの明細を添付して送っていると思います。
ドメインの設定時の情報については独自ドメインサービス申し込み後にシーサイドネットから届いたメールでOKです。なお自分は「日本語だし、Tucowsの人多分機械翻訳とか使いたいだろうなあ…」と思ってメールをテキストデータで送りましたが、向こうでしっかり文字化けしていたそうです。UTF-8なら大丈夫だと思ったのに…。というわけでメール本文をスクショして受信日時などを付け加えて画像で送りました。
なお、申し込み直後のメール内の各種設定情報にはパスワードが含まれているので、当然それらの箇所はマスキングしましょう。
Authorization Code入手
それから色々やりとりを続け、大事なメールがスパム送りになっていたなどのトラブルを経てついにAuthorization Codeを取得することができました。
基本的にはAuthorization Codeがあればその時点でドメインの移管は問題なくできるのですが、移管予定先のB社には「こうこうこういうトラブルがあって今色々しているのですが…」みたいなことを事前に相談しておりました。恐らく担当者の方も「そんな同業者本当に存在するのか?」みたいな感じで困惑していたのではと思います。
akira-m.com is now available
無事に移管が完了し、今ではakira-m.comのドメインで弊サイトにアクセスできるようになりました。ただしakira-m.netでもアクセス可能な状態なので、やがては.netの方はリダイレクト専用にして.comに統一かなと思っています。使わないとしても.netの方は持ち続ける予定です。
おわりに
繰り返しになりますが、普通はドメイン移管でこんなに苦労したりしません。ですので大体の方にはこの記事で紹介したhow toは役に立たないと思います。
ただ、特に自分と同じ時代にウェブサイト運営を始めた方は同じプロバイダを利用している可能性が高く、今もドメイン移管で苦しんでいる方が一定数いるものと思われます。
最近だとシーサイドネットからのドメイン移管を代行してくれる業者さんもいるみたいですが、「個人でもちゃんとできたよ!」という情報を新たに1件放流することで誰かを勇気づけることができたらとても嬉しいなと思っています。
「アキラさんお疲れ様!」などのリアクションお待ちしております。