より近くに「寄せる順」を考える【文章術029】
僕のnoteでは、これからライターを目指す人や、新たなスキルを身につけたいビジネスパーソンに向けて、文章力を培うためのポイントを解説し、練習課題を出していく。
今回は、前回の続きとして、語の並び順について考えを深めていきたい。
短い語を近くに寄せよう
主・述、修飾・被修飾など、文において、関係の深い語を近くに寄せないと、読みづらい文になってしまうという話を、前回の投稿で扱った。
今回のテーマは、その延長である。もし、重要な語が2つ以上あったときには、どういうルールで並べれば良いのか、という話だ。
まずは、「丁寧に育てた大きいりんご」「井上さんが作った甘いキャベツ」のように形容詞的な関係性で考えてみたい。
これらの語句の構造を整理してみると、以下のようになる。「」の部分が形容詞としての役割を持つ部分だ。
1)「丁寧に育てた」「大きい」りんご
2)「佐藤さんが作った」「甘い」キャベツ
明らかなのは、名詞に近い語の方が短いことだ。順を逆にすると、次のようになる。伝わらないことはないが、やや違和感がある。倒置法的な強調表現を意図していなければ、避けた方が良いだろう。
1')「大きい」「丁寧に育てた」りんご
2')「甘い」「佐藤さんが作った」キャベツ
これは、副詞としての修飾関係でも同じことが言えるだろう。
3)「思いっきり」「速く」走った
4)「恥ずかしがることなく」「人前で」歌った
原則として、短い語を近くに寄せることで、違和感のない並び順になる。
ただし、例外もある
一方、先の(4)の例については並び順を変えても違和感がない。
4')「人前で」「恥ずかしがることなく」歌った
これは、「人前で→歌う」という繋がりだけでなく、「人前で→恥ずかしがることなく」という繋がりも成立するからだ。
3')「速く」「思いっきり」走った
こちらは、「速く→思いっきり」という繋がりが自然でないために、違和感が生じている。
練習課題
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