「れる/られる」のどちらを選ぶか見分ける方法【文章術039】
僕のnoteでは、これからライターを目指す人や、新たなスキルを身につけたいビジネスパーソンに向けて、文章力を培うためのポイントを解説し、練習課題を出していく。
今回は、「れる/られる」や「せる/させる」などの表記で悩んだときの簡単な見分け方をおさらいしたい。
ら抜き言葉の感覚的な見分け方
「ら抜き言葉」という表現があるように、「れる/られる」、「せる/させる」などの表記ではミスが多い。もちろん、日常的に使う分には、問題ないのだが、報道やビジネスシーンなどの堅い場面では、誤用と指摘されやすいので、避けたい表現だ。
知識として知っていても、うっかり疲れているときには、以下のような文を書いてしまうかもしれない。
この文では、来れなくの部分と、聞かさせたの2箇所が誤りだ。正すと、以下のようになる。
これを文法的に考えると、五段活用動詞やら、カ行変格活用やら、様々な用語について考えなくてはならなくなる。
もちろんこうした厳密なアプローチは文法的に重要なことなのだが、少なくとも母国語として日本語を扱えるレベルの者が文章を執筆する上では、ある程度省略できる工程だと思う。
ここでは、書き手が少し悩んだタイミングにおける実践的な見分け方を考えしたい。
「あ」の音に注目しよう
結論を言うと、肯定表現の形で「れる/られる」や「せる/させる」をつなげたときに、「あ」の音が1つある形が正しい。「あ」の音が無くなったり、「〜かさ〜」のように「あ」の音が2つ続いたときには間違っているかも、と疑ってみよう。
×来れる(koreru)=aが0
◯来られる(korareru)=aが1
◯聞かせる(kikaseru)=aが1
×聞かさせる(kikasaseru)=aが2
この法則さえ覚えておけば、文法の得手、不得手によらず、大抵の場合に混乱せずに済むはずだ。
より厳密に考えると
もちろん、これはわかりやすさを優先した少々乱暴なルールなので、例外も出てくる。
たとえば、単語によっては、a=2が正しい場合かあるからだ。
◯書かれる(kakareru)=aが2
×書かられる(kakarareru)=aが3
ただし、「書かられる」を見た時点で違和感に気づかない人は、このnoteの読者にはいないだろう。他の語でもあまりに変な形では違和感が出てくるはずだ。
先ほどのルールを、より正確に考えるならば、言葉の繋ぎ目に「あ」の音が一つあれば正解ということになる。これなら否定形のままでも判別しやすい。余裕があれば、文法用語を検索しつた、一度頭の中で噛み砕いて見てほしい。
こ + れる(×)
こ + られる(◯)
聞か + せる(◯)
聞か + させる(×)
書か + れる(◯)
書か + られる(×)
着 + られない(◯)
着 + れない(×)
例外に注意
ただし、もちろん文法的には例外もある。たとえば、「れる」を付けたときに可能、「られる」を付けたときに受け身、のように意味が変わる言葉はこの限りではない。
・よく切れるナイフ(◯、可能)
・よく切られる役(◯、受け身のみ)
これは「ら抜き言葉」とは関係ない形ので、「切れる」で「あ」の音がなくても間違いではない。 というわけだ。
ただし、この辺りは書き手の感覚的に判別がつくところだと思う。執筆中、切れる/切られるのどちらが正しいか、と悩むことはまずないだろう。
そういう意味で、先のルールを覚える上では、考えなくて良い部分ではあると思う。
あくまでも、「れる/られる」「せる/させる」で悩んだときに使える見分け方として「あ」の音に注目する方法を覚えておこう。
練習課題
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