小さな「キャッチコピー」を書くための10のコツ【文章術063】
本noteでは、これからライターを目指す人や、新たなスキルを身につけたいビジネスパーソンに向けて、文章力を培うためのポイントを解説し、練習課題を出していく。
今回は、小さなキャッチコピーを書く際のアイデアについて考えたい。
コピーライターでなくてもキャッチコピーは考える
「ライター」にもいろいろある。筆者のように雑誌やWebメディアに記事を寄稿している人がいれば、ムックやパンフレットの文章の編集・執筆を得意とする人、Webサイトなどの文章を執筆する人、著書を代筆するブックライターなどもいる。
ただし、広告宣伝のためのキャッチコピーを専門にする「コピーライター」は、ライターと名前はつくものの、少し毛色が違う。たとえるなら、文章屋さんであるライターと、キャッチコピー屋さんであるコピーライターは、取り扱う商品が「服」と「生地」くらい違う。
とはいえ、服屋でも生地の知識があった方が良いように、ライターもキャッチコピーについて最低限の知識を持っておいた方が役に立つ。
これは、特に雑誌・ムックなどの紙媒体で必要だ。原稿依頼のなかに、商品やサービスごとに15文字でキャッチを書いてくださいという依頼が含まれていることが多いからである。また、Web記事のタイトルや小見出し、惹きつける文章の書き出しなどでもキャッチコピーのノウハウは応用できる。覚えておいて損はない。
ただし、「ライター」として、いくら誌面に良いキャッチコピーを書いても、残念ながら原稿料は変動しない。コピーライターとして受注する仕事とは、構造が異なるからだ。つまり、ライターにとってのキャッチコピー作りは、ある意味“おまけ”の作業なので、なるべく時間をかけず、及第点そこそこのキャッチコピーを素早く量産できた方が良いと言える。
原稿ですぐ使える10のコツ
そこで、ライターとしてすぐ使えるキャッチコピー作りの10のパターンを、例とともに、紹介したい。以下は、筆者が「カメラ」をテーマに、10のパターンとともに適当に考えたキャッチコピーだ。
|1|躍動感を出す:さあ、春の空を撮ろう。
|2|結果となる恩恵を端的に伝える:桜吹雪だってブレずに撮れる
|3|意外性をピックアップする:スマホなのにデジカメ級のセンサーサイズ
|4|数字を入れる:2万円あれば手が届くカメラ
|5|ターゲットを絞る:鳥好きのみんな、お待たせ。
|6|条件&推薦:悩んだら、とりあえずコレ
|7|ダジャレやオマージュ:楽しくてもう、止めら連写
|8|感嘆やセリフ調:えっ!これがカメラなの?
|9|対比:重いけど、月だって撮れる
|10|キーワードを入れる:「Vlog」専用カメラはいかが?
なお、こうしたキャッチコピーはどういったスタイルが採用されやすいのかは、正直判断が難しい。これは媒体・企画・担当者によって、好みの傾向がコロコロ変わるからだ。ライター何十分かけて考えても、編集者にリライトされるのは日常茶飯事なので、採用・非採用を気にせずにスピード感重視で書くのが良いと思う。
なかでも無難な選択肢は、太字にした(2)結果となる恩恵を端的に伝える、(3)意外性をピックアップする、(4)数字を入れる、(10)キーワードを入れる——の4つだ。
たとえば、(2)の恩恵を書くというのは、「連写性能がすごく」という仕様について、「走りまわるペットをしっかり撮れる」などの具体的な場面・恩恵に落とし込むというイメージだ。
(3)の意外性をピックアップするについては、あくまで競合との差として目立つところをフォーカスしなくてはならないことに気をつけたい。上の例文に関連して言えば「スマホなのに綺麗に撮れる」はNGだ。そういう存在はほかにもたくさんあるので、キャッチコピーとして成立しない。
(4)の数字を入れる、(10)のキーワードを入れるは「具体化」という点で似ているテクニックだ。「解像度の高いカメラが魅力!」ではキャッチコピーとして弱いが、「2億画素カメラを新搭載!」なら説得力が増す。「画素数は高いけど、暗くても綺麗に撮れる!」は説明くさいが、「新たにビニング対応も果たした!」なら、「何それ?」と興味を持ってもらいやすい。
ただし、先述の通り、何が採用されるのかという好みはケースによって異なる。もし「ライター」という立場であれば、キャッチコピーにはこだわりすぎず、及第点を取ることを意識したい。もし、その先に踏み込みたいなら、「コピーライター」の勉強をしよう。
練習課題
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