秋梅雨(あきついり)の西大台
大台ケ原から大杉谷を10月21日から三日間かけてゆっくりと歩いてきましたので、初日に歩いた西大台**について紹介したいと思います。
大台ケ原行きのバスに乗るまでは気持ちのいい晴天だったのですが、バスが山に入ると、あたりは霧に覆われはじめ、山頂では時雨になってしまいました。何も見えません。それでも、西大台は森と渓流が魅力ですので、霧に煙る風景も他に代えがたいものがあると思います。
西大台の中央には、東ノ川***が東から西に向かって流れています。その東ノ川に、東側からナゴヤ谷、中ノ谷、逆川が北側から流れ込んでいます。 ここを時計回りに、3時(地図は北が上なので東ですね)の辺りからぐるっと一周歩きました。歩いて出会った順に話しますと、頭がグルグルになるので、川や谷ごとに書いていきます。
1 尾根道
西大台の入り口から、尾根道を谷に向かって降りて行きます。
まだ山頂付近みたいに、ミヤコザサの林床が広がっていました。ブナなどの広葉樹が少しずつ紅葉を始めてくれていますが、少し来るのが早かった ようです。東ノ川の渓流の音を左に聞きながら、合う人も無くのんびりと霧の中を歩いていると、上の方から大きなうなり声とけたたましい足音が聞こえました。思わず頭を上げると、イノシシが必死に逃げて行きました。 彼ものんびりしていたのに、驚かせてごめんなさい。
2 逆川流域
西大台の西端近くまで300m近く下りて行くと、逆川****を渡る赤い吊橋に出会います。この辺りが一番低い所です。
赤い吊橋から、緩やかな傾斜の逆川を流れる、静かな水の音が聞こえます。
川の上流に向かって歩いて行くと、開拓跡と呼ばれるほっこりする所に出ます。
ブナ林の林床は苔に変わっていました。その中を小川が自由にゆったりと 流れていました。厳しい道ではありませんでしたが、1時間余り 下って 来た軽い疲れを癒してくれます。
小川を渡渉すると、道は川から離れて小さな尾根を越えて行きます。
少しの登りで乾いた森になり、林床は、ミヤマシキミの様です。
ここを越えて行くと、再び逆川に出合います。
穏やかな小川は、小さな渓流となって落ちていました。
3 中ノ谷
入り口から南側の道を30分ほど下りた所にかかる、中ノ谷木橋付近から始まる谷です。
北側の道は中ノ谷を高巻きして渡渉します。
4 ナゴヤ谷
入り口から最初に出会う木橋から始まる谷です。
北側の道を15分ほど歩いただけで、穏やかな流れになっています。
オオイタヤメイゲツが美しく紅葉していました。
少し前に、ちょっとだけ日が差したので、霧が晴れてきました。
川沿いの一本道の向こうまで、誘われて歩いて行きましょう。
苔むす源流部まで誘い込まれて行ってしまいそうです。
本当に誰も来ません。いつまでも見ていたいです。
また、時雨れてきました。
名残惜しいですが、早い秋の日暮れにつかまってしまいます。
もう一度、振り返ってから戻る事としました。
* この記事に書かれている地理や植生などは、大台ヶ原ビジター センターで入場前のレクチャーの時に頂いた、「西大台利用調整地区ガイドブック」環境省 近畿地方環境事務所作成 を参考にさせて頂きました。
** 当記事では西大台利用調整地区を西大台と略して書いています。
*** 東ノ川は西大台の手前で、東大台からシオカラ谷となって流れる川と合流していますが、こちらを東ノ川としてある地図もあります。当記事では、西大台を流れる川を東ノ川としました。
**** 逆川は開拓跡手前で二つに分岐していますが、当記事では特に記載が無い場合は、区別せずに逆川としています。