FINAL FANTASY XVI レビュー 何がそんなにおもしろかったのかを探求する
発売日に購入したFF16をようやくクリアできた。
あまり遊ばないタイプのゲームだからそこまで期待していなかったんだけど、蓋を開けてみたらめちゃくちゃにおもしろかったので何がそんなにおもしろかったのか整理しながらレビューを書いてみようと思った。
一部、ストーリーの大まかな流れについて言及しているのでネタバレ注意。レビューを書くにあたってどうしても外せない内容だった。該当箇所の前後には空白を入れている。
1. 購入のきっかけ・期待していたこと
せっかくPS5を買ったからPS5専用のソフトを遊びたかった、というのが一番大きな理由。
あと、最近はオープンワールド・自由度高め・カットシーン少なめといったゲームを遊ぶことが多かったので、最新技術で作られたストーリー重視のリニアなゲームがどんなもんか体験できたらいいなーと思っていた。
発売前はPVを数本・インタビューをちらっと見たぐらいで、それ以外の事前情報はあまり目に入れないようにしていた。
発売前に見た情報からは以下のようなことを期待していた。
・ストーリー重視のリニアなゲーム
・暗くて重くてシリアスなダークファンタジー
・豪華なカットシーンが盛りだくさん
・程良い難易度のアクション
・召喚獣バトルおもしろそう
FFは5・6・8しかプレイしていないので、FFシリーズのファンではないと自覚しているし、"FFらしさ"みたいな概念は全く持っていない。
2. レビュー時点でのプレイ状況
プレイ時間不明(PS5をインターネットに繋いでなかったのでプレイ時間が集計されていなかった?よくわかんない)
体験版未プレイ(予約済みだったからわざわざ遊ばなくていいかって思った)
メインストーリー1周目をクリア
サブクエ全クリア(発生した時点でタイムリーに全部消化してから次に進んでいた)。
リスキーモブ全討伐
ハルポクラテスの備忘録コンプリート(ストーリー途中でけっこう読み込んだ)
最初から最後までアクションフォーカスモード
オート◯◯系のサポートアクセサリーは未使用
アーケードモード・石塔チャレンジは少しだけ遊んだ
3. 結論
大満足。最近遊んでいなかった"ストーリー重視のリニアなゲーム"の魅力を存分に味わえた。
アクションもデキが良く操作していて軽快で楽しかった。ただ、もっと強敵と戦いたかった気持ちはあって消化不良気味。
ムービーゲーとかQTEのことを半分バカにしてた自覚があるんだけど、気づけばどハマりして画面にのめり込んで「うおおおおおおお」って言いながら□ボタンを連打していたので、自分にとってはすごく新鮮な体験になった。
FF16を通してこういうゲームの味わい方がわかって、楽しく遊べるゲームの幅が広がったかもしれない。感謝。
以下、良かったところ・気になったところについて詳細に触れていく。
4. 良かったところ
4.1戦闘関係
・難易度がちょうど良かった
難易度は控えめで、メインストーリーのボス相手にゲームオーバーにはほぼならないと思われる(自分は慣れない召喚獣を試していた時に何度か死んだ)。リトライもボスの途中からになるので詰むことはまずない。
メインストーリーのボス戦は演出盛りだくさんなので、この仕様で正解だと感じた。戦闘を介したストーリーへの没入感や演出面の強化を優先して選択した結果であり、ゲームオーバーになりやすかったり、リトライが第1形態から全部やり直しだったらテンポが悪すぎる。
メインストーリーは初見でちょっと苦戦しつつ、けれどもしっかり勝てるぐらいの調整で遊んでいて心地良かった。
・スキルの組み合わせを考えるのが楽しい
召喚獣のスキルの組み合わせ次第でダメージやウィルゲージ削りが加速するので、組み合わせをいろいろ考える楽しみがあった。
ちょうど良いタイミングで新しい召喚獣の力が手に入って、どれも個性的で、定期的に戦闘体験がリフレッシュされるので飽きが来なかった。
一部のスキルはクセが強すぎて扱いきれねーって思っていたけど、クリア後に他の人のプレイ動画を見るとちゃんと運用していたので、外れスキルみたいなものはないと思う。
どのスキルを使っても強くて自分の好きなスタイル・得意なスタイルに合わせて構成を組めるから、アクションゲームとしての懐の広さを感じる。
・カウンター主体の戦闘が楽しい
回避からのカウンター、スキルを使ったカウンターの行動がダメージ・ゲージ削りともに強力に設定されているので、積極的に狙うと戦闘で有利に立てる。敵の攻撃がむしろチャンスタイムになる設計により戦闘のテンポが非常に良かった。
そもそも、敵の攻撃はこちらの攻撃の手を止めて回避に専念すれば簡単に避けられるものが多いので、回避行動(+カウンター)はもはや積極的な攻撃の選択肢とも言える。5回連続くらいPrecision Counter決めると脳が快楽で溶ける。
4.2 召喚獣バトル
ストーリーの要所で挟まる超ド派手バカ全部盛りのアホバトル。ほんとに最高。演出が度を超えていて、召喚獣バトル中はずっと笑いが止まらなかった。このゲームで一番好きになった要素だった。召喚獣バトルの間は小学3年生に人格を乗っ取られていた気がする。
バトルの操作自体はシンプルなのに絵面がド派手だからそれだけで楽しいし、BGMも熱い、演出も盛り盛りでこれもBGMと合わせにきているのでめっちゃ熱中してた。特に中盤の○○○ー○戦はアホバカおもしろ壮大クライマックスすぎて今後の人生で絶対忘れないだろってぐらい深く刻み込まれた。
半分バカにしてたQTEがこんなにもおもしろいものとして体験できるとは全く思ってもいなかった。ついつい力を込めて□ボタンを一生懸命に連打している自分に驚かされた。なんなんだこの化け物システム。
正直、クッソ長いしQTEまみれなので、入り込めなかったらそれだけでその人のFF16に対する評価はかなり落ちると思う。頭を小学3年生にして何も考えずに楽しむんだ。
4.3 ストーリー&世界観
・ストーリー体験の構成が上手
開発者インタビューで「ジェットコースターのような体験」と言われているのを見たが、確かにその通りだった。一気に物語が進展する急降下パートと、一旦落ち着いて次の急降下に向けてエネルギーを溜めるゆったりパートが明確に使い分けられていた。
ゆったりパートでサブクエしたりリスキーモブと戯れたりして、急降下パートで濃い味カットシーンを浴びまくった後の箸休めができた。他にも、ハルポクラテスの備忘録・ヴィヴィアンレポートで頭を整理する時間を自然に作れるので、ストーリーに付いて行きやすくなると思う。
サブクエに取り組むタイミングが明確に設けられているので、RPGあるある(?)の「メインストーリーが急展開中なのにサブクエばっかりやっててなんだ没入感が削がれちゃう問題」が生じづらい構成にできている。
それでいて、メインストーリー自体は全体的な伏線の提示と次の物語展開が気になるように構成されているので、メインストーリーを進める求心力も損なわれない。上手に作られているな―と思った。
・ストーリーのテーマが個人的に超好き
ストーリーの大きな流れ、テーマがめちゃくちゃ自分の好みだった。本当に個人的な好みも入っているので、詳しく語らないとレビューとして成立しないのでネタバレありで書く。誰がどうなるとかは書いていないけどネタバレ注意で。
ネタバレ注意の空白
世界観がとても気に入った。というのも、個人的な主張で、魔法と科学が共存している世界観だと「科学があったら魔法はいらなくね?」とついつい考えてしまう。FF16はクリスタルの恩恵による魔法に依存して科学があまり発達していない世界だったのが解釈一致。
そして、FF16の大きなストーリーとして、神から与えられたクリスタルの恩恵を享受する魔法の時代から、神殺しを経て人の手で理を作る科学の時代への変遷が描かれている。サブクエストをこなす中でこの時代変遷を描いていることに気づいたんだけど、あまりに好物すぎる展開にエンディングを迎えるまでずっと心がざわざわし続けていた。後の世界で神話として残るような物語なんだって思いながらプレイすると胸が熱くなったし、完全に開発者とも解釈一致だったと勝手に思っている。
逆に、序盤の展開から人間だけの戦争・政治のドロドロ話を期待した人は、中盤以降から「思ってたのと違う!ヤダ!」ってなるかもしれない。自分は人間同士の争いだったはずなのにいつの間にか世界の命運をかける戦いに巻き込まれてた、みたいな展開が好きだからFF16のシナリオと相性が良かったと思う。
ネタバレ終わりました
・アクティブタイムロア&ハルポクラテス&ヴィヴィアンに感謝
アクティブタイムロアは本当に優れた機能で「アクティブタイムロアを開いたのに知りたい情報がない!」、「どうでもいいことばっかり載ってて邪魔!」っていう状況に一度も遭遇しなかった。マジですごい。しっかり厳選された、その時に必要な情報だけがばっちり掲載されている。しかも、カットシーンの中でも小刻みに更新されている。
これ、手作業で作ったという話を聞いたんだけど正気か???????
カットシーンを中断することでテンポが悪くならないかなと思ったけど、使いたくなるシーンは会話がメインのシーンで「誰こいつ?どこだっけここ?」ってなる時なので、中断してもそんなに気になることはなかった。
用語の説明文自体もコンパクトにまとまっていてさっと読める文量だというのもテンポ感の維持に寄与している。
個人的に複数の国や陣営が絡むストーリーを理解するのが苦手で不安があったけど、アクティブタイムロア&ハルポクラテスの備忘録&ヴィヴィアンレポートのおかげでしっかりついていくことができた。実装してくれて本当にありがとうございました。(ウィッチャー3にもこの機能実装してくれないかな……。)
・サブクエのストーリーが良い
一部の特殊なサブクエ以外、ゲーム的な報酬はほぼなくて、世界観への理解を深める、キャラを掘り下げる役割になっている。
特に終盤のメインキャラクターが関わるサブクエでは重要なエピソードがかなり語られるので、こんなん全部やるしかないじゃん!って感じだった。
全消化も十分現実的な数なので、良い塩梅で作られていると思った。
・世界が生きている!
メインストーリー&サブクエの進行によって、街や拠点のNPCのセリフや配置がめちゃくちゃ丁寧に更新されていた。各街のストーリーみたいなサブクエがあるんだけど、その時はサブクエ進行中のタイミング毎に計4,5回は全NPCのセリフが更新されているじゃないかと思われる。すごい物量。
あと、サブクエの進行がその後の世界にもきちんと反映されていて、とあるサブクエで開発されたパンが、クライヴたちの拠点にまで流れ着いてきたりしておもしろかった。
これによって、ヴァリスゼアの世界が生き生きとして感じられて、ゲームへの没入感がマシマシマシマシマシマシになった。
普段ゲーム遊ぶ時に、NPCのセリフなんてテキトーに読み流すしちょっと話聞いたら満足するんだけど、FF16はその街で話が動いたかなと思ったら積極的にNPCの会話を確認していた。別にゲーム的な報酬が得られるわけでもないのに、NPCの話を聞いて街がどうなっていのかを確認することが楽しくて仕方なかった。これも自分にとっては新鮮な経験で、それぐらいヴァリスゼアの世界を好きになることができたんだなーって思う。
5.自分は大丈夫だったけど気になる人がいそうなところ
5.1 武器、防具は工夫の余地なし
工夫の余地はほぼなく、ストーリーの進行に合わせて数値が強いものにアップグレードするだけ。そういう方向性ならそれでいいやと早い段階で納得したので気にはならなかったけど、ここに期待していた人はがっかりポイントになると思う。
5.2 探索要素は超シンプル
自由にあちこちを探索することの意義がかなり薄かった。これも割と早い段階で察して、探索を真面目にやるゲームではないって気持ちに切り替えられたのでダメージは最小限で済んだ。エルデンリングを遊ぶような気持ちで探索したら虚無感が半端なくて大ダメージを受けたと思われる。
宝箱がたまに配置されているんだけど、これはむしろ全撤廃しても良かったのではないか。宝箱があると知ればついつい探索したくなるが、探索にかかる熱量に対して得られる報酬は少ないから釣り合っていないように思う。
5.3 シナリオの細かい粗
エンディングまで見終わったあとでも「こいつこの時何考えてんだ?」「そうはならんやろ」って思う箇所がいくらか残っている。自分はこういった細かい粗は適当に良い感じに解釈したり無視したりするのであまり影響を受けなかったが、細かいところまでしっかり気にする人は途中でしんどくなるかもしれない。
6. 気になったところ
6.1 戦い足りねえ
何度かリトライする前提の強敵と戦う機会をもう少し増やして欲しかった。
メインストーリーは前述のとおり初見クリアが可能な調整で正解だから、リスキーモブの方に強敵・明らかな格上をたくさん用意して欲しかった。明確に強かったのはあのドラゴンくらいかなあ。クソ強裏ボスみたいな奴を配置して欲しかったなあ。
あと、ボスになる敵は色違いの使い回しが多くて、さすがに終盤になると「もう見た」ってなるので少し残念だった。でも、これはこれで「お前の攻撃は見切り済みだぜ」っていう優越感に繋がったから一長一短かも。
戦闘欲については、2周目以降のファイナルファンタジーチャレンジで満たせるかもしれないが、1周目のプレイでも満足させて欲しかったというのが正直なところ。
石塔チャレンジは遊んでみようかな。でも、オーディンが難しすぎて諦めているのでやりたくないかも。
6.2 情報を出すタイミングが遅い
中盤の終わり〜終盤前半ぐらいは話に置いて行かれた感覚があった。出すべきタイミングで出てこない情報があるからだと思われる。
例えば、ストーリー上でクライヴはマザークリスタルの破壊に対して悩むことは一切ないんだけど(これは一貫性があって良い)、プレイヤー側としては「本当に壊していいのか?マザークリスタルを壊した後はどうするんだ?」って疑問を持ち続けていて、最終決戦直前までマザークリスタル破壊活動の正しさに確信を持てなかった。プレイヤーとその写し身たるクライヴの間で感情の乖離が生じるのでここは本当にプレイしていてモヤモヤし続けていた。最終決戦前には自分としては納得できるだけの十分な情報が得られたので、開示するタイミング・方法をもう少し何とかして欲しかった。
各キャラクターの掘り下げも、最終決戦前にわらわらと発生するサブクエで欲しいところまで掘り下げ切ってくれるんだけど、もう少し早く掘り下げてくれれば中盤の没入感がより増したように思う。例えば、トルガルに再会した瞬間から「足の腕輪はなんだ?13年間何してたんだ?」って思うわけで、それをサブクエをやると全部解消してくれて、そのエピソードもめっちゃ良い。だけど、例えばこれがもう少し早く、第三部が始まって少し経ったぐらいで入れてくれたら、トルガルへの思い入れがもっと強い状態で一緒に旅ができたよなーって思うわけで。
他のキャラ(特にジル!)も同じような感じで、関係性を補完するストーリーを入れるタイミングが遅くて勿体なかった。
6.3 サブクエが結局おつかい
逃れられぬ宿痾。結局、サブクエのゲームとしての中身はおつかいから脱却できてないので、そこで拒否反応が出かけた。
アイツと話してこい、アレとってこい、あの敵を倒してこいって言われてマップのマーカー通りに進んで作業をこなすだけ。これは世の中のほぼ全てのRPGが抱える問題だから仕方ないんだけども。(エルデンリングはおつかいから脱却した代わりにNPCがどこに行ったか全くわからなくて草だった。)
ただ前述のとおり、サブクエのストーリー自体はよくできていて、NPCの会話もダイナミックに変化していくのでサブクエを消化するモチベーションは保てた。
たまに世界観の理解にもキャラクターの掘り下げにも役に立たず、ゲーム的においしい報酬もないサブクエがあって残念だった。こういうのは完全に削除して、無駄を削ぎ落として欲しかった。
6.4 やっぱりカットシーンは長い
事前に情報を得ていたので覚悟はしていたが、やはりカットシーンはかなり多くてしんどかった。クリエイター側の人間ではないのでどこを削れるとか具体的な話はできないけど、もう少し物量を減らしてすっきりさせられないものなのかなあ。
7. 探求の結果
以上、つらつらと書いたが何がそんなにおもしろかったのか探求の結果を整理してみる。
・アクションが楽しい
結局、「もっと戦いたい」って思うぐらいにはアクションを楽しめた。
・ストーリーが個人的にぶっ刺さった
個人的な好みに合致するってデカい。
刺されると全く思ってなかったら余計に深く刺さっている気がする。
・減点項目から受けたダメージが少ない
一番気になった減点項目は6.2で挙げた内容なんだけど、最終的には納得できたから評価を大きく下げることはなかった。
・ファイナルファンタジーに対して幻想を抱いていなかった
自分は「ファイナルファンタジーはかくあるべし」みたいな思想を持っていないしシリーズファンでもないので、過剰な期待をすることがなかったのも最終的に評価するでは大きな要因だと思われた。
他の人の感想をツイッター等で見ていると「FFはかくあるべき!」みたいな意志が強い人が結構いて、その分だけ期待が大きくなるんだと思う。FF16は省いている要素は徹底的に省いているので、そこに期待を持っていると「期待外れ、こんなのFFじゃない」って感想になるのかなと思った。
「ファイナルファンタジー」ってなんなんだろう、作るのめちゃくちゃ大変そうだなって思った。
ものすごい熱量で作られた素晴らしいゲームを世に出してくれた開発者のみなさまには感謝の言葉を贈りたい。
8. 最後に
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