シリーズ未経験者によるアーマードコア6 レビュー AC未経験者こそAC6を遊ぶべきという話
2023年8月25日0時よりプレイ開始、チュートリアルのヘリコプターに1時間ボコられ続けた。翌日仕事のため、その日は枕を濡らしながら眠りについた。
無事にヘリコプターを倒した後もバルテウスにボコられ、シースパイダーに粉々にされ、その後のボスたちにもキレ散らかしながら、なんとか1周目をクリアすることができた。
ほぼ全てのボスにボコられてキレまくっていたが喉元過ぎればなんとやらで、クリアしたと今は楽しかった思い出しか残っていない。
そんな訳でレビューを書こうと考えをまとめていたところ、AC6はAC未経験者にこそおすすめされるべきゲームだとの考えに至った。
1. レビュー者のプロフィール
・ACシリーズ全くの未経験者。プレイ動画すら見たことがない。ACfAのオープニングは見たことある。
・特別メカが好きってわけでもない。
・フロムソフトウェアのゲームはダークソウル1,2,3、ブラッドボーン、隻狼、エルデンリング、デモンズソウル(リメイク版)をプレイ済み。
という感じで、ここ3,4年でフロムソフトウェアののファンになった者である。
2. 事前情報&期待していたこと
開発者インタビュー、トレーラー、メディア発信のプレビュー記事はチェックした。
一方、先行プレイ映像や試遊会の動画は強いムーブ等のコツを知りたくなかったので意図的に避けた。
歯応えのあるボスが用意されていると聞いていたので、そこはソウルシリーズみたいな戦闘体験を期待していた。
また、トレーラーで見せられた世界観が最高だったので、どんなストーリーが繰り広げられるのか、ものすごく楽しみにしていた。
あとはシンプルに、ここ最近フロムソフトウェアのファンになった者として、フロムソフトウェア初期から存在するACシリーズを遊んでみたかった。
3. プレイ環境・状況
・PS5のダウンロード版
・オンライン要素なし
・1週目クリア時点で30時間、レビュー執筆時点で2週目中盤あたりまでプレイ中。
4. 結論
最高に楽しかった。
歯応えありすぎなボスに対して、アセンブルとアクションの両面からアプローチをかけ、少しずつ突破口が見えてくるのがたまらない快感。
ストーリーは引きが強くどんどん展開し、終盤は激アツ。没入感も半端なく、重要なストーリー分岐ではどちらを選択するか本気で悩んでしまうくらい入り込んでいた。
総じて、2023年の個人的なGOTYです。
あと半年あるけど確定でしょこれ。
以下に良かったところと気になったところについて細かく書く。
5. 良かったところ
5.1 難局に対するアセンブルとアクション、両面からのアプローチ
これがこのゲームの真髄だと思う。
要所要所で登場するボスは強敵揃い。
最初はボコられつつ攻撃パターン・弱点を分析し、機体に求められる能力・有効な武器を考え、最後は自分の考えたプランを実行するための技量を身につけるべくリトライを繰り返す。アセンブルとアクションがなんとかハマって、残りAPギリギリでボスを撃破したときの快感・達成感はさすがフロムソフトウェアのゲーム、と感心させられた。
ここまではソウルシリーズと類似した体験ではあるが、AC6の強すぎるボス達はアセンブルの楽しさをプレイヤーに伝える役割を持っているようにも感じた。
過剰とも言える難易度のボスたちは、プレイヤーを半ば強制的にアセンブルと向き合わせる役割を果たしている。
思い返すと、姿勢制御がめちゃくちゃ低い頭部パーツをつけていたせいでスタッガーさせられまくっていたし、FCSなんか全く気にしてなかったし、ブースターの種類でQBの発動間隔が大きく変わることに気づいてないし……なんと言うかまあ、何にも理解していなかった。
しかし、これほど高い壁にぶち当たらなければ、大量のパーツにこれまた大量の数値が並んだ一目見ただけでは意味不明なアセンブルと真剣に向き合う気は起きず「なんかよくわかんないパーツとよくわかんない数字がたくさんあったけどなんとなくのアセンブルで敵を倒せたからヨシ!」で終わっていたかもしれない。
多種多様なパーツはほとんど使わず、機体を組み上げる楽しみは見つけられず、そうなるとAC6の魅力は半減していただろう。
普通のゲームであればここまで強いボスはストーリークリア後のおまけに配置するだろうが、あえてストーリー中に持ってくることでAC6を手に取ったすべてのプレイヤーにアセンブルの楽しさを味わってもらうことに成功していると言える。ある意味スパルタ。
5.2 適度な難易度で多様なシチュエーションのミッション
ボスは前述の通り高難易度だが、ボス戦以外のミッションは簡単〜ちょい難しいぐらいでバランスよく配置されている。
ボスにボコられた後に簡単なミッションでストレス解消ができるので、ゲームプレイとしても緩急がついている。
シチュエーションも雑魚を蹴散らす、迫り来る敵から拠点を防衛する、立体的な巨大マップを探索しながら進む、巨大メカを落とす、データを収集する、など多様に用意されていて飽きを感じることはなかった。
仕事の種類によって機体に求められる能力が異なっていて、機動力が重要だったり、小回りの効く武器が欲しくなったり、範囲攻撃ができる爆撃武器が必要だったり、ここもミッションをスムーズにクリアするためにアセンブルを工夫する楽しみがあった。
5.3 高難易度だがとても親切
前述のとおりボスはめちゃくちゃ強いが、ボス直前に必ずチェックポイントが用意されていて迅速なリトライが可能だった。PS5版だとロードも爆速。さらに、戦闘中ですらリトライ可能で、戦闘開始直後に不運が重なってボッコボコにされた時なんかはすぐにリトライできる。
また、チェックポイントからやり直す際にはアセンブルも可能。
総じて、プレイヤーに対するストレスは「ボスが強い」or「ミッションが難しい」に集約されていて、それ以外は親切でストレスフリーな設計が心掛けられている。
ボスとの死闘に集中して挑むことができる環境がきちんと用意されていて、ゲーム体験を損ねることがなかった。
5.4 ストーリーへの没入感が半端ない
この半端じゃない没入感はどこから産み出されているのか。
ブリーフィング画面の演出が強くて、まるで仕事に行く前に本当にブリーフィングを確認しているかのような気持ちにさせられた。
主人公を含め、一切の顔グラフィックを排除しているのが没入感に拍車をかけているのかな。
621に感情移入する、とかではなくて自分自身が621であるかのような気持ちになっていた。そんなもんだから、ストーリー最終盤の大きな分岐ではどちらを選ぶのか本当に悩まされた。
ACシリーズはずっとこんな感じの演出らしいと聞いているので、シリーズファンはこういった没入感を高める演出で、沼に引き摺り込まれていったのかなあ、などと思ったりした。
5.5 自己肯定感が高まる
621の飼い主ハンドラー・ウォルターはめっちゃ褒めてくれるし、大変な仕事の後には労ってくれる。「よくやった」「慣れたもんだな」「戻って休め」「この仕事ができるとするならばお前だけだ」……尻尾振って喜んじゃう。
敵も「あいつ何者だ!?」「ただの独立傭兵のがここまでやるのか!?」とゲーム序盤からバシバシ褒めまくってくれる。
まるで小学生の妄想かと思うようなシチュエーションで、ありとあらゆる角度から褒めてくれる。
さらに、ルビコプターという第一の壁をまともなチュートリアルすらなく独力で乗り超えているので、褒め言葉がお世辞に聞こえることもなく純粋にニヤニヤすることができる。
自己肯定感がすごく高まり健康に良かった。AC6は健康に良い。
まさか、フロムはこのためにルビコプターを配置したのか……?
6. 気になったところ
6.1 やっぱり難しすぎない?
適したアセンブルを組めさえすればそこまでアクション面のスキルは求められないとはいえ、全ての選択肢が開かれている状態から独力で最適なアセンブルに辿り着くのは難しい。
そうなると、アクション面の難易度で合わない人、脱落してしまう人も出てきてしまうのではないかと流石に心配になる。
しかし、4.1で書いたとおり、高難易度によってアセンブルの楽しさを伝えている面があるため、単にイージーモードを用意すれば良いという問題でもないように思う。
とは言え、ルビコプターのトロフィー取得率が90%超えている現状、難易度調整はそんなに心配いらないんじゃないかという気もしてくる。ルビコプター倒せるなら他のボスもアクション面ではなんとかなると思うし。
6.2 最適解を見つけると逆に簡単になりすぎるかも
ボスにはひたすら苦戦していた一方、対AC戦はほとんど苦戦することなく突破できていた。
そのため、ストーリー的には熱いシーンでもバトルは一方的な蹂躙となり、イマイチ盛り上がりに欠けるシーンを何度か経験した。
恐らく対AC戦については、1周目の早い段階で適したアセンブルを見つけていたと思われる。
また、2周目以降、1周目で辛酸を舐めさせられたボス達と再び戦っているが、アセンブルをしっかり準備していけばほぼ苦戦することなく倒せている。
このように、最適なアセンブルを早々に見つけてしまうと、それ以降アセンブルを工夫する必要がなくなってしまい、ゲームの魅力が半減してしまうかもしれないと感じている。
とはいえ、インターネット上の反応を見るとみんなしっかりと苦戦しているようなので、概ね狙い通りの体験をさせることに成功しているように思う。
7. まとめ
アセンブルの楽しみを(ほぼ強制的に)体験できるAC6はシリーズ未経験者にこそおすすめできる作品と言えるのではないだろうか。
不満点も小さなもので、個人的には2023年のGOTY、今年自分が遊んだゲームの中では現時点で最もおもしろい作品であった。
ただ、プレイ中はずーーーーーーっとボスにブチギレていた。人様には見せられないくらいに。それでも、ボスを倒しさえすればそれまでの怒りはすべて消え、達成感だけが残った。ほんと、不思議なゲームだ。
さーて、引き続き2周目以降を遊んでいきますか。