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DB UIC-Z客車の系譜: Bpmz 291 (1978-1994)


2等開放室客車:Bpmz 291/292

はじめに

1978年から1985年までDBが調達したUIC-Z仕様の2等開放室客車がBpmzです。既存の区分室客車のBm 235は、IC列車の200Km/h運転に組み込まれ、欧州鉄道の代表的存在でもありましたが、旅客数が伸び続ける時代の要請は、区分室車が好まれる定員54名の1等車両とは異なり、EUROFIMA主導によるUIC-Z規格としての新しい2等区分室車両では、UIC-X(Bm 235)の定員72名から66名に減少する割に区分室の空間が手狭に感じることもあり、UIC-Xよりも定員増を図りながらより広い空間イメージを体感できる開放室に利用者やDBは魅力を感じていました。LHB主導で開発された車体もUIC-Xから進化を遂げ、台車も新しいMD52型を採用したことで、それまでのMD36台車よりも静粛性や高速走行性能が高く、当初のUIC-Z規格であった区分室客車ではなく、新たな開放室客車としてのエアコン付きの2等客車の調達を決定しました。
Bpmz 291は、西ドイツ国鉄時代最後の優等列車専用客車として最もポピュラーな車両の1つであり、完成直後からIC列車で、また1987年からはEC列車で運用開始。IC/EC列車の他にもFD、IRE、RE、LHAE、RB、D-Zugにも幅広く運用され、今なおDBの長距離優等列車の主力客車として活躍しています。

「DB UIC-Z客車の系譜」の1形式としてBpmz 291とその派生車種を纏めるに当たって、当初から予想はしていたものの、量産先行車から第3次量産車までの全540輌の分類、その後様々なDBを取り巻く社会環境の変化や、広く欧州全体の政治的、地勢的変化に合わせて様々な改造と車種の多様化が繰り返され、その種類の多さと内容の理解は、非常に困難を極めました。そのため、当初は、Bpmz 291を1つの記事として纏める予定でしたが、1994年のDBの民営化前までと民営化後に分けて記載することとしました。

DBの長距離車両は既に電車タイプのICEに譲り、客車列車自体の運用が少なくなる中、最後の長距離客車とも言えるUIC-Zの主力客車の全体を俯瞰しながら、細部の変化が理解できる記事となるよう試みたものです。
日本語によるこの記事が、広くドイツの標準型客車であるBpmz 291とその派生車種の理解に役立つものであることを期待しています。

Bpmz 291.0, .1 mit MD52 Drehgestell | 1978 Ozeanblau / Elfenbein

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