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No.26【朝ドラ小説】「光のつむぎ」第26話:「街に咲く笑顔の花」
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第26話:「街に咲く笑顔の花」
夏の柔らかな朝陽が差し込む屋上で、紬、蓮、朔太郎、柚月、そして隼人が一堂に集まっていた。柚月が「お花フェスティバル」を成功させた後、紬たちはさらに大きな挑戦をしたいという気持ちに満ちていた。
「次はもっと大きなことをやろうよ!」紬がスケッチブックを広げながら提案すると、蓮が興味深げに言った。
「具体的には?」
紬はスケッチブックに描かれた街の地図を指差しながら言った。
「この地図にある商店街、公園、広場、みんなで笑顔を届けるプロジェクトを広げていくの!町全体を巻き込む一大イベントをやろうよ!」
「町全体を巻き込む?」朔太郎が目を丸くして聞き返すと、紬は力強く頷いた。
「うん!名前は『笑顔フェスティバル』!お花屋さんの成功をヒントにして、町中の人たちが笑顔になれるイベントを作るんだよ!」
柚月は目を輝かせて「すごく素敵!私もお花をたくさん使って参加したい!」と言い、隼人はギターを軽く弾きながら「僕はステージで演奏しよう」と笑った。
朔太郎は腕を組んで少し考え込んだ後、「まあ、大きな挑戦だけど、やる価値はありそうだな」と言葉を漏らした。
紬たちは「笑顔フェスティバル」を成功させるため、町中を駆け回り始めた。
紬と朔太郎が商店街を訪れ、各店主に協力をお願いした。
「お店の前に笑顔をテーマにしたデコレーションをしてもらえませんか?私たちもお手伝いします!」
最初は戸惑っていた店主たちも、紬たちの熱意に押されて次々に協力を約束した。
柚月は公園を訪れ、花を飾る場所やイベントのスペースを確認。地元の造園業者に相談し、「花のトンネル」を作る計画を立てた。
「これを通った人が、みんな笑顔になれるといいな……。」
隼人と蓮は、広場に設置するステージの準備を進めた。隼人は演奏曲を選び、蓮はステージ周辺のデザインを考案。
「俺にしては派手すぎる気もするけど、まあ悪くないかな。」蓮がぼそりと呟きながら、ポスターのデザインを仕上げていく。
しかし、順調に見えた計画にも壁が立ちはだかった。
フェスティバルの開催日が近づくにつれ、協力者たちの間に不安の声が広がったのだ。
「本当にうまくいくのかな?」
「こんな大きなイベント、失敗したらどうする?」
商店街の店主や公園の関係者からも、「ちょっと規模が大きすぎるかもしれない」という声が聞こえ始めた。
その言葉に、紬たちも一時は立ち止まりそうになった。しかし、紬は仲間たちを見渡しながら言った。
「大丈夫。みんなで力を合わせれば、絶対に成功するよ!だって、笑顔は人を繋ぐ力があるから!」
紬の言葉に勇気づけられ、仲間たちは再び前を向いた。
いよいよ「笑顔フェスティバル」当日。町中がカラフルな装飾で彩られ、商店街や広場、公園には多くの人々が集まっていた。
商店街では各店が「笑顔」をテーマにした特別メニューや商品を用意。紬たちが作った「笑顔のメッセージカード」が並び、訪れた人々が自由にメッセージを書いて壁に貼っていった。
公園では柚月が準備した「花のトンネル」が子どもたちに大人気。「きれい!」「ここを通るだけで楽しい!」という声が飛び交い、柚月は満面の笑みを浮かべていた。
広場では隼人と蓮がステージで演奏を披露。蓮の力強い歌声に隼人のギターが重なり、観客たちは手拍子をしながら楽しんでいた。
そのとき、商店街の隅でひとり静かに佇むおじいさんの姿を紬が見つけた。彼はどこか寂しげな表情で、楽しそうな人々を遠巻きに眺めていた。
紬はその場に駆け寄り、そっと声をかけた。
「こんにちは!一緒にフェスティバルを楽しみませんか?」
おじいさんは驚いたように紬を見たが、やがて小さく首を振った。
「いや、わしはもう年でな。こんな賑やかな場は苦手なんじゃよ。」
その言葉に紬は一瞬困ったが、優しい笑顔で言った。
「でも、この笑顔の祭りは、年齢なんて関係ないんです!少しでも楽しいと思えることがあれば、それで十分なんです!」
その言葉に、おじいさんは目を潤ませながら、「じゃあ……少しだけ付き合ってくれるかのう」と笑った。
紬が手を引いて連れて行ったのは、メッセージカードが貼られた壁だった。そこには「ありがとう」や「がんばれ」といった温かい言葉が無数に並んでいた。
おじいさんはしばらくそれを眺めた後、「わしも……書いていいか?」とポツリと言った。
紬がペンを渡すと、彼は震える手で「今日ここに来てよかった」と書き込み、笑顔を浮かべた。
夜になり、フェスティバルは大成功のうちに幕を閉じた。
屋上で集まった紬たちは、全員が達成感で満たされていた。
「紬、よく頑張ったな。」蓮が言うと、紬は笑顔で答えた。
「ううん、みんながいたから成功したんだよ。」
柚月も「お花を通じてこんなにたくさんの人が笑顔になれるなんて、本当に素敵だった!」と頷いた。
「これからも、もっと笑顔を広げていこうな。」朔太郎が静かに言い、全員が頷いた。
「笑顔の花は、一人一人の心に咲く。」
町全体が笑顔で包まれたこの日、紬たちは新たな一歩を踏み出したのだった。
明日へ続く。
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