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No.5【朝ドラ小説】「光のつむぎ」〜人生という旅路で、誰もが持つ“光”を見つけ出す癒しの物語 第5話:「返事の予感」

第5話:「返事の予感」

翌朝、病院へ向かう道すがら、紬は心を弾ませていた。昨日の風船がどこかに届いて、誰かがそれを見つけてくれているかもしれない。そんな考えだけで胸がワクワクする。

「紬、今日はどんな冒険するの?」母・茜が微笑みながら尋ねると、紬は得意げに答えた。

「えっとね!今日は、返事が来るかもしれない日!」

「返事?」

「昨日ね、朔太郎くんと風船を飛ばしたの!遠くまで飛んでいったら、誰かが手紙を見つけて返事を書いてくれるかもしれないの!」

茜は驚きながらも、そんな紬の姿に心が温かくなった。

「それは楽しみね。いい返事が来るといいわね。」

屋上に向かう階段を駆け上がると、いつもの場所に朔太郎がいた。彼も同じように、何かを待ち望むような表情をしている。

「朔太郎くん、おはよう!」

「おはよう。……なんか昨日のこと、夢みたいだな。」

「夢じゃないよ!きっと本当に届いてる。だって、あの風船、すっごく高く飛んでいったもん!」

紬の目は輝いていた。その無邪気な期待に、朔太郎も少しだけ笑ってしまう。

「お前って、本当に前向きだよな。」

「そうかな?だって、楽しい方がいいもん!」

二人はそのまま屋上に腰を下ろし、昨日飛ばした風船のことをあれこれ想像し始めた。

「ねえ、朔太郎くん。もし手紙が届いたら、どんな人が見つけたと思う?」

「うーん……意外と、おじいさんとかかもな。孫に見せようとして拾うとか。」

「それもいいね!私はね、遠い国の人が拾ったらすごいなって思う!」

「おい、それはさすがに飛びすぎだろ。」

そんな話をしていると、ふいに病院の職員が屋上に上がってきた。手には大きな茶封筒を持っている。

「光野紬さん、ここにいるかな?」

名前を呼ばれた紬は驚きながら「はい!」と手を挙げた。

「これ、さっき病院に届いたんだよ。『屋上で遊んでいる子に渡してほしい』って書いてあったから、君にかな?」

紬は目を丸くして封筒を受け取った。その瞬間、朔太郎も息を呑む。

「これって……まさか!」

紬はその場で封筒を開けた。中には一枚の手紙と、小さな絵が入っていた。それは、紬が昨日飛ばした風船についていた手紙への返事だった。

「こんにちは!僕は隣町に住む高校生です。あなたたちが飛ばした風船がうちの庭に落ちてきて、とてもびっくりしました。手紙を読んで、なんだか元気をもらった気がします。ありがとう。」

手紙には、最後にこう書かれていた。

「よかったら、また風船を飛ばしてね。楽しみにしてるよ。」

「すごい!本当に届いたんだ!」紬は大興奮で手紙を握りしめた。

朔太郎も呆然としながら、ふっと笑みをこぼした。「……マジで返事来るとは思わなかったな。」

「ほらね!私の言った通りだったでしょ!誰かの心にちゃんと届いたんだよ!」

紬は嬉しさのあまり小さくスキップをしている。朔太郎もそんな彼女の姿を見て、心が軽くなるのを感じていた。

「……お前の明るさって、すごいな。」

「え?どうしたの?」

「いや、なんでもない。ただ、俺も少しだけ前向きに考えてみようかなって思っただけ。」

朔太郎の言葉に、紬はにっこり笑った。「うん!その方が絶対楽しいよ!」

二人は手紙を眺めながら、次にどんな風船を飛ばそうかと話し合った。その時間は、屋上に吹く爽やかな風のように心地よく、二人の間に新しい希望の風が吹き込んでいた。

「次はもっと遠くに飛ばしてみようね!」

紬の提案に、朔太郎も頷いた。その瞬間、二人の友情はまた一つ深まった。

明日へ続く

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主題歌『癒しの温もり』

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