No.2【神様小説】⛩️愛喜楽天の『湘南青春日和 』⛩️第二話:「神様と迷子の子猫」
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⛩️第二話:「神様と迷子の子猫」
江ノ島の午後は、暖かな陽射しに包まれていた。海風に吹かれながら、愛喜楽天(あきらてん)はお気に入りの缶ビール片手に商店街を歩いていた。
「いやぁ、やっぱり湘南は最高だなぁ。俺、天界よりここが好きかも」
のんびりと独り言を言いながら、ウィンナーの屋台に足を止める。最近、地元の人々とも少しずつ打ち解けてきた愛喜楽天は、この商店街が自分のホームのように感じられていた。
「あ、愛喜楽天! またウィンナーかよ」
声をかけたのは、愛喜楽天の“世話係”のような存在になりつつある高校生・光(ひかる)だった。愛喜楽天は振り返り、笑顔で手を振る。
「おう、光! ウィンナーと生ビールがあれば、俺は永遠に幸せだよ」
「神様の幸せって、意外とチープだよな……」
二人は冗談を言い合いながら、商店街をぶらつき始めた。そんな穏やかな午後のことだった。
愛喜楽天たちが歩いていると、路地裏から小さな鳴き声が聞こえた。
「にゃー……にゃー……」
「あれ、猫?」
光が耳を澄ませると、愛喜楽天も同じように耳を傾けた。
「おお! 猫か! どこだどこだ?」
二人が声のする方に進むと、古びたダンボール箱の中で小さな子猫が丸くなっているのが見えた。
「お前、どうしたんだ? 一人か?」
愛喜楽天はしゃがみ込み、子猫に話しかけるように優しい声を出す。子猫は怯えた様子で、じっと彼を見上げていた。
「迷子かもな。親猫がいないっぽい」
光が心配そうに言うと、愛喜楽天は子猫をそっと抱き上げた。
「大丈夫だぞ。俺が神様としてお前を守ってやる!」
そう言いながら、愛喜楽天はふわりと子猫を胸に抱き寄せた。その仕草は、いつもの愛喜楽天とは違い、どこか神聖さすら感じさせた。
愛喜楽天は子猫を祠(ほこら)に連れ帰ると、光と二人で世話を始めた。しかし、愛喜楽天の「ポンコツ神様」ぶりが早速露呈する。
「えっと……猫って何食べるんだ? ウィンナーでいいのか?」
「いやいや、ダメだろ! 塩分高すぎるって!」
光が呆れてツッコむ中、愛喜楽天は子猫のために一生懸命動き回った。商店街のペットショップでミルクを買い、近所の人々に猫の世話の仕方を教わる。しかし、愛喜楽天は普段から体力がないため、途中で何度もへばってしまった。
「はぁ……俺、こんなに動いたの初めてかも」
「お前、普段だらけすぎなんだよ」
光が呆れたように言うが、その顔にはどこか笑みが浮かんでいた。
それから数日、愛喜楽天と光は子猫を祠で世話しながら、親猫を探していた。商店街に貼り紙をし、地元の人々にも声をかけたが、親猫の手がかりは見つからなかった。
ある夜、愛喜楽天は祠の中で子猫を膝に乗せながら、ぽつりとつぶやいた。
「俺、神様なのに、こんな小さい命ひとつ守れないのかな……」
普段は陽気な愛喜楽天が、珍しく落ち込んだ表情を見せていた。その姿に、光も思わず胸が締めつけられる。
「愛喜楽天、お前はちゃんと頑張ってるよ。神様ってさ、何でも完璧にできるわけじゃないんだろ?」
「……そうかもしれないけどさ。俺、情けないだろ?」
愛喜楽天は涙を浮かべながら、子猫の小さな体を優しく撫でた。そのとき、子猫が小さな声で「にゃあ」と鳴いた。まるで愛喜楽天を慰めるようなその鳴き声に、愛喜楽天は思わず笑顔をこぼす。
「お前、俺の気持ちわかってくれてるのか? 優しいやつだな」
翌朝、愛喜楽天と光が祠を出ると、そこには一匹の猫が座っていた。
「えっ……これって……」
愛喜楽天が驚いて声を上げると、その猫は愛喜楽天が抱いている子猫に向かって歩み寄る。そして、子猫をペロペロと舐め始めた。
「親猫だ……!」
光がそうつぶやくと、愛喜楽天の目に涙が浮かんだ。
「よかったなぁ……お前、やっとお母さんに会えたんだな」
愛喜楽天はそっと子猫を地面に下ろし、親猫のもとへ返した。その瞬間、心の底から湧き上がる温かい感情が胸を満たした。
「俺、何にもできなかったけど……お前が元気でよかったよ」
親猫は子猫を連れて、ゆっくりとどこかへ去っていった。愛喜楽天と光は、その姿を静かに見送った。
「お前、泣いてんのか?」
光があり愛喜楽天を見て笑うと、愛喜楽天は鼻をすすりながら答えた。
「泣いてないよ。ただ、なんか胸がいっぱいでさ」
「嘘つけ。お前、情にもろすぎるだろ」
二人は笑い合いながら、商店街へと戻っていく。
愛喜楽天は、何もできなかったと思っていたが、その情熱や優しさが少しずつ地元の人々に伝わっていることを、まだ知らなかった。
「ポンコツでも、情けなくても、俺なりに頑張ればいいんだよな」
愛喜楽天はそうつぶやき、空を見上げる。湘南の青空が、彼の心をそっと包み込んでいた。
⛩️第二話はここまでです。
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