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【GPT-4】AIに具体的な回答を出力させるプロンプト。

ツイッター上で"defaoult GPT-4"のプロンプトエンジニアリングのコツをまとめた論文を発見したので簡単に紹介したいと思います。中国の研究者によるものです。




1,論文

2.「明快かつ精確に」( Be clear and precise)


主な論点は以下の通りです。

1,基本並びに応用テクニックの解説
2,発展的手法の解説
3,プロンプトエンジニアリングの将来性
4,プロンプトの評価手法

ネット上の評判を見ると悪くなさそうなので取り上げました。今回は一番基本的なプロンプト手法を論文に基づきつつ紹介します。

望み通りのアウトプットを手にいれるには、曖昧さを排除し詳細なプロンプトを作成する必要があるようです。そうしないと出力はどうしても一般的な内容になってしまうとのこと。

論文では明快かつ精確なプロンプトの例として次のようなものがあげられています。原文は英語です。

1,曖昧で漠然としたプロンプトの例

「最先端テクノロジーを知りたいです。」

出力(一部省略)

1,人口知能と機械学習:この分野は自然言語処理分野における発展によりますます洗練されている。(省略)
2,量子コンピューター:量子コンピューターでは量子力学に基づいて情報処理がなされる。(省略)
3,5G及びその発展技術:5G無線技術は2020と2021年に普及し始めた。(省略)
4、バイオテクノロジー:

p4.Fig.1

2,明快なプロンプトの例

最先端のテクノロジーが知りたいです。特に人工知能と機械学習の分野について知りたいです。最近、人工知能が急速に普及していますが、私はとりわけ大型言語モデルに驚いています。このテクノロジーが急速に発達した原因を、最低でも3つの視点から分析してください。

出力(一部省略)

AIと機械学習の勃興は、とりわけGPT-4のような大型言語モデルについては、複数の鍵となる要因の収斂とみなせます。3つの視点から分析します。:技術発達、データ可用性、社会経済的需要。
1,技術発達:AIと機械学習モデルの成長は複数のイノベーションによって促されました。(省略)
2,データ可用性:(省略)
3,社会経済的需要:(省略)

p4.Fig.2

後者のプロンプトからは確かに詳細な説明が出力されています。テクノロジー分野と知りたい問題点を指定することで一歩踏み込んだ内容が出力されています。

ちなみに、論文はGPT-4のプロンプトですが、筆者がGPT-3.5でやってみたところ、同様の結果を得ました。

漠然としたことを聞くと一般的な内容しか返ってこない。具体的な論点を入力すれば希望通りの答が返ってくる。要はこういうことです。

しかし疲れていて詳細なプロンプトを考えるのがメンドクサイ、なんてときもあるでしょう。それによく知らない分野だとそもそもどんなことを尋ねればよいか分からない、ということもあるはずです。

そんなときは「明快かつ精確なプロンプト」もGPTに聞いてみればいいのでは?と思い、試しに作ってみました。

3,プロンプトを尋ねるプロンプト

GPT-3.5を使って最先端テクノロジーを知りたいです。以下の条件を満たす明快かつ精確なプロンプトを複数教えてください。
【条件】
・特定分野について聞く。
・その分野に関する具体的な論点を3つ含める

厄介なのはプロンプトを尋ねるプロンプトも明快にしないといけない点です。このプロンプトもまだ工夫の余地があると思います。

出力結果

理解しました。以下は特定の分野に焦点を当て、その分野に関する具体的な論点を含むプロンプトの例です。

分野: バイオテクノロジー「CRISPR技術の進展と倫理的な議論」: 最新のCRISPR技術における進歩について詳しく教えてください。また、遺伝子編集がもたらす倫理的な問題や社会的な議論についても述べてください。例えば、人間の遺伝子編集への応用や倫理的な規範に関する最新の情報などを教えてください。
「合成生物学の医療応用と環境への影響」: 合成生物学の最新の進展に焦点を当て、医療分野での応用例やその可能性について詳細を教えてください。また、環境への潜在的な影響や持続可能な開発への関与についても触れてください。
「バイオセンサー技術の革新と医療・健康ケアへの適用」: 最新のバイオセンサー技術の革新や開発について説明してください。それらの技術が医療診断や健康モニタリングに与える影響について詳細を教えてください。例えば、ウェアラブルバイオセンサーや診断用バイオマーカーなどの最新の応用事例についても述べてください。


これらのプロンプトを使用することで、バイオテクノロジー分野の特定の側面に焦点を当て、最先端の進展や議論されているトピックについて理解を深めることができます。

バイオテクノロジー分野に関する詳細なプロンプト候補が3つ出力されました。2番目の合成生物学プロンプトを試してみます。なお筆者は合成生物学なる分野についてよく知らないため記述の正誤は判断できません。答えが具体的かどうかだけ見ています。

候補2プロンプトの結果

合成生物学は、生物学と工学の融合を通じて、生物システムをデザイン、再構築し、新しい機能を作り出す分野です。医療分野での応用例や可能性については次のような進展があります:

医療分野での応用例:

1. 新規医薬品の開発:

合成生物学は、薬物の生産から疾患の治療に至るまで、医薬品開発に革新をもたらしています。例えば、特定のがん治療薬や難治性疾患の治療法をターゲットとする分子の設計と生産において、合成生物学は大きな役割を果たしています。

2. バイオセンサーやバイオマーカーの開発:

合成生物学は、診断やモニタリングの分野でも重要です。新しいバイオセンサーやバイオマーカーの開発により、病気の早期診断や状態のモニタリングが可能になりつつあります。

3. カスタマイズされた医療アプローチ:

個々人の遺伝子情報や生物学的特性を考慮し、個別に適した治療法や医療アプローチを設計する可能性があります。これにより、より効果的な治療や薬物の適切な選択が可能になります。

環境への潜在的な影響と持続可能な開発への関与:

1. 持続可能な資源の生産:

合成生物学は、持続可能な方法で資源を生産する手段を提供します。例えば、バイオ燃料やバイオプラスチックなど、石油由来の代替品を生産するための技術開発が進んでいます。

2. 環境修復および生態系の保護:

特定の微生物を設計し、環境中の汚染物質を分解する能力を高めたり、生態系の修復に利用することが提案されています。これは環境保護や持続可能な開発に役立つ可能性があります。

3. 持続可能な農業の推進:

合成生物学の応用により、病害虫に対する新しい制御手法や作物の改良が可能になり、持続可能な農業の推進に寄与しています。

以上のように、合成生物学は医療分野での革新的な応用だけでなく、環境へのポジティブな影響や持続可能な開発にも大きな可能性を秘めています

かなり詳細な答えが得られました。GPT-3.5でも精確なプロンプトは機能するようです。


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