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地方・長崎にいながら1億円調達した話

長崎のフェムテックスタートアップ・株式会社イグアス、代表CEOの中村あきらです。
年齢や出産へのタイムリミットを感じるキャリア女性に、「彼と1年以内に結婚する」というコンセプトで自分らしい結婚を実現する恋愛・結婚のパーソナルトレーニング「parcy's」(パーシーズ)というサービスをやっています。

恋愛結婚のパーソナルトレーニング「parcy's」(パーシーズ)

今回は、先日発表したプレシリーズAの資金調達における裏側や苦労した点などを書いていこうと思っている。
これから地方でスタートアップとして資金調達したり、地方でスタートアップへの転職を考えている人の参考になればと嬉しい。

長崎のスタートアップ・イグアスがプレシリーズAの資金調達完了

今回長崎のスタートアップ・イグアスがプレシリーズAの資金調達を発表した。以下がリリースになる。

2017年4月:婚活事業をスタート
2018年6月:株式会社イグアスを長崎に設立
2019年9月:会員数1万人を突破
2019年11月:シードラウンドで約1800万円の資金調達
2021年6月:九州ニュービジネス大賞でダブル受賞
2021年9月:会員数2万人を突破
2021年11月:慶應義塾大学との共同研究でエビデンス実証
2021年12月:parcy's診断をリリース
2022年8月:会員数3万人を突破
2022年8月:プレシリーズAラウンドで約8000万円を資金調達

上記のようにイグアスは、着実に成長していっている。ただ、正直スタートアップとしては、まだまだ成長が遅く、調達額も少なく、もっとインパクトが大きい会社はたくさんある。

一方で、他のスタートアップと比べて異なる点がある。
それは地方・長崎で本社を置きながら成長していっているということ。さらにプレシリーズA・累計1億円調達をしたというのはかなり珍しいと感じている。

プレシリーズAとは?

スタートアップは、シード→プレシリーズA→シリーズA→シリーズB→シリーズC→IPO(新規上場)という形で資金調達のステージが上がっていく。
ステージが上がるごとに調達するお金も増えていくという仕組みだ。

スタートアップにおけるプレシリーズA期というはの、商品やサービスが少しずつ市場にも認知されてくるフェーズだ。

社員数も7名になり、業務委託メンバーを入れると30名前後の組織になる。
今回新たに入った株主さんたちからアドバイスを受けたり、フィードバックを受けることで、より市場にフィットしたサービスにしていきたいと思う。

都市部以外の地方でまだまだうちのように、中小企業やベンチャー企業とは違い、スタートアップとして資金調達を行い上場を目指していくという少ないように思う。その中で苦労しながらも、地方・長崎に本社を置きながらスタートアップとして活動してきた。

今日はその軌跡を振り返っていきたいと思う。

長崎全体の経済界に対して「スタートアップとは何か?」と伝えるところからスタート

まず東京や福岡などスタートアップに理解がある地域と比べてまずやらないといけないことは、長崎全体の経済界に対して「スタートアップとは何か?」を伝えることから始まった。

大学、行政、金融機関、地域の既存経営者など経済全体に関わる人たちと会い、「ぼくたちはスタートアップをやっています、スタートアップというのは・・・」というところから説明していった。

そもそも長崎には、スタートアップどころか、起業家や個人事業主、若いベンチャーさえも少ない。あったのは、地場産業の大企業か中小企業のみだった。
なのでまずは理解してもらうことからスタートで、そして理解されないということからがほとんどだ。

長崎の経営者に連絡しても誰一人として返ってこなかった

シードの最初の資金調達で長崎の経営者100人くらいに会社の問い合わせやSNSで直接メッセージを送ったが、誰一人として返ってこなかった。
東京だったら、少なくとも1割以上は返ってくる。当時は、

長崎を盛り上げたいという長崎出身の起業家がこんなにも応援されないんだ・・・。これが今の長崎の現状か・・。

と落胆したのを覚えている。
もし地方でやる場合は、その地域がスタートアップが盛んでなければ有力者や経営者からの出資やエンジェル投資は期待しないほうがいいだろう。

それは地方の中小企業などで成功していくバックグラウンドとスタートアップなどで成功していくバックグラウンドが全く違うからだと感じてる。
地方の中小企業の社長が成功していくには、泥臭い営業で関係性をつくり、そこで仁義や礼儀を尽くしやっと仕事をもらうものだったりして、とにかく相手の懐深く深くに飛び込んでその輪を何十年も広げての成功という背景が強かったりする。

そんな背景を持つ経営者たちに、ぼくのようなスタートアップの価値観を持った若い経営者が初めての挨拶で「出資してください」と言っても何も響かないし、仁義や礼儀がないと判断されてしまう。

彼らからすると、「そんな話は、もっと懐深く入ってから」という理屈になる。しかし、ことぼくら側からすると懐深く入って気に入ったやつにしか出資しないというスタンスは、株主になった後に「あーしろ、こーしろ」とうるさそうだし、お金に対して色がつき、経営の自由度がなくなるリスクをいの一番に感じることになる。

なので、スタートアップに出資してもらうとすれば、やはりスタートアップのバックグラウンドを持った経営者に出資してもらうのが一番なのだ。
自分たちも過去に出資してもらい、株主に応援してもらい、上場して、個人資産を得たから、次に同じような応援したい人がいたら出資する。というエコシステムの価値観を持っている人ではないと、かなりきつい。

イグアスの株主の皆さんは、素晴らしい方々で、そんな自分たちの考えを経験と共に理解してくれて出資してくれた人ばかりだ。
長崎の出資者がいないことは残念だが、日本全国に住む経営者の方々が出資者として名を連ねているのはそういう理由がある。

なので、もしあなたの地域がスタートアップが盛んでなければ、東京や他の都市部のスタートアップとして成功した経営者たちに遠隔で出資を求めることが一番だろう。

採用や仲間集めでも、「スタートアップとは何か?」を話していく必要がある

シードからプレシリーズAラウンドで起こった出来事として大きかったのは、起業家チームから社員組織に変わっていったことだ。

この採用や社員集めでも、地方では「スタートアップとは何か?」を説明していかなければいけない。そして中小企業や地場企業との違いはなんなのかを丁寧にオンボーディング(新しい仲間の順応を促進する取り組み)をしないと、かなり混乱するし仕事を求めている人でも入社しないという現状が起きる。

中小企業や地場企業、レガシー(老舗企業)やトラディショナル(伝統的)な企業で働いた経験がある人ほどスタートアップでの仕事の進め方は異質だと感じる人は多い。
地方だとその経験しかない人しかいないので、組織開発がかなり大変だった。

①戦略として蓄積していくものの違い

スタートアップとそうでない企業との違いは、企業として蓄積していくものが大きく違う。スタートアップ以外の会社は、まずは利益を蓄積していく。
その利益を投資に回し、会社経営をしていくため、戦略として利益を残すことが第一優先でそのための働き方のルールをつくる。

その点、スタートアップは、まずはPMFと呼ばれる市場に求められるプロダクトをつくることが第一優先だ。そのために蓄積するものは、利益よりも試行回数やデータ、オペレーション、ニーズにフィットした理想の商品づくりを先に蓄積し、売上や利益は大きくなってから回収するというモデルになる。

それができるのは、投資を受けて、先に資金を確保するからだ。確保した資金でまずは世の中にはない理想の商品やモデルをつくる。足りなくなったら、出資による資金調達を行う。上場したり、加速度的に成長したら売上や利益が出てくる。その順番が大きく違う。つまり、仕事のやり方が全く違うということになる。

今回の調達で長崎の十八親和銀行さんからの融資も調達した。
こちらも、スタートアップのモデルから説明する必要があり、普通だと3ヶ月ほどで融資受けられるが相談から融資実行まで何と9ヶ月もかかった。
それほど時間がかかった理由は、融資審査する人たちがスタートアップやテクノロジーを理解できないから、だ。

②テクノロジーファーストと多くの人に届ける仕組みの違い

また、中小企業や地場企業との大きな違いは、テクノロジーが仕事のメインということだ。
例えば、長崎で花屋さんを1店舗成功させたとして、それを400店舗に増やすにはかなりに人員やオペレーションが必要になる。
だけど、インターネットサービスで1万人の会員数を取れば、10万人でも100万人にお客さんが増えてもかかる人員はほとんど増えない。

つまり、一つのプロダクト(サービス)の形ができれば、一気に資金をかければ何百万人にリーチすることができ、市場を塗り替えることができる。

だからこそ、スタートアップは、テクノロジーが大前提で、出資を集めていく理由も、プロダクト(サービス)が形になれば「(人件費増加やオペレーションではなく、)資金だけ」をかければかけるほどリターンを得られる。

なのでとにかく、仕事の中心はテクノロジー化させることが優先順位が高い。
地方だとそもそもテクノロジー自体に疎い人も多く、地場産業では仕事の中核として置いていないので経験がない人が多い。


上記のように、地方でやる上では、関わる人や応援してもらう人、仲間集めの段階で「スタートアップとは何か?」というところから、説明していく必要がある。その上で関わる人を選んでいくということが大切だ。

  • 投資家や出資者は、スタートアップエコシステムを体感している人のみ

  • 金融機関もスタートアップ向け融資制度を持っている人のみ

  • 管理職以上は、Iターンなどで都市部の会社でマネジメント経験ある人のみ

  • 地方でのポテンシャル採用は、20代・30代の構成でスタートアップのスタイルに順応できる人のみ

上記を意識して、資金調達をしていけばスタートアップが盛んでない地方でもスタートアップとして資金調達していける。

自分たちが成功事例となって、道をつくっていくこと

プレシリーズAでの資金調達を地方・長崎でやってきた中で、まだまだスタートアップが盛んでない地域での資金調達は大きなハンデがあり、お勧めできるものではない。
資金調達などのチャンスが大きい東京などの都市部でやる方がいいし、さらに都市部のスタートアップたちと同条件で戦わないといけない。それはかなり大変なことだし、死ぬ気でやらないとすぐ死ぬ戦いだ。


だけど、大きな意義はある。
壁に当たりながらも進んでいくことで、自分たちが成功事例となることで、次に進める人たちの道になることができることだ。

どこの地方も、同じ課題を抱えていると思う。古い産業から新しい産業をつくり、雇用を生み出していける会社を求めている。

だけどそのためには、新しいものを受け入れていく土壌が必要だ。応援してくれる人や、理解してくれる人、・・・そして先を歩んでいる人だ。

自分たちが成功していくことで、誰かの道しるべになったら嬉しい。
10年後、20年後の長崎がたくさんの人が挑戦できる環境になっていること、新しいものがどんどん生まれてくる場所になっていること。

そんな未来を担っていると感じている。それがやはり地方でスタートアップをやっていく大きな意義だ。

日々ハンデも感じながら、かつ目立っていくことによる失敗できないプレッシャーを感じながら、成長させていかせたいと思う。

イグアスでは、採用を募集中です。
エンジニアMGR、セールスMGR、マーケティングMGR、経営管理部長など探してます。ぜひぼくたちと一緒に挑戦していきたいという方がいればぜひご連絡ください。

▼長崎のオフィスで採用説明会開催中!イグアスの採用応募はこちらから

株式会社イグアスでは採用説明会を随時開催中!
代表の中村が会社の10年後や長崎をどうしていきたいのかを語っています。

株式会社イグアス採用説明会
https://y-guazu.com/recruit22


イグアス 会社概要

イグアスは長崎市に本社をおくスタートアップ企業です。「人生の転機となる環境をつくり、女性が活躍する社会を実現する」をミッションに、女性の活躍推進支援と、長崎の経済活性化を目指した新規ビジネスの創出に取り組んでいます。

社名  : 株式会社イグアス
所在地 : 長崎県長崎市馬町81 第7三光ビル8F
設立  : 2018年6月
代表者 : 代表取締役CEO 中村 あきら
URL   : http://y-guazu.com/

事業内容:
1. 恋愛結婚のパーソナルトレーニング「parcy's」の開発・運営
2. 法人向け社員のパートナーシップ支援福利厚生サービス「parcy's for well-being」
3. 長崎の人材成長・起業家育成のためのシェアハウス=亀山社中スタートアップ(長崎リバ邸)の運営



▼絶賛採用募集中!
事業拡大中の当社では複数のポジションで人材を募集しています。詳しくは、当社採用ページおよびWantedlyをご覧ください。
採用ページ: https://y-guazu.com/recruit
Wantedly: https://www.wantedly.com/companies/yguazu17411741

▼イグアス提供サービス
・恋愛・結婚のパーソナルトレーニング「parcy's」(パーシーズ)
( https://www.parcys.com/ )

・恋愛・結婚のパーソナル診断「parcy's診断」
https://checkup.parcys.com/

・parcy's note(パーシーズノート)
( https://www.akiradrive.com/ )

▼法人・自治体の方へ
・法人向け社員のパートナーシップ支援福利厚生サービス「parcy's for well-being」
( https://www.parcys.com/well-being/ )

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