インフルエンサー2.0 僕らがわざわざ遠回りして「オリジナル」のブランドを作る理由
個人の時代、誰がカルチャーを牽引するか
僕は、世代差や世代論というのは『テクノロジー接触』と『メディア接触』で形作られると思っています。日本に生まれ育ち、同じような環境で生活しているはずなのに、世代によって常識や考え方が違うのは、接触しているテクノロジーとメディアが異なるからです。
つい十年ほど前まで、メディアの中心はテレビや雑誌でした。見ているものが均一化されている中で、あらゆる家族や個人が、似たような生活を送っていたのです。テレビで紹介されたものがとにかく売れて、雑誌がファッションなどのカルチャーを作っていました。
その後インターネットが登場して、ECサイトに軸が移ります。SEOが流行り、いかに検索で上位に上がるかが売上を左右するようになったのです。
ところが、SEOも無敵ではありませんでした。世の中の人たちは、作為的に操作された検索結果を簡単には信じなくなっていったのです。結局、『口コミを信じる』『信頼している人の勧めるものを信じる』という風潮が高まり、今に至ります。
同時に、SNSが普及して、強いことを言えない、空気を読む文化が広まります。多くの人は、言いたいことを大きな声で言えなくなってきました。ポジションを明らかにすると自分の立場が危うくなり、強い意見を言うことがリスクになっていきました。そんな中、強い意見を発信し、ポジションをとれる人も生まれます。そういう人の周りに、多くの人が集まるのです。
「個人の時代」と共に、「ポジションをとれる人が少なくなる時代」。そこで登場したのが「インフルエンサー」の存在です。たったひとりの「個人」が、同じ時代に生きる人たちの常識や考え方をけん引する時代になってきました。
多くのインフルエンサーが自身の信用を切り売りしている
そうして生まれたインフルエンサーが、ビジネスを始めるとどうなるでしょうか。ご存知の通り、報酬をもらって商品をPRするようになります。現代は『信用評価経済』と言われており、信用はとても大事です。ところが、インフルエンサーはビジネスのために、使ってもいない商品を「いい」と言ってしまう。それは、タレントが商品広告に出るのとはわけが違うのです。
僕たちは『picki』を通して、インフルエンサーが信用を高めながらビジネスをする世界を作りたいと思っています。それは、クリエイターとして、世界観を「もの」に落とし込み、彼らのアイデンティティを盛り込んで、欲しい人に届けること。つまり、アパレルブランドを作って、独自の商品を販売していくのです。
消えてしまうトークショーではなく、読むかわからない本でもなく、購入した人が「身にまとうことができる」洋服として。身に着けることで強くなれたり、自信が付いたり、気分が上がったりする、それがアパレルの強さです。
僕たちがインフルエンサー(クリエイター)に求めるものは、独自の「世界観」。彼ら、彼女らの頭の中にある世界観を落とし込んで、ブランドにしていきます。だから、多くの人と「違う」方が、がぜん面白い。会社や街で生活する中では、人と違ったり、こだわりが強すぎたりするのは生きづらいかもしれません。でも、『picki』では、存分に出してほしい。むしろそれがなければ、ブランドは作れないし、カルチャーにも発展しません。
これまで、何人ものインフルエンサー(クリエイター)と一緒に、コンセプトから作り込んできました。今はアパレルだけですが、僕たちが作るのは『ブランド』です。だから、洋服に限らず、別のものにも展開できるかもしれない。インフルエンサー(クリエイター)の世界観を最大限に展開するのが、僕たちの目指す場所なのです。
時間はかかっても、丁寧でこだわりのあるブランド作りを
僕たちが掲げるのは『クリエイターファースト』という概念です。クリエイターが『picki』を通して成功していくロールモデルを作り、可能性を秘めたクリエイターが集まってくれる場所を作りたい。渦の中心となって、カルチャーに発展させていきたいのです。
単なるプラットフォームではなく、『ブランドメイクカンパニー』へ。外側ではなく中身を、泥臭くひとつずつ。――そうして作っているのが僕たちの事業です。
もちろん、簡単に儲かるわけではありません。世界観を表現するのに、既製品にロゴをプリントしただけでいいわけがない。クリエイターの方には「とても時間がかかるし、大変ですよ」と説明しますが、言えば言うほどに「やりたい」と言ってくださる方ばかりです。
つまり、儲けるためだけにやっているわけではないのです。数多くの打ち合わせを重ね、やっと軸が見えてくる。その人の世界観が形になっていく。白鳥が水面下で水をかき続けているように、汗を流して作っています。
もちろん、難しい面もあります。ただ自分が作りたいものを作っても、売れるものと違うかもしれない。また、ニーズに合わせすぎても、どこかで見たものになってしまう。そこは、プロフェッショナルである僕たちチームの出番です。妥協することなく、ともに実現できる道を探していきます。
それぞれのクリエイターは、ブランド作りがゴールではない場合がほとんどです。「表現者として活動の幅を広げたい」「ブランドプロデューサーと共に、著作家としても活動したい」など、その先のビジョンもさまざま。『picki』はアパレルだけに限らず、クリエイターの世界観を最大限に広めるべく、サポートしていきます。
『picki』なチームメンバーと、同じ船に乗り込む
これまで書いてきている通り、僕たちの目的は「稼ぐこと」ではありません。もちろん、事業を継続させるために利益は大切ですが、目の前の利益だけを求めると、大切なものを見失ってしまいます。この業界にいると、端的に言って「利益だけを追いかけたビジネス」もたくさん目にします。気にしなければいいものの、正直、いい気持ちはしません。でも、少し遠回りに見えたとしても、僕たちは僕たちの信じる道を進むだけです。
僕たちのチームの強みは、さまざまなプロフェッショナルが集まっていること。グローバルデザインファームのIDEOのように、さまざまな業種から強みを持った人をチームに引き入れています。この業界の常識にとらわれてしまうことなく、多面的にものごとをとらえて、強みを掛け算して進めていけるのです。
チームメンバーの共通点は「pickiかどうか」。『picki』は僕たちの社名であり、造語です。人との違いを魅力に変えている人たち。こだわりがあり、違いを楽しめる人たち。そんな人たちをチームに迎えクリエイターと共に船に乗り込んでいきます。これから航海する海にはさまざまな障害があり、決して平たんな道ではないけれど、力を合わせて新しい場所を見つけ、そこで発展していきます。
大変だけど、みんな口をそろえて「楽しい」と言ってくれています。とにかく楽しく航海していく。とてもワクワクしています。そしていよいよ10月15日、5ブランドを順次リリースします。これまで作り上げてきた、『picki』の最初の船出です。
こだわりぬいた服にたくさんの想いや願いを載せて、着る人のもとへ――
『picki』が目指すのは、インフルエンサーやクリエイターが、ブランドを通してカルチャーを作っていく未来です。今回のローンチは、小さなスタートかもしれません。それでも、僕たちの想いに賛同してくれるクリエイターやチームメンバーとともに、大きな未来を描いています。
pickiではブランドを作りたい人、本気でカルチャーを一緒に作りたい「picki」な仲間を探しています
僕たち『picki』は、インフルエンサーと呼ばれる人や、個性的なクリエイターから生まれるアパレルブランドを作っています。既存のデザインにロゴを入れるといったグッズとは異なる、人生観や世界観を取り入れたブランドです。つい数か月前まで、『人気インスタグラマー』や『インフルエンサー』だった人たちが、自分のこだわりを最大限に詰め込んだアパレルブランドを立ち上げる――それが「当たり前」になる世界を、僕たちは作りたい。「個」の時代になりつつある今、それこそが時代に求められているのです。
I WANT YOU FOR PICKI
ご連絡はこちらまで
support@picki.jp
pickiコーポレートサイト