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【読書】スティーブン・キング、オーウェン・キング/眠れる美女たち~SLEEPING BEAUTIES
少し投稿に間が開きましたがその間頑張って読んだキングの作品の一つです。本作はキングと、息子で同じく作家であるオーウェン・キングとの合作です。
最初に感じたこと
どこまでをどうやって分担して書いたのかは分かりませんが、キング単独の作品とは前半のトーンが若干違うように感じました。(何がどう具体的に違うかまではきちんと出せなくてすみません、あくまでも感覚的なものです)
読み始めのうちは、作者の意図がわかりにくかったと言って仕舞えばそれまでですが、登場人物に感情移入がしづらかったり、刑務所の構造などがイメージしづらいと感じるところがありました。しかし、クライマックスに向けて段々とヒートアップしていく中で人物像や動きが明確になり、そういう点が解消されました。
ストーリー
世界で女性だけがまゆのようなものに包まれて眠り込んでしまう謎の病が発生するのですが、ある街に現れた一人の女性だけは眠ってもそうはならないということがわかります。
逮捕後保護されていた女子刑務所及びそこを運営していたメンバーと、彼女をなんとしても精密検査にかけて、自分の家族を助けたいという思いからだんだんエスカレートしていく警察側とのバトルが、それぞれの正義で語られますがどことなく狂気を孕んでいるのはキング節がよく出ていると思います。なんとなくあの大作「ザ・スタンド」の対決の様相でした。
超自然的な存在、超自然的な事象はとてもキングらしいです。訳者あとがきにもありましたが、細かく人物像を書き込んでストーリーの横軸を練り上げているあたり、オーウェンとの合作による変化と感じました。
まだまだ筆の勢いは衰えを知らないとはいえ、キングもかなり高齢になっていますので、オーウェンの活躍はたいへん嬉しく思います。彼の作品もそのうち読んでみようと思います。
結末は若干綺麗、おとなしいと感じましたが、世界がもとに戻った後のメンバーたちがどうなったかを丁寧に書いてくれているのは少し救われた、というかすっきりしました。
以上
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