【読書】スティーブン・キング/アウトサイダー~THE OUTSIDER
今度のキングは容赦ない!
帯に書かれた言葉通りの作品でした。
ストーリー
ある街で起きた少年の惨殺事件は目撃証言やふんだんな物的証拠をもとに容疑者が絞り込まれたが、まさかの地元の名士。警察は証拠固めをするまでもないくらいに出揃った目撃証言や指紋などから、早々に派手な形での公開処刑のような逮捕に踏み切る。実は容疑者はその時出張で別の場所にいた。同じ時間に2カ所に存在することはできないはずなのにどうやってこの事件を起こせたのか?
とまあこれがさわりです。後半ガラッと変わりますよ。
感想
最初はこれまでと違うキャラクター、場所、殺人事件ということでミスターメルセデスに次ぐ新たなミステリー・トリック系かと思い読み進めました。もちろん小説でしか表現できないような、キングらしいお下劣な表現はたっぷりと散りばめられています。
それだけではすむはずはありませんよね、キング作品一筋縄ではいきません。ちゃんと(?)超自然的な、ホラー的なお話になってます。
でもなかなかそっちに話がいかないんですよね。とにかく前半はミスターメルセデスシリーズのビルホッジスを思い出させるような、ラルフの刑事っぷりが楽しめて、すっごく面白いんです。ところが潮目がきます。
上巻の後半でストーリーが変わると確信したのは「ミスターメルセデス」シリーズの登場人物が出てくると分かってから。そう、ホッジスを支え、ファインダース&キーパーズの中心となったホリーです。ホリーが出てきてからはさらに加速度ついて話の展開がめちゃくちゃ面白くなって、下巻はとうとう1日で読んでしまいました。
#普通寝る前に読書するので1、2週間かけてゆっくり読むのですが、これに限っってはあっという間でした。
さて物語は人にあらざるものとの対決へと向かいますが、キング作品あるあるな悪い人間も出てきます。そして、キング先生は遠慮なくそれまで頑張ってくれた登場人物を死なせちゃうんですよね。あー、もうせっかくここまで頑張ってくれてたのに〜って思っちゃいます。
他のキング作品とのつながりという意味では「カ」に言及されているところがありましたね。是非探してみてください。読んだ人だけわかる、ニヤッとさせられるところです。
いや〜久しぶりに面白い、疾走感あふれるキング作品でした。願わくばファインダーズ&キーパーズシリーズ、もう何作品か読みたいですね。
訳者あとがきにも書かれてましたが最近の作品でもまだ翻訳されていないものがあるとのこと。出版社と翻訳の先生の皆さんには是非とも頑張って次々と出していただきたいですね。
ということでいつもの結論です。やっぱりキングは面白い!