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TikTok対アメリカ、出来事と報道のタイムライン

中国発のショートムービー共有スマートフォンアプリTikTokに対して、米トランプ大統領は「禁止する」と脅かし、Microsoftとの買収交渉に口先介入もしている。この件に関連する出来事を時系列で俯瞰できる資料を作ってみた。ITmediaビジネスオンラインのコラム記事「なぜ? 中国アプリTikTokに米トランプ大統領が異例の圧力」の執筆のために作ったものだが、記事には全ての情報は盛り込めない。そこで手を加えて公開することにした。

(タイトル画像のライセンスはCC BY-SA 2.0。オリジナルはここ

2019年

1月 米国のシンクタンクであるピーターソン国際経済研究所(Peterson Institute for International Economics)は、TikTokなど中国製アプリを米国の軍人が使うと位置情報などが中国側に渡るリスクがあると主張した(資料
2月 TikTokが連邦取引委員会(FTC)に570万ドルの罰金を支払うことで合意(FTC発表資料)。13歳未満の子どもの個人情報を保護者の許可を得ずに収集していたため
10月
対中強硬派のマルコ・ルビオ(Marco Rubio)上院議員は、対米外国投資委員会(CFIUS)に対し、TikTokとその親会社であるByteDanceについて調査を要請(Washington Postの記事

参考:対米外国投資委員会(CFIUS)
Committee on Foreign Investment in the United States, 略称CFIUS。米国政府の省庁間委員会であり、米国の企業や事業への外国の直接投資の国家安全保障への影響を検討する。財務長官が議長を務めるCFIUSには、国防総省、国務省、商務省などの16の米国の省庁の代表者と(最近では)国土安全保障省が含まれている。(Wikipedia)(Wikipedia日本版


10月 米国のトム・コットン(Tom Cotton)上院議員とチャック・シューマー(Chuck Schumer)上院議員はTikTokと親会社ByteDanceのセキュリティ審査(米国人のデータを中国当局に引き渡す可能性)を国家情報長官に要請した(ABCの記事)(TechCrunch Japan

2020年

3月16日 TikTokや、8 Ball Pool™、Hotels.com、LinkedInなど数十種類のiOSアプリがクリップボード内容を無断で読み取っていたことが発覚(mysk.blogその1その2)(Engadget日本版)。TikTokは「スパム行為対策のためだった」と述べ、後に修正した(Macworld
6月20日
トランプ米大統領が南部オクラホマ州で開いた選挙集会で大量の空席が発生。TikTokの利用者らが欠席を前提に大量の申し込みを呼びかけたのが一因とみられる(日経新聞の記事)。この出来事がトランプ大統領の気持ちを「TikTok禁止」に動かしたとの噂も(Forbes Japanの記事
6月29日 インド政府はTikTokとWeChatを含む59種類の中国製アプリを禁止(インド政府の発表資料)。中国との国境紛争で死者が出たことを受けた措置と考えられている
(この事件に関しては拙稿も参照されたい 「インドのTikTok禁止と表現の自由」)

7月7日 米国のポンペオ国務長官は「TikTokや他の中国製ソーシャルメディアアプリを禁止することを検討している」と発言(CNN
7月7日 TikTokは、国家安全維持法が施行された香港からの撤退を表明(CNN)(Bloomberg
7月27日 WSJは「米政権のティックトック締め出し、一筋縄でいかず」と報道(WSJ日本版)。記事ではトランプ政権がTikTok妨害に利用できるツールを列挙。(1) ByteDanceが買収しTikTokのベースとなったmusical.lyの資産を売却させる。(2) IEEPA(国際緊急経済権限法)を発動する。(3) 米商務省が策定中の国家安全保障を脅かす外国技術の使用や設置を禁じる規則の対象にTikTokを含める。(4) 輸出禁止対象企業のリスト(エンティティーリスト)にTikTokを掲載する。難点は、Huaweiと異なりTikTokは米国個人消費者市場で大きなシェアを持っていない。AppStoreやGoogle Playから排除を強いると異議申し立ての可能性。輸出規制は法的にはアプリに適用できない可能性。
マーク・メドウズ大統領首席補佐官は最近の記者会見で「多くの政権当局者がTikTokやWeChatなどのアプリに関連した国家安全保障リスクに目を向けている。特に外国の敵対者による米市民に関する情報収集に関連したものだ」と述べた。再選を目指すトランプ氏の選挙陣営がFacebookに掲載した広告には「TikTokはあなたの電話のクリップボードを監視し、その犯行現場を押さえられている」と書かれていた。
7月29日 WSJは、ムニューシン財務長官が週内にもトランプ大統領にTikTokの調査結果に基づき勧告と報道(WSJ)。記事はTikTokが米国ユーザーのデータを中国の権威主義政府に渡す可能性を懸念。またアプリが中国のプロパガンダを広めている懸念や、プラットフォームのモデレーターが中国政府の意向を受けコンテンツを検閲している懸念があるとしている
7月31日 複数の米国メディアが、MicrosoftがTikTok米国事業の買収交渉を行っていると報じた(BloombergNew York Times) 
7月31日 トランプ大統領は大統領専用機の機内で記者団に対して「TikTokを米国で禁止するつもりだ」と述べた(AFP

8月1日 対米外国投資委員会(CFIUS)が、ByteDanceによる動画アプリMusical.ly(これは今のTikTokの原型といわれる)の買収をめぐり調査を実施していることが明らかに(Reuters
8月2日 トランプ大統領とMicrosoftのサティア・ナデラCEOは電話で会談(Bloomberg)
8月2日 MicrosoftはTikTokの買収交渉を進めており、9月15日までに完了させる方針と公表したMicrosoftの公式Blog
8月2日 米国の人権団体ACLU(アメリカ自由人権協会)公式アカウントは、「TikTokのような企業のプライバシーに関する懸念に真に対応するためには、議会は、米国の消費者にサービスを提供する“あらゆる”企業が、令状またはそれに相当するものなしに私たちのデータをあらゆる政府に引き渡せないようにするべきだ。大統領が選択的にプラットフォームを禁止することは解決策ではない」と述べた(ACLUのツイート
8月2日 NBC News報道から。「トランプ政権が口にする『TikTok禁止』は若いユーザーの心を動かしている。もし禁止されれば、投票者の投票行動を変えるゲームチェンジャーになるだろう。『言論の自由が奪われているような気がする 』とカリフォルニア州の18歳は話す」(NBC
8月3日 トランプ大統領は、TikTok買収に関連してMicrosoftは米政府に「お金を払うべきだ」と発言した(CNBCの記事
8月3日 TikTokを所有するByteDanceのCEO張一鳴氏が従業員向けに書いたレターが流出(Business Insider掲載の和訳note掲載の和訳)。張CEOは「CFIUSは当社が2017年末に行った musical.ly買収に関する調査を実施し、我々は1年近くにわたって、調査に協力してきました。(略)CFIUSはTikTokの米事業売却を譲りませんでした。(略)我々はCFIUSの決定と米大統領の命令に向き合わざるを得ない」と記している
8月3日 中国系メディアChina DailyはTikTokへの圧力を「中国の技術の盗難だ」と批判(China Daily
8月3日 フランスのセキュリティ研究者バティスト・ロベール(Baptiste Robert)は、他のアプリと比較して「TikTokは不審な動作をしておらず、異常なデータの流出もしていない」と述べた(Robert氏のmedium記事
8月3日 米国の人権団体ACLU(アメリカ自由人権協会)のJennifer Granick氏は、「何百万人ものアメリカ人がコミュニケートしているアプリを禁止することは、言論の自由への脅威である」と述べた(Bloomberg
8月4日 英国、フランス、ドイツは、TikTokへの対応で米国に追随しない姿勢を明らかに(Bloomberg
8月4日 TikTokとMicrosoftの買収交渉が数週間前から進行中だったとするインサイドストーリーをWSJが掲載した(マイクロソフトのTikTok買収交渉、その舞台裏)。反対するトランプ大統領を周囲が説得したという。推進派はムニューシン財務長官ら
8月4日 英Financial Timesが論評。大意:中国の国家安全法(および周辺法)は中国のすべての企業に安全保障機関からの要求に従うことを求めている。TikTokを所有するByteDanceは、米国ユーザーのデータは米国に保管されており中国には渡さないと主張する。しかし対米外国投資委員会(CFIUS)はByteDanceに米国事業の売却を命じた / マイク・ポンペオ米国務長官は、中国のセキュリティ機関が顔認識の専門知識を利用して、ユーザーの個人的な特徴、住所、電話番号、友人、コネなどの高度なデータベースを構築する可能性を指摘している。TechCrunchが「モバイル動画時代のインスタグラム」と呼んでいるTikTokは、若い政治活動家や社会活動家のためのプラットフォームとしても発展してきた / 中国の外務省は、米国の決定は「米国の典型的なダブルスタンダードを露呈している」と述べた。アメリカの行動は、サイバー空間を国境のない地帯としての考えを育んできた人々にとっては残念なことだが、それは中国で長年続いてきたことを映し出す鏡に過ぎない / インターネット、ひいてはグローバルなハイテク産業を壁に囲まれた庭のように切り分けてしまうことは残念なことだ。不必要な重複や基準の競合を招き、イノベーションを遅らせる可能性が高い。サイバー空間の世界的な枠組みが作られることが望ましいが、何カ国かの経済大国の指導者が変わらないと難しいだろう。
8月5日 米国のポンペオ国務長官が中国企業を排除する「Clean Network」プログラムを発表(発表資料)。次の5分野で中国企業を排除する。(1) Clean Carrier。中国の信頼できない通信事業者が米国の通信ネットワークへ接続するのを防ぐ。(2) Clean Store。米国のモバイルアプリストアから、信頼できないアプリを削除する。(3) Clean Apps。中国の信頼できないスマートフォンメーカーが信頼できるアプリをプリインストールしたり、アプリストアに掲載することを防ぐ。(4) Clean Cloud。米国市民の個人情報や米国企業の知的財産が、中国などの企業のクラウド上で保存、処理されることを防ぐ。(5) Clean Cable。海底ケーブルが中国の情報収集に使われたりしないようにする
8月5日 Facebookは、TikTok対抗のショート動画共有サービスInstagram Reelsを、Instagramの一機能として公開
8月5日 オーストラリアのスコット・モリソン首相は「TikTokを調べたが制限する根拠はない」と述べた(AFP
8月6日 トランプ大統領は、TikTokとWeChatを名指しして「45日後に特定の取引を禁止する」とした大統領令に署名TikTokへの大統領令WeChatへの大統領令)(New York Timesの記事)。取引禁止の根拠法は、テロリストの預金封鎖などに使われるIEEPA(国際緊急経済権限法)

参考:IEEPA(国際緊急経済権限法)
International Emergency Economic Powers Act、略称IEEPA。日本語表記は国際緊急経済権限法、もしくは国際非常時経済権限法。米国で1977年より施行の法律。安全保障・外交政策・経済に対する異例かつ重大な脅威に対し、非常事態宣言後、金融制裁にて、その脅威に対処する。具体的には、攻撃を企む外国の組織もしくは外国人の資産没収(米国の司法権の対象となる資産)、外国為替取引・通貨及び有価証券の輸出入の規制・禁止などである。(Wikipedia)(Wikipedia日本語版


8月7日 TikTokが大統領令への反論を公表(発表文)。大統領令は根拠がなく定められた法的手続きを経ていないと強く批判
8月7日 英Financial Timesは、Microsoftは「インドとヨーロッパでのバイラル動画アプリの運営を含む、TikTokのグローバル事業のすべてを買収するための取引」を迫っていると報じた(FT)。米、英、インド、香港の4カ所の記者の連名で、5人の匿名の情報源に基づく記事。「ByteDanceは以前、協議が始まる前から、中国とそれ以外の国との間でデータとアルゴリズムの分離に取り組んでいた」「Microsoftとの交渉が決裂した場合、ByteDanceはTikTok Indiaを外国人投資家かインド人バイヤーに売却する可能性がある」
8月8日 TikTokは米国政府を訴える予定とNPRが報道(NPR
8月8日 Twitter社も、TikTokとのサービスの連携の可能性について予備交渉をしていたとWSJが報道(WSJ
8月8日 Microsoft創業者ビル・ゲイツは、スティーブン・レヴィによるロングインタビューの中で、MicrosoftによるTikTok強制買収を「ソースシャルメディアは毒の聖杯だ」と批判(Wired
8月8日 評論家Matt Stoller氏は「我々は中国のインターネットをアメリカで再現しようとしているのか?」と長文の評論で問いかけた(Stoller氏のサイト

星のコラム記事掲載後の出来事と報道

8月11日 WSJが「TikTokがユーザーデータを不正に取得していた」と報道(WSJ)。Googleの規約に反して15カ月にわたりMACアドレスを収集していたが、2019年11月18日のアップデートで問題は解消された。現行版には問題は見つからず。Androidでは2015年にMACアドレス収集を禁止したが、残っていたループホール(穴)を利用して350のAndroidアプリがターゲティング広告のためMACアドレスを収集していた(Verge
8月11日 GDPR(欧州一般データ保護規則)に関するTikTok調査始まる。政治メディアPoliticoはフランス監視当局がTikTokの調査を開始と報道。TechCrunchもフランスのデータ保護監督当局CNIL(Commission Nationale de l'Informatique et des Libertés)の広報担当に確認した(TechCrunch Japan)。GDPRに基づく苦情申し立てに基づき、ユーザーのデータアクセスの権利、EU外へのユーザー情報の転送、未成年のデータ保護などに関して調査する。一方、TikTok側はアイルランドのDPC(Data Protection Commission)を欧州における規制当局にしようと模索中という。
8月13日 保守系メディアFoxは、ネブラスカ州知事Pete Ricketts氏の「州のすべての電子デバイスからTikTokをブロックする」との発言を伝えた(Fox)。「中国の共産主義政府の侵入的なサイバー活動から保護するために、我々は州のデバイス上でTikTokを禁止する決定をした」。またマイク・ポンペオ国務長官の今月初めの発言を受け「TikTokはデータを自動的に集めており、中国共産党がアメリカ人の個人情報へのアクセスを可能にする恐れがあり、中国が連邦政府の職員や請負業者の居場所を追跡し、個人情報や恐喝の書類を作成し、企業スパイ活動を行うことを可能にする可能性がある」と述べた。
8月13日 TikTokのインド事業に関して、ByteDanceはインドの大手企業グループReliance Industries Limitedと7月末から資金面で交渉中(TechCrunch)。インド版TikTokは2億人のユーザーを抱え30億ドル以上の企業価値があるが、6月にインド政府に閉鎖命令を受けた。ByteDanceはインドで約2000人の従業員を雇用しており、雇用維持に苦慮している。Relianceは、デジタルサービス企業でインド最大の携帯電話キャリアでもあるJio Platformsを傘下に持つ。
8月13日 TikTokを所有する中国ByteDanceが、同社が2018年に買収したインドネシアのニュースアグリゲータアプリBaca Berita(BaBe)で中国政府に批判的な記事を検閲した疑い。「天安門」や毛沢東に言及した記事、インドネシア国営通信社Antara発の南シナ海でのインドネシアと中国の間の緊張に関する記事が削除された。ByteDanceの中国のニュースアプリToutiaoで使用されているコンテンツガイドラインを微調整したものを使用し、非政治的なトーンを指向。匿名の情報源6名がロイターに証言した。BaBe運営会社はこの主張に同意していない(Reuters
8月14日 100年以上の歴史を持つ人権/公民権団体ACLU(アメリカ自由人権協会)は、「TikTokとWeChatを禁止するな」と題した声明文を発表。プラットフォームを選択的に禁止することはアメリカ合衆国憲法修正第1条に違反し、個人情報を悪用から守ることにつながらないと主張。"TikTokとWeChatを禁止すると脅したトランプ大統領の執行命令は、前例のない緊急事態権限の乱用である。米国の何千万人もの人々が利用しているプラットフォームに対して、このような行動をとった大統領はいない"。"トランプ氏の行政命令は曖昧で、問題とされている「緊急事態」を説明していない。禁止が適用される「取引」の定義も不明瞭だ" "トランプ氏が根拠とするIEEPA(国際緊急経済権限法)は、大統領が米国の「国家安全保障、外交政策、経済」に対する「異常かつ異常な」外国の「脅威」に対応することを認めている。しかし、議会は、「緊急事態」、「脅威」、または「国家安全保障」のような用語を定義したり、大統領が基本的権利に違反して、あまりにも簡単に乱用することができる権限に制約を課したりはしなかった。だからこそ、ACLUは大統領の緊急事態権限-IEEPA-を根本的に見直さなければならないと考えている。" "IEEPAの下でも、議会は明示的に大統領は「何か価値のあるものの譲渡を伴わない個人的なコミュニケーション」を禁止することはできないと述べている。" "プラットフォーム全体を選択的に禁止することは、修正第一条に違反し、オンラインでの言論の自由を害する。米国では何百万人もの人々がTikTokに動画を見たり投稿したりしており、家族や友人、仕事上の人間関係とのつながりをWeChatに頼っている。これらの人々は皆、修正第一条で保護された言論、結社、表現に従事している。"


参考:アメリカ合衆国憲法修正第1条
連邦議会は、国教を樹立し、若しくは信教上の自由な行為を禁止する法律を制定してはならない。また、言論若しくは出版の自由、又は人民が平穏に集会し、また苦痛の救済を求めるため政府に請願する権利を侵す法律を制定してはならない。

8月14日 トランプ大統領はByteDanceにTikTokを含む米国資産を90日以内に売却するよう命じた。「米国の国家安全保障を損なう恐れのある行動を取る可能性があると私に思わせる信頼できる証拠がある」。米国ユーザーのデータの破棄とその報告も求める。対米外国投資委員会(CFIUS)が行った調査を受けた措置。ByteDance は2017年にアプリ「Musical.ly」を買収、TikTokと合併した(大統領命令)。Bloomberg報道によればムニューシン米財務長官は「CFIUSは、この件に関し徹底的な調査を行い、米国ユーザーを個人データの不適切利用から守るため今回の行動を全会一致で提言した」と説明した。財務長官が率いるパネルには、国務省、国防省、商務省など16の政府省庁の職員が参加(Bloomberg日本版)(CNBC
NPR報道によればTikTok側は8月5日の大統領命令(TikTokとの45日以内の取引停止を命じた)に対して訴訟を準備中。しかし今回の命令は外国資本の米企業買収に伴う国家安全保障上のリスクを調査するCFIUSからのもので、より強固な法的根拠を持つ。TikTokは米国で1億回以上ダウンロードされており、New York Timesによればユーザーの1/3は14歳以下(NPR
8月14日 ミネソタ州上院議員のMatt Little氏は、TikTokを活用する政治家だ。フォロワー数は14万人。DJ Khaledの2010年のヒット曲「All I Do Is Win」に合わせたリップシンク動画などを投稿。捉えどころのないジェネレーションZの若い有権者に支持者層を築いている。(Politico
8月14日 TikTokですら白人至上主義の問題を抱えている。米国最大のユダヤ人団体ADL(Anti-Defamation League)は報告書を発表。ナチスや白人至上主義者がヘイトスピーチを広め、信者を募るためにTikTokを利用しているとした。(ADLの報告書)(CNN
8月17日 中国外務省の趙立堅副報道局長は17日の定例会見で、TikTok売却命令について「強盗の論理で奪おうとしている」と反発。米当局も中国がティックトックを悪用している証拠を示せていないと強調した。「米国の一部政治家は国家安全を理由に市場経済と公平な競争を公然と否定している」(共同通信
8月17日 TikTokは音楽配信のUnitedMastersと提携、アプリからApple Music、Spotify、YouTubeなどのストリーミングサービスに直接楽曲を配信できるようにした。5月に着任したKevin Mayer氏にとって初の大規模な契約。TikTokの若く熱心な聴衆は曲が流行るのを助け、Lil Nas XやBMW Kennyのようなミュージシャンのキャリアをジャンプスタートさせた。今回の取引は、「有名になり、猛烈に独立し、大金持ちになる明日のスター」をターゲットにしていると、ヒップホップ業界の老舗テイストメーカーであるStoute氏は語る。(TikTokプレスリリース)(New York Times
8月18日 英紙Financial Timesは、関係者の談話に基づきOracle創業者ラリー・エリソンがTikTok買収競争に参加すると報じた。すでにByteDanceの株式を所有するGeneral AtlanticやSequoia Capitalなど米国の投資家グループと協力。エリソン氏は、シリコンバレーで公然とトランプ氏を支持している数少ない人物の一人(Financial Times

日本国内の出来事と報道

7月28日 自民党の「ルール形成戦略議員連盟」(会長・甘利明税調会長)が中国アプリ制限の議論を開始(読売)。電気通信事業法などに「安全保障上のリスクを考慮する」といった条項を盛り込む方向。情報漏えいのおそれがあるアプリを調べるインテリジェンス(情報)機能の強化も。一方、政府は国家安全保障局の経済班などで中国発のアプリの情報を収集。菅官房長官7/27発言「サイバーセキュリティーに関する動向は常に注視している。個人が特定される情報の投稿や登録は、十分注意することが重要だ」
7月28日 日経新聞が自民党ルール形成戦略議員連盟の議論の内容を報道(日経)。TikTokなど中国アプリ利用制限を含む「経済安保」を議論。まず規制に必要な法改正の一覧や国会提出の時期を明記した「プログラム法」を制定。電気通信事業法などにアプリ利用に際して経済安保上のリスク考慮の必要性を明記。アプリ規制以外に身辺調査済みの人物だけが重要情報を閲覧できる「セキュリティー・クリアランス(SC、適格性評価)」制度も。「日本の政府と企業がSC制度を導入しないと国際的な共同研究や人材交流で米欧の連携から外されるリスクがある」(甘利氏)。自民党には機密保持の体制を整えないと米中対立による国際社会のデカップリング(分断)に取り残される危機感が。政府は骨太の方針に初めて「経済安全保障」の言葉を盛り込んだ。
7月29日 フジテレビ系ニュースメディアFNNプライムオンラインは、自民党の議員連盟がTikTokなど中国企業が提供するアプリの日本での利用制限を政府に提言する方針と報道(FNN)。自民ルール形成戦略議員連盟・甘利明会長は「『TikTok』はユーザーにとってこういうリスクになりますということをしっかり届けた上で、どこをどうさわるかということを考えないといけない」と述べた


8月12日 神奈川県はTikTokに投稿していた78本の動画を7日に非公開にした(朝日新聞)。12日の定例会見で「懸念を払拭できるだけの確定的な情報も確認できていない」と述べた
8月12日 自治体のTikTok公式アカウント停止相次ぐ。埼玉県は7月20日頃利用停止。動画約20本を配信したが全削除。フォロワーは約1000人いた。大阪府は5日に停止。大阪府の吉村洋文知事は「安全保障上の課題があるかないか明らかになるまでは凍結すべきだと判断した」と述べた。神戸市は3日に停止。市立王子動物園のパンダの映像など30本を投稿、フォロワーは約550人だった(産経新聞
8月14日 「もし使えなくなったら生きていけない」――。神奈川県在住16歳の女子高生のSさんは、ティックトック規制に不安を募らせる。普段は政治ニュースに関心がなくても米国の規制の動きはウオッチしていたという。毎日1時間はアプリを使う。「友達もみんななくなったら嫌だと言っている。特にかわいい子は週に1回は動画を配信している」東京都の私立高校に通う17歳のAさんもほぼ毎日動画を視聴している。「校内でスマホを使って動画撮影しても怒られない学校で流行している印象だ」と話す。
世界8億人のTikTok利用者のうち約4割が16~24歳とされる。米中対立の影響が日本の女子高生が日ごろ親しむコミュニケーションにも影を落としている。日本では2018年に女子高生・女子中学生を対象にした流行語のアプリ部門で大賞になった。(日経新聞
8月16日 自民党の甘利税調会長は、フジテレビ「日曜報道 THE PRIME」で「(TikTok売却命令で)日本も傍観していられない」「ユーザーがスマホの中に持っている、(Tiktok以外の)ほかのデータにアクセスして抜かれる危険性がある。顔認証や虹彩認証で、一番問題になる『なりすまし』の危険がある。日本も傍観していられない」「中国企業と組んだら、全部抜かれる前提でビジネスをしないといけない」「日本は一番機感が薄い国だ」と発言。(FNNプライムオンライン)。
8月17日 ゆずの楽曲がTikTokで解禁。11曲をTikTok向けに配信、ユーザーは動画に合わせて投稿できる。ゆず公式TikTokアカウントの開設も決定。(PR Times

(その後もTikTokとアメリカ政治をめぐる動きは続いていますが、いったんここで筆を置きます)


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