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「勝率」の罠

こんにちは、堀北晃生です。

株式投資を行うにあたって、「勝率」で表現することがあります。

「勝率」が高ければ利益が増えて、資産が増え続けそうなイメージがありますが、果たして本当にそうなのでしょうか?

勝率とは以下の定義に限定しています。

1,プラスになって資産が増えた
2,マイナスになって資産が減った

ということです。

もちろんプラスになって資産が増えると嬉しいと思いますし、勝率が高い投資法があったとしたらそれは取り入れてみたいですよね。

では、人工知能のトレードプログラムに、「勝率の高い投資」と命令するとどうなるでしょうか?

人間の手動ではできないくらいの値動きでわずかな利益確定を取りに行くようになります。

1秒で1,000回以上の取引が可能です。

株価や為替レートは常に一定であることはなく、売りと買いの売買によって、値動きが上下します。

これをボラティリティ(変動率)といいます。

つまり、勝率だけにこだわるのであれば、たとえ大きなトレンドで値幅が取れたとしても、ほんのわずかでも含み益が出たら、利益確定してしまえばよいのです。

「勝率を高める=小さな利食い」

こういったロジックになってしまいます。

また株式投資の中で勝率を定義するためには、エントリーのタイミングとエグジット(利益確定)を完全に一致させる必要があります。

例えば、「始値で買い、終値で売り」このような感じです。

これにエントリーとエグジットのタイミングが自由に変更できるようであれば、人によって利益のパフォーマンスが変わります。

一日の中で値動きがある中で、どこでエントリーをしてどこで利益確定するかは、とても重要ではあります。

しかし、それによって勝率は変わります。

つまり、株式投資や為替の場合は、エントリーポイントが確定していて、感情の変化によって変更ができない前提条件であれば、勝率は価値があると言えます。

しかし、それが確定しなくて、人間の主観が入ってしまった場合は、勝率という概念自体に意味がなくなります。

よく為替のトレードシステムや、投資理論などの販売で「勝率○割」と表現しているものがあります。

これはあくまでも過去にこのような実績が出たということなのです。

未来永劫同じ結果が保証されているものではないということです。

当たり前ですが、
「過去の相場と未来の相場がまったく一緒ということはない」
ため結果が異なるということです。

また「勝率99%の投資方法」があったとします。

これだけ見るととても魅力的ですよね。

しかし、投資の世界では、99勝1敗で全資産を失い、身を滅ぼすことがあります。

つまり、勝率がどんなに高くても最終的に大損してしまうリスクがあるのなら、勝率自体に価値はないといえます。

さまざまな広告で「勝率」を売りにしているところがあります。

これは過去にその結果が出たということで、未来同じことが起こるわけではないということです。

「勝率○割の投資方法で、未来も同じ利益が手に入ります。利益を保証します」

こういったたぐいのセールスコピーを見たら、完全に詐欺だと思ってください。

リテラシーの低い人に対して、ものを売り込む詐欺集団が使うコピーです。

以前システムトレーダーで有名なSさんと、数名で一緒に旅行に行くことになりました。

いろんなジャンルの投資家が集まる中で、そのシステムトレードだけを行っていた人が

「どれくらいの勝率を目指しているか?」

これを聞いてみました。

確率論やゲーム理論、数学の天才的な知識を持った彼の勝率にみんな釘付けになったのです。

そこで彼がいった勝率は、

「50.01%以上」

でした。

つまり、同じ投資理論でエントリーもエグジットも同じであるという前提で、勝率は50.01%以上であれば、それは継続すべきだということです。

さすがですね。

カジノに行くと「バカラ」というゲームがあります。

単純な丁半博打ですので、バンカーもプレイヤーも50:50のように見えます。

しかし、バカラというゲームは

・5%のコミッションがバンカーに入る

・バンカーが6で勝利した場合はコミッションが半分

・バンカーが3枚目に7で勝利した場合は、掛け金の100%を追加コミッション発生

このような追加条件があるのです。

つまり、対数の法則で同じゲームを繰り返すと最終的にバンカーが勝つような仕組みになっています。

ラスベガスやマカオが巨額の資金を得ているのは、実はシンプルなゲーム理論でした。

株式投資の場合は、同じ銘柄でも利益を出す人と出せない人がいます。

それは投資理論の問題ではなく、もっと違うところに課題があります。

エントリーのタイミングや持っている資産、その人のマインドによってパフォーマンスは大きく変わってくるのです。

そのため、「勝率」にこだわりすぎて、本来の純資産を増え続けるという目的からずれてしまうともったいないかもしれません。

「勝率」はあくまでも目安。

そして未来永劫まったく同じ勝率が続くということはありえないということを覚えていおきましょう。

もし株式投資で結果が出ないのなら、それには原因があります。

その多くは投資の理論や外部環境など外側に要因があるのではなく、その人の内側にあることがほとんどです。

それを引き出す作業は自分との対話、深いところまで引き出すことができればその原因が見えてくるかもしれません。

追伸:映画「ラスベガスをぶっつぶせ」を見たのを思い出しました。

これはカウンティングという方法ですが、今では通用しないです。

面白いストーリーですので、ぜひご覧になってみてください。

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投資コンサルタント堀北晃生(ほりきたあきお)。群集心理学と金融工学を組み合わせた独自の投資メソッド「堀北式株価デトックス理論」の考案者。作家、コミュニティ、通信講座を通じて次世代の投資家を増やして社会貢献を目指す活動を行っています。