卯月コウに幸せにしてもらった話<OD組リアイベに参加した>

2019/6/23、「Vtuberおしゃべりフェス -おなえどしの秘密会議・TT-」に参加した。
1部は90分のおなえどし(鈴木勝くん、出雲霞ちゃん、卯月コウくん)による企画ありのトークライブ。
2部は希望者のみ、1名を選んでのツーショットトーク+撮影という、盛りだくさんの内容だった。
1部のトークライブについてはおなえどしの3人が目の前で話している!という興奮を掻き立てられる楽しいトークだったが、
こちらはレポートを書いている方がたくさんいらっしゃるので是非Twitterのハッシュタグ  OD組リアイベ で検索して幸せになってください。

なので、このノートには、私が卯月コウと話した、という事実に対する感想を、卯月軍団らしく、あるいはコウガールらしく、自分語りを大いにしながらまとめたい。

いきなりだが、私はアイドルオタクである。
どのようなアイドルを推しているかというと、男性のアイドルグループだ。
規模としては天下のジャニーズ事務所のようにチケットを取るのに命を賭けなければならないレベルではないが、
メンズ地下アイドルのように月に30回ライブがあり、ハグチェキが撮れるというわけではない。
もちろんアイドルオタクの代名詞、遠征もするので、大阪・名古屋・静岡・福岡に1ヵ月の間それぞれ往復したり、CD大量買いもするので、3桁のCDを開封して手に入れたランダムトレカで神経衰弱をしたりしている。
といっても稼ぎはごく普通の20代会社員であるがゆえ、毎月クレジットカード請求に白目を剥いている。

ごく普通のアイドルオタクである自分が、Vtuberにハマったのは去年の5月頃だった。
友人に「めちゃくちゃ面白いから見て」と言われて仕方なしに見た委員長こと月ノ美兎ちゃんの動画を見て、衝撃を受けた。
信じられないくらい面白かった。電車内で笑い声を堪えて、家に帰ってヨーロッパ企画のゲーム実況シリーズを一気見してるうちに夜が明けたのを覚えている。
そこからにじさんじ元1期・2期を見るという、恐らく2018年の夏にVtuberを好きになった人が辿る線路に乗った。
好きなジャンルを増やした弊害はあまりなく、アイドルオタクとVtuberのオタクはとても並行しやすかった。
先述のように、推しユニットは毎日ライブをやっているわけではない。ツアーの間と間はぽっかりと空くし、リリースイベントが終わればしばらく現場もなくなる。ちょうどタイミングも良く、次々とにじさんじの面々の配信を追うようになっていった。

少し話はずれるが、Vtuberとアイドルのオタクは、推し方が大きく異なっている。
アイドルオタクというのは閉鎖的で、おおよそが身内のみでつながりあっている。というのも、自分は違ったとしても同担拒否の人もいるし、目立つ行動をするとどこかしらに悪口を書かれかねない。
そのため、Twitterも鍵アカウントの割合が高く、リプライ用の別アカウントを保持する人も多い。
Vtuberのオタクは、皆基本的には実況をしたり、推しへの愛を語ったり、リプライをするアカウントをひとつにしている人が多い。Youtubeのアカウントと連携してコメントをしている人も多いため、あ、あの人今日も配信でコメントしているな~と認識することもある。
(あくまで私の主観なので、実際掘り下げたらもう少し違うのかもしれないが……)

Vtuberを推すためのTwitterアカウントを作り、同好の士やライバーをフォローし始め、いわゆる「有名オタク」を知った。
この界隈では「有名オタク」が良い印象で語られる。
アイドルオタクにおける「有名オタク」はその裏に「厄介」という言葉が付いて回るので、あまり良くないイメージだ。
しかし、Vtuberを推すものにとっての有名オタクは、「絵が上手い絵師」そして「コメントが面白いオタク」に分けられる。
ライバーも自分のファンアートをRTしたりサムネイルに採用したりするし、
コメントが面白いオタクは、あの高速で流れゆくコメントのなかにきらりと光るものを残し、高確率で拾われる。
マシュマロやお題箱、ラジオ系の企画のメールなども同様で、おそらくラジオにおけるハガキ職人と近いのだろう。
もちろん彼ら・彼女らはライバー側からも好かれており、重用されている。
特にイラストは、キャッチ―なサムネイルであることは再生数にも直結するだろうし、ライバーにとっても重要だ。

ごちゃごちゃとそれっぽいことを言っているが、察しがつくだろう。
私は、Vtuberの界隈に足を踏み入れて気付いてしまったのだ。自分が超つまらない凡人であるということに。
アイドルを推しているときは、オタクは神たるアイドルの前で、どんな人間でも公平だ。
もし同一線上から、唯一抜け出せる力があるとしたら、金である。
北海道から沖縄まで、のべつまくなし遠征し、闇取引でもって最前列を手に入れる。周りが5枚程度しかツーショットを撮らないのであれば、30枚撮る。ハイタッチだろうが握手だろうがサインだろうが、上限の限り積み続ける。全て、札束さえあれば解決するので、実際気が狂ったように金を出す人間がいるのは間違いなくアイドル現場だ。
Vtuberの界隈は、逆だ。金を出しても有名にはなれない。
毎回スーパーチャットを送り続けても一瞬で流れてしまうし、そもそも金を出すタイミングが殆どない。
ということは、推しからのいわゆる認知なども、本人の技量に掛かっている、ということでもある。

誤解なきよう言っておくと、認知を得たいのか、というと本当に断じてそんなことはない。
そもそもアイドル現場を優先しながら仕事しているのでアーカイブでチェックする率も高い。Twitterも鍵アカウントで(今回このレポ上げるために鍵なしアカウントを作った)リプライもしない。
ではなぜ、有名オタクがキラキラ輝いていて、自分がゴミ以下みたいな存在に感じるのだろうか。しばらくその理由に気が付かず、双方向コミュニケーションがあるような配信からは距離を置く始末だった。

「消費者コンプレックスみたいのがあって、生産側に回らずに作品を見ることが途中で辛くなっちゃうみたいな」
その言葉を聞いたのは、東京駅・東海道新幹線のホームで遠征のために新幹線を待っている時だった。
2018/07/05に配信された、卯月軍団 陰キャグランプリでの一言だ。
この配信を何度も繰り返し聴いて、はじめて自分の感情にラベリングをしてもらった、と思った。
この言葉をきっかけとして、それまでは面白そうなことやってんな程度だった卯月コウの配信を熱心に追い始めた。
特に雑談回が好きだ。力が抜けているとりとめのない話のなかに、はっとする言葉が散りばめられている。
個人的に好きな配信を挙げるのならば「集まれ!コウガール」「学パロ妄想」「エモグランプリ」「男性視聴者は男性Vtuberをどう見ているのか」回あたりは何度も聞いた。
オタクの感情を丁寧に切り開きながら、本当の友達のように寄り添ってくれながら、ただの感傷や同情でなく、聴いていて最高に面白いものに仕上げる。
ものすごく上澄みみたいな言葉だけど、めちゃくちゃ好きになった。
ちょうど遠征で地方に行ったときに、夏の青い空と白い雲の下で聴いた、SEEDS24時間のエモ選手権も忘れない。
ライブ王決定戦のときは、家中にあるパソコンやタブレット、スマートフォンでアクセスして、友達にも頼んで、ずっと祈っていて、結果泣いた。

卯月コウと喋れるイベントがあると聞いたとき、行くかとても悩んだ。
アイドルオタクなので、普段もツーショット握手ハイタッチサイン等にお金を使ってきたので、推しアイドルなら絶対行っている。
推しアイドルといわゆる接触をするのには明確な理由がある。間近で顔が見たい。基本推しの顔は国宝なので、睫毛まで見たい。
が、卯月コウは違う。なんなら自分のiPhoneで見ていれば限界まで近づくことができる。スタッフに強めの剥がしに合うこともない。
それ以外に、行くのを躊躇った理由は自分がいわゆる卯月軍団らしくないからだ。
卯月軍団らしいって何か解らないけれど、面白くないとまずダメな気がする。お題箱系の配信を聞いていると、全員川端康成なので仕方ない。あるいは、陰キャらしい特性を持っていなければならない。
そのどちらもを持ち合わせない自分は、ただのつまんないコウガールと名乗るもおこがましい存在なのだ。
実際、どう考えても枠が少ないだろうこのツーショットトークを、真の卯月軍団に行ってもらうべきでは……とも思った。
それでも結局(ここまで培ってきたパワーを生かして)その権利をもぎ取ったのは、会える時に会うべきだという精神が骨身に染みわたっているからだ。

会場である、秋葉原のオノデンの階段に並んでいるとき、前後どちらも男性だった。男女比は7:3くらいだっただろうか。
整理番号が書かれた紙を握りしめて(てっきり指定席だと思ったらまさかの後半組はスタンディングでした)、液晶を見つめた。
トークライブについては冒頭に書いた通りなので省くけれど、90分が一瞬だった。まばたきしている間に終わってしまった。
ということは、あっという間にツーショットトークの時間が来てしまう、ということでもある。

卯月コウのツーショット列に並ぶ。
これもまた割と繰り返してきた行為のはずなのだが、これまでの何倍も緊張して、めちゃくちゃ鏡を見ていた。アイドル現場の接触列においては、ほぼ全員コンパクトか鏡を見て髪と化粧を直している。ふと気づいたら周りは誰も鏡を見ていなくて、慌ててしまった。自意識過剰のガチ恋みたいだ……。
接触イベントにおいて何を聞くか、というのはだいたいいつも現場に行く前に考えていく。というのも、基本アイドルの会話は10秒あれば長い方だからだ。10秒というとだいたい1往復の会話である。それが、1分。1分って、60秒か……と推しアイドルと1分話すときの金額を考えて、脳がフリーズした。

私は、何を聞くかを卯月コウにおいてもやっぱり決めていた。
卯月コウに救われたという話は、きっといろんな方がさまざまな表現でしているだろう。私は、卯月コウの言葉が好きなのだから、絶対に配信では聞けないような言葉を聞きたい。
1分間という上限いっぱいいっぱいにたくさんの言葉を聞きたい。

その結果、ヘッドセットをして、卯月コウの前に座り、音声確認した一言目が
「私ってどんなオタクに見える?」
である。本当に、すみませんでした……。
パーティションで区切られていると思っていたのに非常にオープンな空間だったため、もし聞こえていた人がいたらドン引きだっただろう……。
言い訳しますと、ドルオタでは「私って誰推しに見える?」は結構鉄板の質問です。
「俺推しじゃないでしょ?好きになって」と釣ってくれたり、服装などから分析してくれたり、個性が出るので楽しい。まだ推し決まってないんだけど、誰推しになりそう~?」などもその亜種である。
私は、うわ面倒なオタク来たな~とか、どんなオタクって何ww と配信のようなオタクいじりとして何を言われるか、とか身構えたが、違った。
「どんなオタク?!えーっと、そもそも見た目はあんまりオタクっぽいくないっていうか……」
めちゃくちゃ気を遣ってくれている!卯月コウが、私に、気を遣ってくれている!死ぬなら今が良い!
とても嬉しかった。卯月コウが目の前にいて、私を見てくれている。
当たり前にこの手の質問に慣れているアイドルたちのさらりとした回答ではなく、困惑が伝わってきてどきどきした。前半のトークライブでも「お前ら手を上げるときは控えめに上げろよ」と言っていたというのに……。
オタクをキモいと言いながらもいつも隣にいようとしてくれている彼らしかった。
一生懸命考えてくれている声が耳に伝わってくるのを聞きながら、1分の合図をされたのでさっさと立とうとしたら「押しきれ!」と言われたのも嬉しかった。ドルオタ現場では素早く行動しないと見るも無残に殺されてしまうのだ。
最後のツーショットもスタッフさんが2枚撮ってくださり、コウのドヤ顔を回収できた。(アイコンです)

私がただのつまらないオタクなのは、これはもう間違いのない事実だ。
絵も描けないし、音楽を作ったり面白いコメントもできないのだけれど、それでも卯月コウはその気持ちを受け容れてくれる。
こんなしがないひとりの人間も、卯月コウが好きなんだって伝えられて良かったです。
やっぱり、会える時、話せる時に、感情は表明しておかないと、後悔してからでは遅いのだ。
コウにコウガールって言ってもらったし、ちょっとだけ名乗っても許されるだろうか?

オノデンの急な階段を下りながら本当に嬉しくて、ドルオタの友達にツーショットを送ったら「液晶やないか」と言われたけれど、
それでもこれからも楽しく、Vtuber(とアイドル)を追いかけようと思えた日でした。
おなえどしのみんな、コウくん、本当にありがとうございました。

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