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推しの子 最終話 感想

*ネタバレ有りの感想です


再び立ち上がったルビー

 「世界は真っ暗で希望もなくて」「ルビーちゃんはずっと泣いていたよ」
ルビーがここで誰よりも泣いたあとに再び立ち上がるんだけど、何も救われないまま。たぶんここが第一のもやもやポイント。現実世界だと身近な家族や友達が死んだとき、そこから救いが生まれることはないと思う。だからそこは理解できる。でも、私たちは漫画という媒体で物語(フィクション)を読んでいる。だからそこに救いを求めてしまっているのだと思う。別に、現実に寄せたリアリティの物語を書くことが悪いわけではないけど、今回の推しの子に至っては、転生したアクアやルビーの存在とツクヨミの存在がノイズになっているのかな。
こう解釈するとちょっと気持ちがすっきりした。

それぞれが今を生きる

 やっぱりここでも、妙なリアリティを感じるだよね。神木ヒカルがアイから15年来のラブレターをもらって救われたように、有馬かなも黒川あかねもルビーにも何かしらの救いが欲しかった。希望が欲しかった。今のままだと本当にただただ悲しい。

アクアの目的は達成されたのか

 ルビーに起こった悲劇を世間は物語として受け取った。これが「メディアと世間は真実を求めない」ということか。アクアの企みは成功したと言っていい。アクアは自分がこの世界に生まれてきたことに少し「負い目」を感じていた。転生してきた自分は本当に生きていていいのかと。自分の人生はもうあの時終わっているのだから、この身はルビーたちの将来のためならば命をも厭わない。そんな考えだったんだろうな。でもさ、アクア。ツクヨミが一人の星のアクアとして称えてくれたじゃん。なんで、死ななきゃいけなかったんだ。

残された謎

 15年前アイがルビーにあてたDVDの内容
 ツクヨミは何者なのか。別の世界線での記憶を今の世界線にも引き継ぐことができる能力。リーディングシュタイナー的なものがあるのか。あるとするならば、様々な世界線を観測してるツクヨミにとって、どれが真の世界であるのかは曖昧になる。とすると、「世界は観測が生み出す虚像。その全てが真ではない。」という言葉に説得力がでるよな。
 なるほど、アイとさりなちゃんが一緒にB小町としてステージに立つことができた世界線はツクヨミは実際に観測していたのかもしれない。「もちろん夢さ、君にとってはね」というセリフは確かにアクアにとっては観測できていない世界であるから夢と変わらない。このアクアが見た走馬灯のようなシーンはツクヨミが見せてくれていたのかな。そうするとツクヨミの存在自体が神様っぽい。だったら、他の皆も救ってくれよ。頼むから。夢も見させてくれないのか。ツクヨミがあまりにもフィクション的存在だからこんなにリアリティのある物語が受け入れられないんだ。分かった。
 「嘘は愛なんだ。って思うことにした」って言ってたけど、アクアもルビーを助けたいがために嘘をついてまで神木ヒカルと共に死んだ。嘘は愛かー。なんか切ないような。悲しいような。アクアが救われないような。アクアは幸せに生きて欲しかった。

 やっぱり、アクアもルビーもかなちゃんもあかねも、そしてミヤコさんも全員が生きて幸せに暮らしてる姿が見たかったな。

追記

 誰か身近な家族や友人が死んで、落ち込んでいるとき、人生のどん底に立たされているなと感じたとき、星で例えると光を失ったとき、それでも、太陽のように光輝く恒星が近くにあれば、再び光輝くことができる。どんなに辛くても再び立ち上ってみようと思える。そんな太陽のような存在にルビーはなったのかな。暗闇に光を照らすことはそういうことなのかな。
 漫画一巻の所々に挟まっているインタービューの話って時系列的にほぼラストなんだ。改めて読み返して気づいた。15年の嘘を制作し終えてからの五反田先生からのインタビューもあったから、本当に一話を書いた段階でラストの展開まで考えていたんだな。最終話みたあとに一巻を改めて読み返してみて分かったんだけど、1巻の完成度ってめっちゃ高いし、ずっと面白かったよ。だからこそ、みんなが救われる話を書いてほしかった。母親同然に育ててくれたミヤコさんが一番報われない。さすがに辛すぎる、、



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