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雨ニモマケズ 雹二ハマケタ



EvolutionLake

 ザックを見送り、ゆっくりと出発の準備をする。今日はEvolutionLakeを超えた辺りで泊まる予定だ。登りが多いが体力的には余裕だった。
 昼頃EvolutionLakeに到着。湖に沿ってトレイルがあり、歩いてて気持ちの良い所だった。目の前の山は、個人的にマンガのナルトに出てくる歴代火影の顔が彫られた山のように見えた。

顔が彫られてそうな山

晴れのち雨のち雹(ひょう)

 天気も良いし、昼なので湖の周りで昼ご飯にした。思ったより早く到着したので、予定よりもう少し先で泊まることになりそうだ。そんな事を考えながら食べていると、だんだん風が強くなり雲行きが怪しくなると同時に雨が降ってきた。
またか・・・。7月はあまり降らないと聞いていたがこれで3回目だ。
すぐにカッパを取り出し再び歩き始めた。それからは降ったり止んだりの繰り返し。このまま止んでくれたら良かったのだが、雷が鳴ってきた。

どんどん天気が悪くなる

 標高が高く隠れる所がない時の雷はとても怖い。気温は10℃、動いているので寒くはなかったが今度は雹が降ってきた。だんだん強くなり辺りは一瞬で真っ白になっていく。そして粒もだんだん大きくなり体に当たるととても痛い。とうとう身動きが取れない程に強く激しく降り始めた。 バックパックのメッシュ部分に入れているエマージェンシーシートを取り出し、トレッキングポールでシートを押し上げ傘のようにしてみた。あまり効果はないがないよりましだった。背中部分は岩にすがって身を守るがこれもイマイチ。どれだけ暑くても、雨が降っても傘は欲しいと思わなかったがこの時だけは傘があれば良かったと思った。 しばらくしても止む気配がない。痛みに耐えてテントを張ることにした。自分が使っているテントはトレッキングポールで張るワンポールテントだ。日本でも何度も使っていたし、この旅でも何回も使っているのだが上手く張れる時と下手くそな時がある。今日は下手くそな日で2回も張り直しをした。こんな時に限って・・・。
この時、次にテントを買うとしたら絶対自立式にしようと決めた。

張り直してる間に中も濡れた

人間力

 なんとかテントに逃げ込み、すぐに着替える。寒くて泣きたくなる。
2回も張り直したおかげでテントの中もびしょ濡れだ。寝袋を濡らしたくなかったので何かいい方法はないかと荷物をあさると、帰りの飛行機でバックパックを包もうと思っていたゴミ袋が出てきた。これだ!
 袋を切りシートのようにして濡れないようにした。思いつきだったけどこれはいい方法だったと思う。袋は軽いし、色々な使い方ができそうだから今後は道具として一枚入れておこうと思った。
 ずぶ濡れでテンション下がっていたけど、思いもしなかった発見に少し喜んでいる自分がいた。
あるものでなんとかする。今はなんでもすぐに手に入る世の中なので、このような工夫する力が弱まっているのかもしれない。大変だったけど大切なことに気づかされた瞬間だった。

下手な張り方でいびつな形のテント

太陽ありがたいよう

 着替えてからすぐに寝袋に包まり体温を上げた。気がつくと寝ていた。
テントに入ってからどれくらい時間が経っただろう。気がつくと辺りは静かで雨音がしない。少しだけ陽が出ている。なんとかなった。良かった。
雷からの雹。今日は少し身の危険を感じたが、色々と考えさせられる経験になりある意味良かった。

飛ばされないよう服にはトレッキングポール、ズボンには石を置く

 わずかでも太陽が出ると暖かい。ありがたい。
すかさずびしょ濡れになった服たちを岩の上で乾かす。
 明日は晴れるといいな。


 

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