『Which do u like bitter』
ファミレスでフォンダン・ショコラ食べてたら、甘いのとしょっぱいの交互に食べるのが好きな人は飽き性らしいよって隣に座ってたカップルが話してた。
「えー、俺は甘いものは最後に食べたい派〜。」
誰かにLINEを返しながら彼氏が言った。
「来週の日曜空けといてくれた?」
ハンバーグ食べながら彼女が言った。
「え?あー。なんだっけ。つか多分友達と会う約束してるわ。何?」
「…映画。わたしの好きな映画が再上映されるっていうから見にいこうねって、話してたじゃん。」
「あー、ごめん。そっか。でも再上映ってことはもうみたことあるんでしょ?それにその日以外も上映してるだろうし。あ、見てきてもいいよ。」
「ハンバーグ、飽きた。」
「あ?ハンバーグ?ああ、あー、うん。」
「あのさあ」
「……うわ、こいつらみんなで飲んでんじゃん。俺も行こうかなー。…ん?なんか言った?」
「あのさあ!あのさあ、わたしのこと好き?」
「なに?wいきなり。」
「好き?」
「なんだよ。うるせーなあ。つか俺このあと友達んとこ合流していい?もう食べ終わる?それ」
「食べ終わる前に飽きちゃった。別れよっか。じゃあね。」
彼女が2000円を机に置いて早歩きでファミレスを出て行った。
「は?……え?え、え?突然すぎるだろ。…え?いや、なんだよあいつ。なんでだよ。おかしいだろ。俺なんかした?」
「お待たせいたしました。パフェになります。」
店員さんがパフェを持ってきた。
「え、あ、ああ。ありがとうございます。あー、あと他になんか注文てしてます?」
「えーと、あとナポリタンとガトー・ショコラをご注文なされてますね。」
「あー、じゃあそれ、取り消しで。すみません。」
店員さんが行った後、彼氏は彼女の残したハンバーグとパフェを食べ切って帰る準備を始めた。
「あいつ、頼みすぎだろ。ハンバーグ食い切れよ。パフェも来るまで待てよ。飽きたってなんだよ。はあ。つか、ああ、あー、はあ、ああ、俺、大好きだったのになあ。なんでだよ。なんでだよお。ああ。」
彼は最後にとっておいた甘いものを食べて、ファミレスから出て行った。
ねえ、君はどっち派?て訊かれた気がして、おれはフォンダン・ショコラをもうひとつ注文した。
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