超絶多忙な夏に一段落着いたものの相変わらず多忙で、観たい映画もなかなか時間が合わず行けていなかったのですが、ピカデリーで朝から箱男が上映していると気づき、仕事前に行ってきました。
箱男は僕が最も好きな小説家、安部公房先生の作品であり、この作品と出会って安部公房にハマったきっかけとなった小説。自分の大学の卒論のテーマにもしたほどの作品です。
つまりは我が人生に多大なる影響を与えた作品であり、これが映画化されると聞いた時は胸が躍りました。
文学でしか成し得ないような世界観をどうやって映像化するのか。
楽しみにしていたのですがその映画化は頓挫。残念に思っていたのですが、そこから時を経た27年後、何と当時の予定されていたキャストのまま改めて撮影され、今夏に公開されたのです。
いやはや長生きはするものですね。
どうだったのか、ネタバレにならない程度に書いていきましょう。
まず、箱男の世界観は自分のイメージしていたものとは違いました。
それはそうです。まるで同じな方が気持ち悪い。
安部公房作品は意味がわからないとはよく言われますが、だからこそ解釈の仕方が自由であり、人それぞれの解釈と世界観があるわけです。
だからこそ他人の描いた世界観を体感できたという楽しさがありました。
しかも石井岳龍(石井聰亙)監督の世界観です。狂い咲きサンダーロードです。爆裂都市です。そのセンスで箱男です。
期待に十分応えてくれる作品でした。
特に作中の演出で自分が箱男になったような視点で描かれる部分があり、それを映画館で体感できたのも良かった。
ヒロイン役の白本彩奈さんもとても良かった。
期待というか想像の枠を超えるものでこそありませんでしたが、こんな感じかな、こんな感じだと良いなという期待や想像には十分応えてくれたので観に行けて良かったです。
小説の箱男を読んでいない人がこの映画を観たらどう感じ、どう考え、どう思うのだろう。そんな事も気になりました。
そんな方には是非読んで欲しいです。
僕もせっかくなのでもう一度読み返してみようかな。
もう10回以上は繰り返し読んでいる作品ですが、思えば老眼が悪化した約10年前からめっきり読書量が減ってしまい、この10年は再読していなかったので。
ちなみに正装で見に行きました。
さて、今日も夜遅くまでレッスンです。
30連勤中の良いリフレッシュとなりました。頑張ってきます。